(2025年12月22日更新)

「男らしい」「女らしい」という言葉、日常で何気なく使っていませんか?
でも、こうした性別のイメージのせいで、自分のやりたいことや選択が制限されることがあります。
このような不均衡は「ジェンダーギャップ(男女格差)」と呼ばれ、世界中でジェンダー不平等の原因になっています。
誰もが自分らしく生きられる社会の実現には、一人ひとりの意識と制度・法律の改善が必要です。この記事では、ジェンダー問題の基本から国内外のデータ、身近な事例、そして今日からできるアクションまでを紹介します。
ジェンダー問題とは?ジェンダーギャップ(男女格差)が生まれる理由
ジェンダー問題とは
「ジェンダー問題」とは、社会や文化によって作られた性別に対する期待や役割、偏見(ジェンダーバイアス)などが原因で起こる、さまざまな不平等や差別のことです。
「ジェンダー」とは、生まれつきの性別とは別に、社会や文化が個人に期待する役割や行動のルールを指します。「男らしくあるべき」「女らしくあるべき」といったイメージもその一つですが、個人の性自認や生き方の多様性を尊重する視点が大切です。
こうした固定観念は、教育、就労、家庭生活、政治参加などあらゆる場面で不均衡を生み、ジェンダーギャップの原因になります。
SDGs(持続可能な開発目標)でもジェンダー平等は重要なテーマで、世界中の人々が性別に関わらず活躍できる社会づくりが求められています。
世界に根強く残るジェンダー問題
ジェンダー問題は日本だけの課題ではなく、世界中で深刻な状況が続いています。
2025年の世界経済フォーラム「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」によると、世界全体で男女格差の約68.8%は解消されているものの、完全な平等に達するには123年かかる
と予測されています。
特に途上国では、貧困やジェンダー不平等により女児の教育機会が限られ、学校に通えない子どもたちが大勢います。また、早すぎる結婚(児童婚」や性暴力の被害に遭いやすい状況もあります。こうした背景には、社会や文化に根づいた性別による固定観念が大きく関わっています。
男女の格差が生まれるのはなぜ?
男女格差は、制度や慣習、文化、経済状況などが複合的に影響して起こります。特に「女性は家庭、男性は外で働く」といった社会の固定観念や、性別による役割分担の意識が、教育や働き方、意思決定の場での格差を生む大きな要因です。
世界のジェンダーギャップ指数
ジェンダーギャップ指数(Global Gender Gap Index)は、経済・教育・健康・政治の4分野で男女格差を数値化した指標です。数値が高いほど男女平等が進んでいることを示します。
| ジェンダーギャップ指数上位5カ国 | |
|---|---|
| 1位 | アイスランド |
| 2位 | フィンランド |
| 3位 | ノルウェー |
| 4位 | イギリス |
| 5位 | ニュージーランド |
| ジェンダーギャップ指数下位5カ国 | |
| 148位 | パキスタン |
| 147位 | スーダン |
| 146位 | チャド |
| 145位 | イラン |
| 144位 | ギニア |
2025年のジェンダーギャップ指数では、アイスランドが16年連続で1位を獲得し、北欧諸国が上位を占めています。フィンランドは2位、ノルウェーは3位、スウェーデンは6位で、政治参加や教育水準の高さが評価されています。こうした国々では、男女平等が社会制度や文化に根づいていることが分かります。
一方、アジア諸国では国によって男女平等の進み具合に大きな差があります。また、途上国や保守的な社会では、教育や就労、政治参加の機会が限られ、ジェンダー格差が大きく残るため、ランキングの下位に位置する国も少なくありません。
日本のジェンダーギャップ指数は118位!
世界では男女平等に向けた取り組みが進んでいますが、日本の状況はどうでしょうか。2025年のジェンダーギャップ指数で、日本は先進国のなかで最も低い118位に位置しています。世界と比べても、まだ男女格差が大きく残っていることが分かります。
日本では、教育や健康の面では男女差が小さくなってきましたが、政治分野や意思決定の場、そして職場での格差が課題です。国会議員や企業の役員に占める女性の割合は低く、重要な場で女性の声が十分に反映されていません。
また、働き方や家庭での役割に関する固定観念も影響しており、女性が自分のキャリアを自由に積むのが難しい現状があります。こうしたジェンダーギャップは、社会全体の可能性や活躍の幅にも影響しているのです。
特に身近な場面で感じやすいのは、私たちの働き方や職場での扱いです。次の章では、具体的に仕事の場面で見られるジェンダーギャップについて見ていきましょう。
身近にあるジェンダー問題①「仕事でのジェンダーギャップ」
日本では、男女の賃金差が特に大きな課題です。OECD(経済協力開発機構)によると、2022年の日本での男女の賃金格差は21.3%となっています。
米国は17%、英国は14.5%と日本より低く、OECD加盟国の平均は11.9%。つまり日本は先進国の平均と比べて約2倍の格差があることになります。
なぜこんなに男女差が生じているのでしょうか?
新卒〜20代ではほとんど見られない賃金格差は、30代を境に開いていきます。
男性の最も賃金が高い年代(55〜59歳)で見てみると、男性は約41万円に対し、同年齢の女性は約27万円と、その格差は約14万円にも!
男性社員は年齢が上がるにつれて管理職となり給料が上がっていきますが、管理職の比率が低い女性社員の賃金は据え置かれることが多く、生涯賃金に大きな差が生じているのです。
管理職や役員に女性が少ない
2022年のデータでは、企業の管理職に占める女性の割合は12.7%。
この割合はアメリカの約4分の1、ドイツの約2分の1と、諸外国と比較すると極端に少ないことがわかります。
役職別で見ると、課長以上は22.3%、部長以上は12%、そして社長は8.3%と、ポジションが上がるにつれてさらに減っていきます。
現状の日本のビジネスシーンは女性リーダーが圧倒的に少なく、男性中心の世界に偏っているのです。
非正規雇用の多さ
女性の働き方で特に目立つのが、非正規雇用の多さです。特に母子家庭世帯では非正規雇用の割合が46.5%と高く、父子家庭の8.4%を大きく上回ります。非正規雇用は給与や雇用の安定性で不利になることが多く、キャリアを積むのが難しい原因の一つです。
このように、賃金格差、管理職比率の低さ、非正規雇用の多さは、それぞれ独立した問題のように見えますが、いずれもジェンダーギャップの影響としてつながっています。職場での格差をなくすことは、女性だけでなく社会全体の能力や可能性を広げることにもつながるのです。
身近にあるジェンダー問題②「家庭内でのジェンダーギャップ」
賃金格差を解消するには、女性管理職の比率を上げることが重要です。
しかし、プラン・インターナショナルが2021年に実施した調査によると「女性は管理職に就きたいという意欲が男性よりも低い」という傾向にあることが明らかになりました。
男性は仕事に意欲的に取り組むけど、女性はそれほどでもないから?
いえいえ、そんなことはありません。
女性たちは、以下のような家庭での負担が多いことが分かっています。
家事/育児の負担
日本には「男は仕事、女は家庭」といった性別を理由に役割を分ける考え方「性別役割分担意識」が依然として根強くあります。
それを表しているのが、家事にかける時間の違いです。
家事/育児などにかかる「家事関連時間」の調査によれば、男性は51分、女性は3時間24分と、男女の差は2時間33分も。
たとえば共働き家庭で、女性が一手に家事を引き受けざるを得ない場合は、仕事+家でのタスクを両立させる必要があることから、そのバランスを考えて職業選択をする傾向にあります。
結果として、責任を伴う仕事(管理職)を選ばない人が多いというわけです。
介護の負担
15歳以上で日常的に家族を介護している人は653万4000人いますが、このうち女性が6割を占めるほどに。
今後ますます高齢化社会が進むなかで、さらに女性の負担が増大することが考えられます。
ハラスメントと暴力
家庭内での暴力もジェンダーギャップが生む深刻な問題です。身体的な暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要などの形で現れることがあります。日本では、女性の約4人に1人が配偶者から何らかの暴力を受けた経験があると報告されています
。
身近なジェンダーギャップを解消するためにできること
日本におけるジェンダーギャップの具体例を紹介してきました。
では、どうすればジェンダーギャップをなくすことができるのでしょうか?
家庭内の家事分担について話し合う
多くの女性たちは仕事と家事を両立しているため、自身のキャリアアップを諦めたりすることが、生涯賃金を下げる一因になっています。
そして男女間でも「家事は女性がするもの」といった偏見が根強く残っていますよね。
男性は家事を手伝う(サポートする)だけということが多いため、完全に男女同等の家事分担をする必要があります。
私たちにできるアクション
- 家族やパートナーと「家事リスト」を作り、分担を見直す
- 家事を「手伝う」ではなく「自分の担当」として責任を持つ意識を持つ
- 子どもにも性別に関係なく家事を教え、家事を「家庭の共同作業」として伝える
「男らしさ」「女らしさ」に縛られるのをやめる
幼少期より植えつけられた「男らしさ・女らしさ」に対する固定観念が、生涯にわたり私たちの価値観を縛っています。
このことが「男性は仕事を頑張って当然(稼ぐのは男性の役割)」「女性だから家事をする(家事は女性の担当)」という価値観の原因に。
女性が幼少期から「女らしさ」に苦しんでいるのと同様に、実は男性たちも「男らしさ」による生きづらさを感じています。
関連記事:「日本の高校生のジェンダー・ステレオタイプ意識調査」レポート発表
「男らしさ・女らしさ」という価値観を取り外すことは、男女ともに生きやすい社会を作るキッカケになるのです。
私たちにできるアクション
- 「それって本当に性別関係ある?」と自分や周囲の発言・考え方を振り返ってみる
- 多様な生き方・性表現を肯定的に受け止める
- 同僚や友人に「男らしさ・女らしさ」ではなく「自分らしさ」を尊重する言葉をかける
女性リーダーの活躍を応援する
政治や職場、地域活動で女性が活躍できる環境を整えることも大切です。リーダーの存在は、次世代の女性や女の子に勇気と可能性を与えます。
私たちにできるアクション
- 選挙で女性候補者やジェンダー平等を掲げる政策に注目して投票する
- 職場・地域・学校などでリーダーシップを発揮している女性の取り組みを応援する
- 女性が挑戦しやすい環境を推進・促進する(会議での発言機会を平等にする、成果や意見を性別で評価しないなど)
ジェンダーギャップを知り、日常でできることから始めよう
ジェンダーギャップは、職場や家庭だけでなく、学校や社会のさまざまな場面に存在します。日本だけでなく世界中で、女の子の教育機会の差や、働き方の違い、意思決定の場での差など、さまざまな形で現れています。しかし、大きな問題だからこそ、一人ひとりの行動が変化や解決のきっかけになります。
身近なところからできることも多くあります。家では家事や育児の分担を話し合ったり、職場や学校では性別に関係なく意見や成果を評価したり、地域では女性リーダーを応援したり。こうした小さな行動が、ジェンダー不平等を少しずつ減らす力になります。
もちろん、社会全体の制度や法、教育の改善も大切です。しかし、まずは自分の身近な環境でできることから始めるのがポイントです。少しずつ意識して行動することで、みんなが自分らしく生きられる社会に近づけます。
日常の小さな気づきや行動が、未来を変える一歩です。まずは周りのことを観察して、「これは性別で決まっているのだろうか」と考えてみるところから始めてみませんか?














