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(2025年09月08日更新)

写真:ロゴ:TICAD9

2025年8月20日~8月22日、横浜において、外務省主催の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が開催されました。

プラン・インターナショナルは、Education Cannot Wait(教育を後回しにはできない基金、以下ECW)、教育協力NGOネットワーク(JNNE)とともに、8月20日に、TICAD9公式テーマ別イベント「危機状況下における教育支援とジェンダー平等」を開催。当日は、国会議員を含めて150名近くの方々にご参加いただきました。

(撮影:金井塚太郎)

TICAD9公式イベントの様子は、こちらからご覧いただけます。

TICAD9公式テーマ別イベント「危機状況下における教育支援とジェンダー平等」 / プラン・インターナショナル(1時間17分37秒)

危機状況下の教育支援:取り組みを紹介

写真:ECWの取り組みを紹介するファキ氏

ECWの取り組みを紹介するファキ氏

冒頭では、ECW戦略的パートナーシップ・チーフのナセル・ファキ氏が、危機状況下の教育支援に特化したECWの取り組みを紹介しました。ECWは近年、そのプロジェクトを通じてジェンダー平等を達成することを目標にしており、各活動国にGender Lead Organisation(ジェンダー平等を主導する団体、以下GLO)を据えています。この仕組みにより、活動のあらゆる場面でジェンダーの視点が見過ごされないよう配慮しています。なお、プランはナイジェリアにおけるGLOを担っています。

「教育によって、私は変わった」プラン・ユースの発表

写真:ナイジェリアから来日したファティマさん

ナイジェリアから来日したファティマさん

プランのユース、ファティマさんは、イスラム原理主義組織・ボコハラムの攻撃で避難を余儀なくされ、そのたび教育機会を失った経験を語りました。家族の女子教育への理解不足もあり、長く復学できなかった彼女を支えたのが、ECWのプロジェクトを担っていたプランの支援です。プランは学校運営委員会と協働して保護者に女子教育の重要性を訴え、不足していた学校インフラを建設・修繕。女の子が通学しやすくなるよう「尊厳キット」も配布しました。これにより、ファティマさんはついに中学校への復学を果たし、現在は教師になる夢を抱いています。

  • ※生理用ナプキンを含む衛生用品や下着類などをまとめたセット

危機状況下の教育でジェンダー平等を目指すには

写真:パネルディスカッションを進行する西村氏

パネルディスカッションを進行する西村氏

プラン、ECW、UNESCO IICBAによるパネルディスカッションでは、初めに、モデレーターを務めた国際基督教大学教授・西村幹子氏から、近年プランが国連機関などと推進している「ジェンダー・トランスフォーマティブ教育(以下GTE)」について紹介がありました。GTEとは、教育を通じてジェンダー平等を実現する取り組みです。今回登壇した各機関・団体も、危機状況下においてGTEをしようとしています。

写真:プラン・ナイジェリアの活動を紹介するチェチェット職員

プラン・ナイジェリアの活動を紹介するチェチェット職員

プラン・インターナショナル・ナイジェリアの職員マーシー・チェチェットは、女性教員の能力開発と女性管理職を増やすことの重要性を指摘しました。プランは、ECWのプロジェクトにジェンダー視点を取り込みながら、女子教育への理解不足を解消するための啓発や、女の子への暴力を是認する有害なジェンダー規範を取り除く活動を進めています。あわせて、安全な学習環境づくりのためセーフガーディングを徹底し、教員研修を通じてジェンダー平等を促進する教授法も広めています。これらは平常時でも緊急時でも必要とされる継続的なジェンダー平等推進の実践であり、プランは女の子だけでなく障害のある子どもなど、忘れられがちな子どもたちのニーズをくみ取ることにも力を注いでいます。

写真:UNESCO IICBAの取り組みを説明するウォドン氏

UNESCO IICBAの取り組みを説明するウォドン氏

UNESCO IICBAのクウェンティン・ウォドン氏は、日本政府からの拠出を受けてジェンダーに対応した教授法に関する教員研修を実施していることを紹介しました。この研修は、教員がジェンダー差別をしないように指導し、ジェンダーに配慮したポジティブな学びを促進できるよう支援するものです。ウォドン氏は、女の子の中途退学の背景には、不平等なジェンダー規範だけでなく、教育の質の低さも影響していると指摘。紛争など危機的状況に置かれた教員自身がトラウマを抱える場合もあることから、メンタルヘルス・心理社会的支援(MHPSS)も併せて実施することが不可欠だと強調しました。

ECWプロジェクト訪問をした国会議員からもコメント

写真:ECWプロジェクト視察について語る鈴木議員

ECWプロジェクト視察について語る鈴木議員

エチオピアのECWプロジェクトを視察した衆議院議員・鈴木憲和氏も参加し、現地での経験を語りました。鈴木議員は、ラクダ3頭と引き換えに結婚を強いられそうになっていた女の子に出会ったエピソードを紹介し、教育が強制的な結婚を防ぐ手段となり得ることを強調しました。また、紛争を経験した大人たちの「もし自分たちが教育を受けていたら、暴力ではなく平和的な話し合いで争いを解決できたかもしれない」との言葉を紹介し、教育はTICAD9の基本的理念「人間の安全保障」に不可欠と訴えました。

SDG4教育キャンペーンに参加するユースが外務省に提言

写真:外務省の中村氏(写真左)へ提言書を手渡すユースたち

外務省の中村氏(写真左)へ提言書を手渡すユースたち

プランが所属するJNNEが毎年実施している「SDG4教育キャンペーン」に参加したユースは、日本政府に対し、①ECWへの拠出を継続すること、②アフリカにおける教育支援を拡充することを訴えました。そして、提言書を外務省の中村亮・地球規模課題審議官に手渡しました。中村氏は、「女性に教育は不要」とする国が依然ある状況に触れつつ、国の発展には教育が欠かせないとの認識を示し、今後も「人づくり」のためにも教育支援に力を注いでいきたいと応じました。

危機状況下にある女の子、障害のある子どもやユース、どのような背景を持つ子どもにとっても、教育は欠かすことのできない権利です。絶望的な局面にあっても、ファティマさんのように、教育が希望を取り戻す力となります。私たちはその力を信じ、想像力を持ち続けなければなりません。教育支援を確実に遂行するためには、NGO、国際機関、政府だけでなく、市民一人ひとりの連帯が欠かせません。これからも、皆さまのご協力とご支援をお願い申し上げます。

写真:登壇者、国会議員、SDG4教育キャンペーン参加のユース

登壇者、国会議員、SDG4教育キャンペーン参加のユース

Education Cannot Wait(ECW)とは?

人道危機における教育支援に特化した国連基金です。2016年の世界人道サミットで設立され、以降40カ国以上で活動を展開しています。紛争や気候変動による自然災害の影響を受ける子どもやユースに対し、教育の機会を確保することを目的としています。プランは、ナイジェリア北東部におけるECWプロジェクトに参画し、ジェンダー主流化の推進に貢献しています。

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