(2025年05月29日更新)

「選択的夫婦別姓」について、知っていますか?
選挙の度に話題になるため、ネットやTVなどで目にする機会も増えましたよね。
言葉では知っていても、「詳しくは知らない」という方も多いはず。
そこで今回は、はじめて知る方のために、制度のキホンから、メリット・デメリット、結婚に関する雑学まで──分かりやすく解説していきます!
「選択的夫婦別姓」とは?まずはキホンから
「選択的夫婦別姓」とは、その名のとおり「結婚しても夫婦それぞれが自分の姓(名字)を選べる制度」です。
「姓を選べる」というのがポイントなため、同姓にしたい人はそのままでもOK。
いまの日本の法律では、結婚すると夫婦いずれかの姓に統一することが義務付けられています。
男性側、女性側、いずれかの姓を自由にえらぶことができるのですが、厚生労働省の統計*によると約95%の夫婦が「夫の姓」を選択しています
。
そのため実際には女性が改姓するケースが多く、会社では旧姓を名乗り続けたり、改姓後の手続きにモヤモヤしたり…そういう経験をする人は少なくありません。
もし選択的夫婦別姓が実現すれば、「名字を変えない」という選択肢を持てるようになります。
同姓・別姓のメリットとデメリット
「同姓」「別姓」それぞれのメリットとデメリットについて、主な意見を中心に比較してみましょう。
まずは「同姓」の場合から。
日本では同姓がスタンダードですので、伝統的な家族観を大事にする人に支持されています。
しかし、改姓する側(主に女性)の手続きの煩雑さや苦悩は、想像を絶するものがあります。以下はその一例です。
このような大変さは、改姓しない側(主に男性)には理解されにくく、不平等な関係といえます。
次は、「別姓」について、多くの人から挙げられるメリットとデメリットに目を向けてみましょう。
(夫婦別姓が実現した場合を想定。現状、日本で別姓をする場合には、事実婚などの選択をする必要があります)
別姓の場合は、実生活の過ごしやすさとあわせて、夫婦が対等な関係が築きやすいといったメリットを感じる人もいるようです。
しかし、別姓にすることで「子どもの名字をどうするか?」などの課題も残ります。(次のパートで解説)
同姓でも別姓でも、選ぶのは夫婦の自由です。それぞれのメリット・デメリットを知ることで、フラットに比較して選べるようになると良いですね。
【よくある質問】「子どもの名字は?」「通称使用でいいのでは?」
選択的夫婦別姓でよくある質問としては、「子どもの名字はどうなるの?」「旧姓で十分では?」という意見があります。
こちらについて解説していきます。
子どもの名字はどうなるの?
夫婦別姓をした場合、子どもはどうなるのでしょうか?
別姓がスタンダードな外国の例をご紹介します。
フランスでは、生まれたときに、親が「どちらの姓にするか」かを話し合い、出生届に記入します
。*
スペインや中南米では、両親の姓をつなぐ「複合姓」を名乗る文化もあります。
たとえば、父親がカルロス・グラシアスさん、母親がアンナ・ロドリゲスさんだとしたら、子どもは、ルカ・グラシアス・ロドリゲスさん──といったように、両親の姓が継承されます
。*
通称使用で十分では?
わざわざ選択的夫婦別姓を導入するのではなく、「通称(旧姓)使用の拡大で十分なのでは?」という意見もあります。
「通称使用」とは、改姓していても、ふだんの生活では旧姓を使い続けること。実際に、結婚後も職場などで旧姓を使っている人もすくなくないですよね。
しかし、通称はニックネームに近いため、法的な拘束力はほとんどありません。
そのため、契約書、銀行口座、役所などの公的手続きでは基本的に使用できず、書類ごとに「通称と本名」を使い分けることで、混乱や手続きの手間が発生することも。
また、選択的夫婦別姓を求める人のなかには「名前=アイデンティティ」と考える人も多く、通称使用だけでは根本的な解決にならないという意見もあります。
「同姓」の義務は日本だけ!海外との違い
世界的に見ると「夫婦は同じ姓であるべき」というのは、かなり珍しい制度。先進国(OECD 38カ国)のなかで、夫婦で同姓が義務づけられているのはなんと日本だけ!
欧州だけでなく、アジア圏でも同姓の義務はありません。
「別々の姓を名乗る」「どちらかの姓を選ぶ」「複合姓を使う」といった選択肢が認められています。
たとえば──
- アメリカやイギリス|名前を変えるかどうかは完全に個人の自由。
- フランス|公的な名前は生まれた時の姓のまま。結婚しても戸籍のような制度はなく、名字も変わらない。
- 韓国や中国|文化的にも夫婦別姓。
ここで押さえておきたいのは、「夫婦は同姓であるべき」という考えは、日本古来の伝統ではないということ。もともとは明治時代にヨーロッパの民法などを参考にしつつ日本の家制度と合わせて取り入れられたもので、130年ほどの歴史しかありません。
日本以外の国では廃止されているため、国連(女性差別撤廃委員会)からも「同姓強制は女性差別にあたる」として、たびたび勧告を受けています。
【雑学】なぜ日本だけ「同姓」なの?
私たちにとって「夫婦同姓」は当たり前ですが、なぜ日本だけなのでしょうか?
同姓のルーツや、意外と知らない「戸籍」について、人に話したくなる雑学をご紹介します!
なぜ日本だけ「同姓」なの?
現在は誰もが姓を持っていますよね。
しかし昔の日本(江戸時代以前)には、一般人に姓はなく、姓を持てるのは貴族や武士などに限定。そんな貴族たちも「別姓」でした。
一般人が姓を持つことになったのは1875年(明治時代)。
。*
夫婦同姓が義務づけられたのは1898年です
この時代、日本は海外に追いつこうと、法制度や軍事、教育を整えていた時期です。
国を強くするために、政府は「家族単位」で管理した方が効率的と考え、「夫の姓を家族全員が名乗る」というルールを作りました。
このときモデルにしたのは欧州。
当時、欧州では「夫婦同姓」が一般的だったため、日本も真似して取り入れたというわけです。
しかし欧州では、戦後のフェミニズム運動や男女平等の意識変化などにより、「別姓」へと変化していきました。90年代までには、ほとんどの国で「別姓」がスタンダードに。
日本だけ戦後も「同姓」が続くようになり、いまでは世界でほぼ唯一の国となったのです。
海外に「戸籍制度」はない?
日本では当たり前の「戸籍制度」。でも、外国では戸籍制度がない国がほとんどです。
日本の戸籍制度は、政府が「家族単位」で管理するシステムですが、諸外国では「個人単位」が一般的です。
個人の管理には、個人番号や住民登録で身分を管理する国が多いため、夫婦別姓がスムーズにできる環境があります。
多様な時代こそ「選べる自由」を
「名字を変えたくない」その理由は、人それぞれ。
仕事の実績を引き継ぎたい、自分のルーツを大切にしたい、大切な名前を手放したくない──どれも尊重されるべき理由です。
また、選択的夫婦別姓は、すべての人が「別姓にしなきゃいけない!」という制度ではありません。
「変えたい人は変えていい。変えたくない人は変えなくていい」といったように、選ぶことができます。
現代はキャリアもライフスタイルも多様な時代。
ジェンダー平等の観点からも、「選べる自由」があることは、自分らしい生き方を後押ししてくれるでしょう。
***
「選択的夫婦別姓」は、主に改姓する立場になりやすい女性たちにとって無視できないトピック。ぜひ考えるキッカケになってくれたら嬉しいです。
国際NGOプラン・インターナショナルでは、今回のようなジェンダー平等に関する記事を発信しています。
また、『子どもと若者の社会参加』など子どもに関する支援や、ジェンダー平等を目指す活動を多数行っています。
気になった方はこれらの活動や、他の記事もぜひチェックしてみてください◎







