(2025年05月08日更新)

寄付の募集を締め切りました。ご支援いただきありがとうございました。
武装集団が台頭し、一般市民への無差別な暴力、誘拐、殺人などが激増しているハイチ。多くの人々の生活が脅かされ、55万人以上の子どもたちが国内避難民となっています。
インタビューに答えてくれたのは、武装集団による暴力から逃れるため、2023年8月から避難生活を続けている15歳のバーバラさん(仮名)。日常を理不尽に奪われた子どもたちの心境を、自分自身の言葉で語ります。
―避難所では、どのような毎日を過ごしているのでしょうか?
朝起きて、水があればバケツで水浴びをします。朝ご飯を食べられることもありますが、お昼まで何も口にできないこともあります。毎日普通の時間通りの生活ができないので、落ち着きません。避難所では過密状態で人が暮らしていて、けんかが絶えず、それが本当に嫌です。殺傷事件に発展することもありますし、銃撃戦に巻き込まれて亡くなった女性もいます。
好きな時間は、音楽を聴いたり、ゆっくりしたテンポの曲に合わせて踊ったりするときです。経済的な問題と武装集団の影響で、学校にはあまり通えません。学校に行ける日は、帰ってきて勉強をしたり、本を読んだりします。読書が大好きです。
避難所の部屋から外を眺めるバーバラさん
―安全な水や食べ物は手に入りますか?
浄水は時々支給されますが、毎日ではありません。給水塔の水は安全ではなく、水を飲むと腹痛を起こします。食べ物はないことも多く、ようやく手に入ったとしても、たいていはお腹を壊してしまいます。そのため、1日に1度食べたあとは、口にしません。家で暮らしていた頃は、米、豆、野菜を毎日食べることができ、バナナと卵を一緒に食べるのが好きでした。今はそうしたものを口にできるのは、月に1度か2度です。
かつての故郷での暮らしと今の暮らしを比べるたびに悲しくなります。まったく違う現実を生きているからです。今住んでいる場所では、いつ武装集団が侵入してくるか分からないため、不安になることもあります。
バーバラさんと家族が暮らす避難所
―将来は何をしたいですか?
医者になりたいです。ダンスが好きなので、ダンスの先生にもなりたいです。ほかにも…ヘアスタイリングが好きなので、美容師もいいなと思います。
医者になりたいのは、人々を癒したいからです。ここでは、銃で怪我をした人が治療を受けられないこともあります。この状況を変えて、病人や負傷者を救える医者になりたい。ダンスは、踊っているときに感情を解放できるような気がするので好きです。美容師については、誰かの髪をとかしてスタイリングを終えたときに喜んでもらえると、誇らしい気持ちになります。
―夢を実現するために、何ができると思いますか?
私はそういう夢を実現できる国に住んでいません…。私たちが住んでいる国は…どう言えばよいのか分かりません。美容師になることやダンスをすることは、それほど難しくないと思います。でも、医者になるためには学校に行かなければならないので大変です。学校は閉鎖されていることもありますし、医学部に進学しなければなりません。
―ご家族について教えてください。
私の家族は、母と父と妹です。母はいつも私のそばにいてくれて、アドバイスをくれたり、色々教えてくれます。いつも、「人生はまだ終わっていないんだから、希望を失わないで」と言ってくれます。私は母に心配をかけないように、毎日起きて笑っています。でも、心の奥底では本当の幸せを感じられません。ただ、母を安心させるために笑うようにしています。夜寝る前には、明日が見えないことが辛くて、よく泣いてしまいます。
避難所の部屋と外を隔てるのはフェンスのみ
―家から避難した時のことを教えてください。
私の家の近所で、武装集団から逃げて、子どもを抱えて走っている女性を見かけました。彼女は妊娠中で、子どもと夫と逃げている最中に、夫が頭を撃たれました。女性は夫を残して子どもを抱えたまま走り続けなければならなかったのですが、彼女自身も足に銃弾を受けました。彼女は私の家の近くで意識を失いました。病院に搬送されましたが、胸も撃たれていて、助かりませんでした。
武装した男性たちは、近所の家も襲撃し、3人の子どもがいる家に火を放ちました。私たちの家もすぐに襲撃されると考え、私は母、妹、祖母、叔母と走って逃げました。私たちは皆泣いていて、通りすがりの人たちも泣いていました。どこに行けばよいのかも分からず、家から何も持ち出すことができませんでした。「これからどうやって生きていけばいいんだろう?」と、ずっと考えていました。
走っているうちに気が遠くなり、意識を失って倒れました。意識を取り戻すと、そこには母がいて、人々が私に水をかけていました。何が起こったのか、覚えていません。起き上がった時には、呼吸がうまくできず、後頭部が痛んでいました。
―今、一番困っていることはどんなことですか?
学校です。故郷では、一度も休むことなく学校に通い、成績も優秀でした。ここでは学校に通うのが大変です。今は中学1年生ですが、あまり学校には通っていません。通える時は通いますが、学費を払えない時は追い返されることもあります。また、武装集団の暴力が原因で、何カ月も休校になる場合もあります。私はあまり多くを求めていませんが、学校に通うことだけは諦めたくないです。学校が大好きなので、勉強を最後までやり遂げたいのです。
―プラン・インターナショナルのことを知っていますか?活動に参加したことはありますか?
はい。知っています。プランの活動で、リラックスしたり、ゲームをしたり、映画を見たりするアクティビティに参加しました。子どもたちと話したり、遊んだりする時間は、楽しいです。私と家族は、尊厳キットや現金も受け取りました。返済する必要はありません。
避難所での衛生キットや尊厳キットの配布
―あなたの将来に希望を与えるものは何ですか?
私に希望を与えてくれるのは、ハイチが変わる可能性です。ハイチが変化する可能性がある限り、私は希望を持ち続けます。夢を実現し、未来に備えるチャンスが得られるのです。
ハイチで避難生活を送る子どもたちの多くは、深刻な身体的・精神的困難に直面し、暴力、誘拐、人身取引の恐怖のなかで暮らしています。避難所の衛生環境や治安は劣悪であり、バーバラさんの言葉にもあるように、安全な水や食べ物も不足しています。プランは子どもたちの生活がわずかでも改善されるように、取り組みを続けています。






