(2025年07月16日更新)
私たちが暮らす社会には、肌の色や性別、出身地など“生まれながらの違い”を理由に、人や集団を不当に扱う差別がまだ残っています。SNSやニュースで取り上げられるヘイトスピーチは遠い国の出来事ではなく、日本でも起きている問題です。
差別は当事者の尊厳だけでなく、社会全体の発展を妨げる深刻な人権侵害――。では具体的にどのような差別があり、私たちは何を学び、どう行動すればよいのでしょうか。
この記事では、世界と日本の差別の種類、影響、そして解決に向けて今日からできる取り組みを紹介します。

もくじ
世界にある主な差別の種類
下表は、国連や各国政府が報告する代表的な差別の形態をまとめたものです。
これらに共通するのは、「多数派から見て“異なる”とされる属性」や「社会的に弱い立場」に置かれやすい個人や集団が標的になりやすい点です。特に固定観念やステレオタイプが根深い社会では、“目に見える違い”だけでなく価値観や背景の違いが差別につながります。
| 差別の種類 | 主に差別の対象となる人 | どのような差別か |
|---|---|---|
| 人種や民族、肌の色などによる差別 | アフリカ系、アジア系、ラテン系、先住民族や少数民族など | 肌の色や民族的背景を理由に、不当な扱いや偏見を受ける。 |
| 性別による差別 | 女性・男性 | 性別を理由に役割や能力を決めつけられ、特に女性が不利な扱いを受けることが多い。 男性も「男らしさ」への固定観念で差別されることがある。 |
| 障害による差別 | 身体や心に障害のある人 | 障害を理由に教育や雇用の機会が制限されたり、社会から排除されたりする。 |
| 性的指向による差別 | LGBTQ+(同性愛者、トランスジェンダーなど) | 性的指向や性自認を理由に、差別や偏見、社会的排除を受ける。 |
| 宗教による差別 | 特定の宗教を信仰している人 | 宗教的な信念や行動を理由に偏見を持たれ、不当な扱いを受ける。 |
| 出生や出身による差別 | 移民、低所得家庭出身者、カーストの下層など | 家庭環境や出自を理由に、教育や就職などで不利な扱いを受ける。 |
| 病気による差別 | HIVやハンセン病の感染者、持病のある人など | 病気に対する誤解や偏見により、孤立し、日常生活で不平等な扱いを受ける。 |
| 政治的意見による差別 | 政党支持者、市民運動に関わる人など | 政治的な意見や活動を理由に差別され、時には抑圧や国外逃亡を強いられることもある。 |
歴史的には白人優位の植民地支配で黒人奴隷が固定化された人種差別問題が代表例。国連は1965年の「人種差別撤廃条約」を採択し、2023年2月時点で182 締約国が批准しました。しかし条約の施行だけで差別がなくなるわけではなく、各国が教育や雇用の「差別禁止」を盛り込んだ国内規定や救済 措置を整えることが不可欠です。
差別の撤廃は持続可能な開発目標(SDGs)の目標10「人や国の不平等をなくそう」でも掲げられており、国際社会の喫緊の課題です。
日本にはどのような種類の差別が存在する?
日本は、比較的平等な国と見なされがちですが、歴史的・文化的背景に根差した差別は依然として存在します。政府や自治体、民間団体の取り組みにより改善の兆しはあるものの、当事者からは「就職や結婚で差別を受けた」「SNSでヘイト発言を浴びた」といった切実な声が絶えません。ここでは代表的な3つの差別を取り上げ、現状と課題を整理します。
同和問題(部落差別)
現状
- 江戸期の身分制度が起源。戸籍閲覧や“出身地調査”など違法な差別行為が今も報告され、2023年度の人権侵犯事件新規救済開始件数は448件
- インターネット上での実名さらし、結婚・就職時の調査など差別が形を変えて残存
課題
- 学校・企業での啓発が不十分で、若年層の無理解が温床に
- 被害者が相談しやすい人権相談体制の強化と、差別情報の削除要請を迅速に行うインターネット対策が急務
アイヌ民族の人権問題
現状
- 2019年アイヌ施策推進法が成立し、先住民族としての権利が法律上初めて明記
- しかし令和4年調査で「差別や偏見がある」と感じる人は21.3%。旅行先での心ない発言など文化的無理解が続く
課題
- 法の理念を実効化する具体的措置(教育現場での歴史授業、自治体補助金の周知)が不足
- アイヌ語復興や伝統行事の保護に財源・人材が不足
- 観光開発とのバランスを取りつつ、土地利用や知的財産を尊重する枠組み作りが必要
在日外国人へのヘイトスピーチ
現状
- 2016年ヘイトスピーチ解消法により、特定国籍・民族への不当発言は禁止と明記
- 自治体条例(川崎市・大阪市など)の制定でデモ規制や罰則の動きが拡大
- しかしSNS上の匿名投稿や街宣活動は後を絶たない
課題
- 解消法は罰則がなく“理念法”に留まるため抑止力が弱い
- 被害者が泣き寝入りせず救済を受けられるよう、証拠収集支援や通報窓口の周知が不可欠
- 外国ルーツの子どもへのいじめ、就労差別を含む包括的な保護法整備と多文化共生教育が求められる
差別が社会や人々の心に与える影響とは
差別は当事者に深刻な心理的影響を及ぼします。暴力や排除といった直接被害だけでなく、「自分は価値がない」という自己否定感、学業・就職への意欲喪失など二次的なダメージが長期にわたり続くことが多いのです。経済面でも差別を受けたグループは教育年数や平均所得が低くなる傾向が報告され、格差が世代間で連鎖するリスクが指摘されています。
社会全体にとっても、差別は多様な人材が活躍する機会を奪い、持続可能な成長を阻む要因になります。逆に、包摂的な社会ではイノベーションが促進されるとの研究も多数あります。
詳しい背景や事例はこちら
差別のない未来へ―私たち一人ひとりにできるアプローチ
差別解消には、法や教育といった「上から」の対策に加え、市民が日常で行動を変える「下から」の働きかけが欠かせません。異文化や歴史を学んで自分の無意識の偏見に気づき、差別的言動を見かけたら冷静に「不適切だ」と示し当事者と連帯する。さらに、NGOや自治体の啓発活動をボランティアや寄付で支える—こうした小さな実践の積み重ねが差別の根を断つ力になります。

あらゆる差別に「No」を
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等な世界の実現を目指して活動している団体です。とりわけ、社会的に弱い立場に置かれている子どもや女の子の権利保護、教育機会の提供、貧困や差別の解消に注力しながら、世界80カ国でプロジェクトを実施しています。
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