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いじめの定義とは?行為の具体例や悲しむ人をなくすためにやるべきこと

(2025年02月12日更新)

いじめの被害やいじめによる事件が連日のように報道されています。小中高などの学校はもとより、職場やSNSなど場所や年齢を問わず、いじめはあらゆるところで起きています。

文部科学省が2023年10月に発表した小・中・高等学校及び特別支援学校における令和4年度(2022年)のいじめの認知件数は、68万1,948件にのぼり、前年度に比べて10.8%増加し、過去最多となりました。

この記事では、いじめの定義や具体例を挙げるとともに、いじめをなくすための対策について解説します。

いじめの定義とは

2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」には、いじめとは何かが定義されています。

第一章 第二条(定義)

この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

この定義によると、いじめの被害を受けた当事者が心身の苦痛を感じている場合、そのすべてがいじめとみなされます。このような定義が定められた背景には、いじめによる心身への影響やトラウマなどが表面上は分かりにくいこと、そして加害行為の有無を見極めるのが困難な場合があるため、被害を受けている当事者の立場に立った判断基準が採用されているという事情があります。

いじめの定義は、1986年に文部科学省によって初めて明記されてから、時代に合わせて何度も改正されてきました。2013年には「いじめ防止対策推進法」が施行され、インターネットを通じた行為も含まれるようになりました。学校内外だけでなく、起こった場所や対面での行為かどうかは定義に含まれません。

「いじめ防止対策推進法」には、これらの定義を含め、国や地方公共団体・学校・教職員・保護者の責務やいじめ防止のための措置、重大事態への対処などが明記され、いじめ防止のための総合的で効果的な対策の推進を求めています。

いじめの具体例

近年、いじめは場所を問わず発生し、その行為がエスカレートしているといわれます。どのような行為がいじめにあたるのでしょうか。具体的な事例を見ていきましょう。

学校でのいじめ

令和4年の調査結果では、小中高、特別支援学校のいずれにおいても、「冷やかしやからかい、悪口や嫌なことを言われる」がいじめのなかで、最も多く起きていることが分かりました。次いで、小中、特別支援学校では「軽くぶつかられる、遊ぶふりをして叩かれる、蹴られたりする」が多く、高校では「SNSやネットでの誹謗中傷」でした。

  • 冷やかしやからかい、悪口や嫌なことを言われる
  • 軽くぶつかられる、遊ぶふりをして叩かれる、蹴られたりする
  • SNSやネットでの誹謗中傷・仲間はずれにされる
  • 持ち物を壊される、隠される、汚される、捨てられる
  • 仲間はずれ・集団による無視をされる
  • 嫌なことを強要され
  • 金品の要求や窃盗を強要される
  • 暴力を振るわれる(叩く、蹴る、押す、突き飛ばすなど)

職場でのいじめ

いじめは学校や子どもたちの間だけで起きるものではありません。文部科学省のいじめの定義は学校に限定されていますが、職場でのいじめにあたるハラスメントも問題となっています。以下に職場で特に起きやすい4つのハラスメントを挙げました。

  • パワーハラスメント(パワハラ)
    職務業務上の人間関係を利用して、立場の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて行われることで、心身の苦痛を与えたり、就業環境を害したりする行為をいいます。
    具体的には、暴行や傷害、暴言・脅迫・名誉毀損、意図的な仲間はずれや無視、過大または過小な業務上の要求、プライバシーの侵害などがあります。
  • セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)
    職場において、意に反する「性的な言動」により労働上の不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されたりすることで、同性に対する言動も含まれます。
    具体的には、身体への接触、性的な関係の強要、性的な冗談やからかい、性的な情報の流布、強制わいせつなどがあります。
  • モラルハラスメント(モラハラ)
    言葉や態度、身振りなどによって働く人に精神的な苦痛を与え、その人が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせたりする倫理を逸脱した行為のことです。具体的には、人格の否定や暴言、無視、チーム・仲間から外す、プライベートへの介入、仕事に支障が出るような妨害行為などです。

オンラインでのいじめ

オンラインいじめ(ネットいじめ、オンライン・ハラスメント)とは、インターネットや携帯電話などのデジタル機器を通じて行われるいじめのことです。SNS、メッセージアプリ、オンラインゲーム、掲示板など、さまざまなオンラインプラットフォームで発生します。特に若年層において深刻な問題となっており、誹謗中傷や悪口の書き込み、仲間はずれ、なりすましなど、手口が多様化、巧妙化しています。匿名性が高く、加害者の特定が困難な場合もあります。

プラン・インターナショナルが、2020年に日本を含む31カ国の15歳~25歳の女の子と若年女性1万4000人を対象に実施した調査では、58%がオンライン上のいじめを経験したと回答しています。

画像:世界ガールズ・レポート2020『女の子にオンライン上の自由を』

世界ガールズ・レポート2020『女の子にオンライン上の自由を』

画像:プラン・ユースグループ実施 女の子・女性に対するオンライン・ハラスメント調査報告書 2021 年1月

プラン・ユースグループによる調査(2021年)
女の子・女性に対するオンライン・ハラスメント調査報告書

いじめをなくすために必要な取り組み

いじめへの対策や対応は非常に難しいものです。いじめをなくすためは、以下のような多角的なアプローチが必要です。

いじめ相談窓口や第三者委員会の設置

いじめの被害者は、誰にも相談できず一人で悩みを抱え込むことが少なくありません。東京都が2013年に行った意識調査では、いじめられた経験のある児童・生徒の75.4%が、相談できない理由として「被害が悪化するから」を挙げています。

全国には、国や地方自治体、NPOなどが運営するいじめ相談窓口が多数あり、子どもや保護者が電話やメール、チャットなどで相談できます(24時間365日対応の窓口もあります)。これらの窓口では匿名で話せるため、問題解決の糸口が見つかる可能性があります。

また、周りの人がいじめの兆候に気づいた場合に情報提供できる場所や体制を整備する必要があります。いじめが確認された場合、「いじめ防止対策推進法」により、学校には調査が義務付けられています。事態の悪化を防ぐためにも、第三者委員会などによる速やかな調査が求められます。

職場の場合、社内での相談が難しい場合や、相談窓口など相談先がない場合は、各都道府県労働局に相談できます。

教育・管理する側のトレーニング

学校の教職員や職場の管理者は、いじめやハラスメントに関する講習会や研修を受け、正しい知識を習得する必要があるでしょう。学校では、教職員と保護者の連携が重要となるため、日頃からの信頼関係がカギとなります。また、生徒が教員に相談しやすい関係を築くことや、いじめが相手に与える影響やその責任を生徒たちに伝えることも重要です。

職場のハラスメントは個人の問題ではなく企業全体の問題であり、企業の責任が問われます。対応次第で、訴訟や損害賠償、休職や退職などによる離職率の増加、企業イメージの低下、周りの社員への影響などが生じる場合もあります。

関係者全員が共通理解を持ち、いじめ問題を解決に導くための適切な対処法を学ぶことが重要です。

いじめのない未来のために:私たちにできること

いじめは被害者の心身に深い傷跡を残し、その後の人生に大きな影響を与える深刻な問題です。「被害を受けた側が心身の苦痛を感じるものすべて」がいじめと定義され、背景にはさまざまな要因が考えられます。いじめを行う側は、ストレスや不満のはけ口を求めていたり、コミュニケーション能力の不足など、何らかの問題を抱えていたりすることがあります。しかし、いかなる理由があろうと、いじめは決して許される行為ではありません。

いじめのない社会を実現するためには、一人ひとりが「いじめは許されない」という認識を持ち、互いの違いを受け入れ、尊重することが重要です。子どもたちが安心して学び、成長できる環境が求められます。

プラン・インターナショナルは、あらゆる差別、排斥、暴力、不平等に反対し、すべての人が社会に参加し、誰もが生まれながらにもつ権利を十分に享受できる世界の実現を目指しています。その活動の一環として、トーゴでは「障害のある子どもの教育支援」プロジェクトを通じ、障害の有無に関わらずすべての子どもたちがともに学べるインクルーシブな環境づくりに取り組んでいます。

写真:子どもクラブの活動の様子

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写真:プラン・スポンサーシップ

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