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女性性器切除(FGM)を刑事犯罪とする法改正が成立~スーダン~
女の子だから
(更新)
「女性性器切除」(Female Genital Mutilation、以下FGM)は、大人の女性になるための通過儀礼・結婚の条件として、幼児期から15歳ごろまでの女の子の性器の一部を切除するものです。不衛生な環境で麻酔なしで行われることも多く、激痛と出血をともない、命を落とす女の子もいます。死に至らなくとも、感染症や出産への悪影響を引き起こし、強い恐怖が心の傷として残る有害な慣習です。FGMを法律で禁止する国も多いなか、法の執行が不十分であるため「慣習」として今も水面下で広く続けられています。
刑法が改正され、FGMは犯罪に。しかし反対の声も
プラン・インターナショナルは活動している各国で、長らくこの慣習の根絶に取り組んできました。そして、その中のひとつであるアフリカ北東部のスーダンで、2020年4月、FGMを刑事犯罪とする刑法の改正が閣僚会議で承認されました。
プランはスーダンのこの歓迎すべき画期的な決定をプレスリリースで発表し、女の子と女性の権利のための大きな前進となる決定を下した閣僚会議を称賛しました。しかし、誰もがそのニュースを歓迎していたわけではないことがすぐにわかりました。
アニカ・クルスティック スーダンのプラン国統括事務所長
「プレスリリースの配信後数時間すると、女性のFGMは『必須』であるとするメールが次々に寄せられました。メール送信者たちは、この行為は『ひげを剃る』『爪を切る』のように『当たり前のこと』で、まじめに議論することではなく、その任は男性にあるのだ、と。法律の改正にもかかわらず、このようなメールが多く寄せられたことは、まだやらなければならないことが多くあることを明らかにしています」
スーダンのFGMの現状
スーダンの15〜49歳の女の子と女性のうち、何らかの形でFGMを受けている人は約87%と高く、この慣習をやめるべきだと考えている人は半数をわずかに超える約53%でしかありません。10歳未満の女の子の施術は減少傾向にありますが、FGMについてよく知らないままに、根深い迷信と誤解により、必要なことだと考えている人がまだ多くいます。
- ※UNICEF’S DATA WORK ON FGM 2016
健康被害だけでないFGMの影響
FGMの施術は健康上の利点がないだけでなく、逆に施術時の痛みや合併症により女の子や女性の体に生涯にわたり健康面で害を及ぼします。またFGMは、女性の身体を支配するものとする考えや、女の子に対する差別を助長し、性別役割の固定観念を強化します。これは男の子の割礼と同じではありません。女の子の人生から機会や可能性を奪います。
これまでの取り組み
2008年に全国児童福祉評議会(NCCW)とユニセフが「サリーマ運動」を立ち上げ、目的を同じくするプランもこの活動に参加し、FGMの根絶に取り組み続けてきました。「サリーマ」という言葉は、「神から与えられた、無傷である」ことを意味します。この言葉を、女の子と女性の自然な体を表す新しい肯定的な意味合いで用い、コミュニティでFGMを取り止め根絶へむけた話し合いを広げていくために使っています。
サリーマ運動が始まって以来、女の子の「サリーマ」を守るという理想はスーダン国内のみならず、近隣のソマリアやエジプトなどに広まり、関心を引いています。
法改正は新たなスタート
アブデルカリム職員
スーダンのプランで子どもの保護を担当するアブデルカリム職員は、「今回FGMが非合法化されたことにより、法律の順守と、法律違反に関連する罰則をコミュニティへ周知する活動に焦点が移ります」と説明します。
これまでの活動のなかで、FGMの危険性についてコミュニティと話し、女の子や若い女性に害を及ぼさないためにコミュニティができる新しいことをともに考えてきましたが、今回の法改正はまさに潮流を変えるきっかけになります。今後の活動のなかで、メールで寄せられたような意見に多く出会うことになります。オープンな会話を行い、若い女の子と女性の尊厳を守り、コミュニティ全員がFGMを終わらせるための最善の方法をともに考えていくのが次のステップです。FGMの非合法化は、始まりにすぎません。法律の施行を確実にするために、プランは人々の気づきを促し、考えと行動を変えていくための活動に引き続き取り組みます。
プランでは、死に至ることもある慣習「女性性器切除から女の子を守る」プロジェクトを、エチオピアとスーダンで実施しています。ご支援どうぞよろしくお願いいたします。
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