(2026年02月24日更新)
「性の多様性」とは、人それぞれ異なる性別の感じ方や恋愛のあり方があることを指します。性は「男女」だけで分けられるものではなく、本人の認識や生き方によって多様です。この記事では、その定義や日本の現状、理解を深めるための制度や取り組みを紹介します。

- 性の多様性とは何か、性別・性的指向をどう考えればよいのか
- 日本における性の多様性をめぐる現状と、進みつつある制度や取り組み
- 日常生活のなかで、他者の人権を尊重するために私たちができること
もくじ
性の多様性とは?
性の多様性とは、性別や恋愛のあり方が人それぞれ異なることを指します。生物学的な性だけでなく、心の性や表現の仕方、恋愛感情の向きも含めて考えることが重要です。
性の多様性を構成する要素
性の多様性は、主に以下の4つの要素で捉えられます。
- 身体的性:生まれたときに身体的な特徴によって割り当てられた性別
- 性自認:自分自身がどの性別だと感じているかという自己認識、アイデンティティ
- 性的指向:恋愛感情や性的な関心が、異性、同性、両性など、どの性に向くか
- 性表現:言葉遣い、服装、仕草などで、どのように自身の性を表現するか
これらは固定されたものではなく、複雑に組み合わさり、一致しない場合もあります。性は「虹のグラデーション」と例えられ、象徴としてレインボーフラッグが使われます。
性の多様性を表す言葉「SOGIE(ソジー)」とは?
SOGIE(ソジー)とは、
- Sexual Orientation
(性的指向) - Gender Identity
(性自認) - Gender Expression
(性表現)
の頭文字をとった言葉です。
人が「誰を好きになるのか」「自分の性別をどのように認識しているのか」「服装や言葉遣いなどで性をどう表現するか」といった、性のあり方を総合的に表しています。SOGIEは、セクシャルマイノリティ(セクシュアルマイノリティ)だけでなく、すべての人が持つ性の多様な側面を説明するための概念です。
<コラム>性的マイノリティと「LGBTQ+」について
性のあり方は人それぞれ。でも社会のなかでは、「多数派」と違うというだけで少数者として扱われてしまう人たちがいます。こうした人たちは、性的マイノリティと呼ばれます。
「LGBTQ+」は、その代表的な呼び方のひとつです。

- Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)
- Gay(ゲイ、男性同性愛者)
- Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)
- Transgender(トランスジェンダー、出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人)
「+」には、アセクシュアルなど、ほかにも多様な性のあり方が含まれています。
大切なのは、ラベルを覚えることよりも、「人の数だけ性のかたちがある」と知り、人権尊重の気持ちを持つことです。
※ LGBTIQ+の表記について
プラン・インターナショナルの発信では、「LGBTQ+」という表記が用いられることもありますが、文脈に応じて「LGBTIQ+」という表記も用いています。これは、性的指向、性自認、身体の多様性を含むさまざまな人々の存在が、社会のなかで不可視化されないようにするためです。「I」はインターセックスを指しますが、その呼称や受け止め方には当事者の間でも多様な意見があることを認識しており、特定の表現を当事者や関係者に強いる立場は取りません。これらの表記はいずれも唯一の正解を示すものではなく、人権が尊重される社会を目指すための考え方の一つです。
「性の多様性への理解」について日本の現状とは?
日本では、性の多様性に関する認知は徐々に広がっていますが、学校や職場など身近な場面では、理解不足や偏見が残っています。特にセクシャルマイノリティ(セクシュアルマイノリティ)の当事者は、周囲の何気ない言動や決めつけにより、生きづらさを感じることがあります。
教育現場では、本人の同意なく性別や性的指向を他人に伝えてしまう「アウティング」が問題になることもあります。これはプライバシーの侵害であり、人権を損なう行為です。また、行政手続きなどでの性別欄や「男女」の二択を前提とした仕組みが、不便さにつながる場合もあります。
誰もが安心して過ごせる社会を実現するためには、他者の違いを尊重し、必要な支援や相談窓口につなげるなど、社会全体での理解促進が求められています。
<性的マイノリティの人たちが抱える困難の例>
- 自分が性的マイノリティであることが周囲に伝わったことで、家族との関係がぎくしゃくしてしまった
- 周囲の視線が気になり、病院を受診したり公衆トイレを利用したりすることを控えてしまう
- 賃貸住宅を探しても、属性を理由に入居を断られるなど、住まいを確保しづらい
- カミングアウトがきっかけで仕事を解雇されたり、決まっていた就職の内定を取り消されたりした
日本で進む「性の多様性」に関する取り組み
日本でも、性の多様性をふまえた法律や制度が少しずつ整ってきています。自治体や学校でも、誰もが安心して過ごせるようにするための工夫が進んでいます。
法律・政策面での取り組み
2023年6月には、「LGBT理解増進法(正式名称:性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)」が公布・施行されました。これは、性の多様性や人権に関する理解を社会全体で広げていくことを目的とした法律です。国や自治体には、差別をなくし、理解を深めるための計画づくりや施策を進める役割があります。また、企業にも、働く人への配慮や対応を進める努力が求められています。
自治体での取り組み
渋谷区で始まったパートナーシップ制度は、今では全国の多くの自治体に広がりました。この制度は、カップルが互いを「パートナー」として宣誓し、自治体が証明書を発行するものです。法律上の結婚と同じではありませんが、公営住宅の申し込みや病院での面会などで、家族に近い扱いを受けられることがあります。
教育現場での取り組み
学校でも、性の多様性に配慮した環境づくりが進んでいます。2022年の「生徒指導提要」では、性的マイノリティの生徒が学校で安心して過ごせるように、いじめ防止や支援の考え方が整理されました。「相談しにくい」「言いづらい」という気持ちに寄り添う取り組みや、相談窓口の案内など、日常の小さな場面での配慮が重視されています。
「性の多様性」を尊重するために私たちができることは?
性のあり方は一人ひとり違います。性の多様性を尊重する社会に向けて、特別なことをする必要はありません。日常のなかでできる小さな行動が、相手を大切にする大きな一歩につながります。
正しい知識を持ち、理解を深める
まずは、LGBTQ+や性の多様性について「知ること」から始められます。どんな言葉があり、どんな課題があるのかを知ることで、無意識の思い込みに気づきやすくなります。本や信頼できる外部サイト、当事者の声などを通して情報に触れることが、他者の人生や気持ちを想像するきっかけになります。
日常生活での言葉遣いに配慮する
何気なく使う言葉が、誰かを傷つけてしまうことがあります。
「男だから」「女らしい」といった決めつけや、恋愛を前提に「彼氏(彼女)は?」と聞くなど、相手の立場を限定してしまう言い方は避けたいところです。代わりに「パートナー」や「好きな人」など、誰にも当てはまる言葉を選ぶことで、相手のアイデンティティを尊重したコミュニケーションにつながります。
「性の多様性」に関するイベントに参加してみる
身近な行動として、関連イベントに参加してみるのもおすすめです。小さな一歩でも、互いを尊重しやすい社会に近づくことにつながります。
<すぐにできる行動の例>
- 学校や地域の勉強会、関連するイベントなどに参加してみる
- SNSで信頼できる情報をシェアしたり、支援の意思を示したりする
性の多様性を知ることは、互いを尊重し合う第一歩
性の多様性は、一人ひとりが自分らしく生きられるための大切な視点です。生まれたときに決められた性や周囲のイメージに必ずしも一致しなくても、どのあり方も尊重されるべきものです。
まずは知識を深め、日常の言葉や態度を少し意識することから始められます。小さな配慮が、相手のアイデンティティを大切にし、他者との関係をより安心できるものにしてくれます。
性の多様性をより広い視点でとらえたい場合は、「ジェンダー」「人権や差別」を扱った記事も参考になります。社会のあらゆる場面で“なぜ生きづらさが生まれるのか”を考えるきっかけになるはずです。
性の多様性に関するQ&A
運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。












