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(2024年10月01日更新)

今年は「選挙イヤー」と呼ばれ、注目の選挙が目白押しです。

しかし選挙というと「難しい…」「自分とは遠い存在」と思う人も。それを象徴するように、日本は諸外国に比べて投票率が低く、政治への関心が低い状況です。

どうすれば政治に関心を持つ人が増えるのでしょうか?

今回は、若者の政治参加を促すべく活動している「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんに話を伺いました。

能條 桃子さん

一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事。「FIFTYS PROJECT」代表。
1998年生まれ。2019年、若者の投票率が80%を超えるデンマークに留学し、若い世代の政治参加を促進するNO YOUTH NO JAPANを設立。Instagramで選挙や政治、社会の発信活動(現在フォロワー約10万人)をはじめ、若者が声を届けその声が響く社会を目指して、アドボカシー活動、自治体・企業・シンクタンクとの協働などを展開中。

なぜ日本では投票率が低い?

── 日本では投票率が低く、とくに若者の投票率が低いといわれます。その理由とは?

能條:投票率はさまざまな要因があるため「これをすると解決できる!」という単純な話ではないんですよね。
政党や候補者のなかに投票したい人がいない、自分の投票が有効だと思えない。そもそも、日々の生活で忙しいため「政治や社会問題を考える余裕がない」など、要因はさまざまです。

とはいえ、投票率が上がることは重要。
投票は、一人ひとりの意見を反映させ、自分が生きたい社会を自分でつくっていく手段の一つでもあります。
投票率を上げるために、私たちの団体では主に2つ取り組んでいます。

1つ目は「情報のわかりやすさ」。
いまの政治や政党についての情報が足りていないと考えています。
私はデンマーク留学をしていたのですが、現地では小学生から選挙の仕組みはもちろん、政党や候補者について学ぶ授業があるんです。
日本だと選挙制度はかんたんには学びますが、いまの政党や具体的な政策について習うことはないですよね。
その辺りの情報が足りていないので、私たちはSNSを活用して、政党や選挙の情報をわかりやすく発信することを大事にしています。

2つ目は「立候補年齢の引き下げ」です。
日本の選挙は18歳から投票できますが、政治家に立候補できるのは25歳/30歳と開きがあります。

出典:立候補年齢を引き下げるためのプロジェクト

なぜ開きがあるのかというと、若者は投票はしてもいいけれども、政治家になれるほどの成熟した存在ではないと見なされているから。

その考え自体おかしいし、この年齢制限によって、政治の場に若い世代の代表がいないことによって、若者の問題に焦点が当たらない。それにより政治に関心を持てない若者が増える──という負の循環が生まれています。

ちなみに、諸外国に目を向けると、OECD36カ国の中で、32カ国は18歳で立候補が可能。25歳にならないと立候補できないのは日本含めて4カ国しか残っていない状態です。

立候補年齢が18歳の国では、若い政治家が多い。若者たちも自分たちの代表がいてくれることで自分事として関心を持てる、とても良い循環だと思います。
それらを日本でも実現するべく「立候補年齢を引き下げるためのプロジェクト」として活動を行っていますね。

── デンマーク留学されたとのこと、現地で印象に残った出来事はありましたか?

能條:驚いたのは、私の友人の友人が立候補していたこと!
日本で選挙と言えば「投票するもの」という感じですが、デンマークでは投票は当たり前で、その上で立候補する人もいる。

また、選挙への関心がある人はさまざまな活動をしていて、選挙ボランティアをしたり、学校内で開かれる討論会を仕切ったり、または自分で勉強したことを発表したり。選挙といっても、いろんな選択肢があることに驚きました。

このように若者の政治参加が当たり前にあるため、選挙でも「若者の課題」が争点になります。

例えば、若者のメンタルヘルスに関して。
デンマークは日照時間が短いこともあり若者のうつ病を発症する割合が高いのですが、精神科でのカウンセリングなど医療費は有料でした。体に関する医療費はすべて無料にも関わらず、です。

精神科に行くとお金がかかるからなかなか通えず症状が悪化してしまう…という悪循環に陥る若者が多かった。
それが、若者たちの働きかけで、若者の課題に取り組む政権に交代したことで、25歳以下のメンタルヘルス医療費が無料になったんです。

私の友人は、その政策に関心をもって活動していたので、すごく喜んでいました。
若者たち自身が社会を作っている感覚というか、「声を上げたら変えていける!」というのを見て驚いたと同時に、日本もそんな社会になったらいいなと思いました。

── 素晴らしいですね!自分たちの課題に政策が向くことは自分事化しやすいのですね。

能條:そうなんです。「政治」と聞くと遠い存在に感じる若者も多いと思いますが、実は日常にたくさんある身近なもの。

学生であれば、学費や奨学金の問題などがありますよね。バイトや仕事をしている人なら労働環境や賃金の問題だったり。
あとは最近の物価高騰によって、家賃や生活費に困っている人もいるし、就活の時期が早まっていることも、実は政治の問題でもあります。

ビジネスで解決できる社会課題もありますが、国レベル、政治でしか解決できないことも多々ある。再分配だったり、福祉だったり、教育だったり。
いろんな社会課題を解決する手段として「政治もあるよね」というのを伝えられたらと思います。

そして、その政策を決める場には、すべての世代の代表、すべてのジェンダーが必要。今はそれが欠落している状態です。
立候補年齢の引き下げは、そのキッカケになると期待しています。

「若者vs高齢者」の対立にしない

── 日本の政策は高齢者に偏っているといわれ、若者が関心を持てるテーマが少ないともいわれます。

能條:その点は一理あると思いつつも、「若者vs高齢者」の対立構造になりやすいため、注意が必要かなと。

高齢者といってもいろんな人がいます。貧困問題もあれば、介護問題もある。
例えば、国からの援助が減ることで、その負担が親や若い世代にふりかかってくる。結局は誰かが時間やお金を負担する必要がでてきます。

もちろん若者でもいろんな人がいますよね。経済格差や地域格差だったり、家族のケアを女性だけが担っていたりと。

つまりは世代間の違いではなくて階層的な問題。
「高齢者は得をしていて、若者だけ割を食ってる!」といった対立を作らないように注意しています。

その対立で戦わせた先にあるのは強者しか得をしない世界です。「都会に住む、健康的で裕福な異性愛者の男性」のような。
その環境で生き延びられる方ならいいですが、ケア責任を押し付けられやすい女性たちや、LGBTQ+の方々を含めた、みんなにとって優しい世界とはいえないと思いますね。

学生時代に感じた「格差」

── そもそも能條さんが、政治へ関心を持ったきっかけとは?

能條:最初のキッカケとしては、小学生のときに「青少年議会」という、子どもたちを議会に招くイベントに参加したんです。私は子ども議員として参加して、発言できたことが大きかった。

また、当時は珍しい女性の市長さんだったことも「女の人でも上に立って働くことができるんだ!」と、子どもながらにすごく印象に残っています。

その後、地元の公立中学から私立高校に進学したのですが、そこでいろんな格差を見たことも大きかったと思います。

中学生までは「努力すれば報われる」と思っていました。
でも実際には、私立の進学校にいる裕福な人たちをみていると、どの地域で生まれるか、どの家庭に生まれるかで決まることも多く、本人の努力だけではない要素が多分にある。
同時に、裕福な家庭環境のなかにも、競争社会のなかでストレスを抱えながら苦労している子たちがいます。

一方で親も、子どもの将来のためにと勉強や習い事にお金を費やしている。それは親も社会に対する不安があるからだと思っていて、親も子どももみんな幸せそうではない。

私はそれを見ていて、もっと誰もが安心して暮らしやすい社会が必要だと。そう考えたときに「政治」の重要性に気づきました。
その後は大学でのデンマーク留学を経て、いまの活動に至っています。

投票には「テーマ」を決めてみよう

── 投票は重要と知りつつも、「誰を選んでいいかわからない…」という方も多いはず。能條さんがアドバイスを送るなら?

能條:候補者を選ぶときに「1つテーマ」を決めてみるのはどうでしょう?
「これは叶えてほしいな」や「こういうふうになってほしいな」が見つかると選びやすくなると思います。

例えば、私だったら「選択的夫婦別姓」に関心があります。
ジェンダー平等という意味でも重要ですし、若い世代も求めているテーマ。選挙では、それらを実現してくれる政党や候補者を選ぶという感じですね。

賛成する候補者をチェックしつつ、逆に「どういう人が反対しているんだろう?」も見てみる。
明確に反対と言わずとも、実行に移していないのなら、「実現しないようにする」という意思も必ず働いていますから。
このように、自分で1つのテーマを決めて、それをリトマス試験紙のように、政党や候補者を選ぶとわかりやすいと思いますね。

── 政治の話をするとき、周囲から「意識高いと思われたくない…」と悩む人もいるかと。どのように向き合えばよいでしょう?

能條:私のオススメは「外のグループに目を向けてみる」ことです。
政治や社会課題に関心がある人は、周囲(友人、家族)にいないかもしれない。でも外に目を向けてみると、活動している人やグループはけっこうあります。私たちの団体もそうだし、プランさんもそうですよね。

最初から、無理して周囲と話そうと思わずに、すでにある外部グループに勇気を持って参加してみる。 その場所には、同じように周りと話したいけれど話せなかった人たちが必ずいます。まずはそういう場所で、政治や社会課題について話すことに慣れてみるのはいかがでしょう。
慣れてきたら、「じゃあ次は、友人と話すためにはどうすればいいだろう?」と考えられるようになります。

いまの場所に満足しているならいいですが、もし不満があれば別の場所を作ってもいい。「自分の居場所」はいくつあってもいいと思います。

私も最初は周囲からではなく、外部のグループに入ることで、いろんな人と交流することができたひとりです。
同じ社会課題に関心がある人と話すと、語る言葉も増えてくるし、仲良くなりやすいと思いますね。

***

いかがだったでしょうか?
今年後半は、国政選挙や知事選、県庁所在地の市長選など多くの選挙が開催されるため、政治への関心が高まる時期です。

「政治は難しい」「自分とは遠い存在」と思わずに、自分の願いを叶えてくれる政党や候補者はどこだろう?と、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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