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スモーキーマウンテンとは?フィリピンのスラム街が抱える歴史と問題

(2023年11月16日更新)

セブ島の美しい海やダイビング、アジア圏での英語留学などで近年注目されているフィリピン。しかし、フィリピンのゴミの山「スモーキーマウンテン」と呼ばれたこの地では、かつて多くの貧困層の人々が苦しい生活をしていました。ここでは、スモーキーマウンテンの歴史や人々が抱える問題について解説します。

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スモーキーマウンテンとは

「スモーキーマウンテン」は、フィリピンのマニラ市北部に位置するトンド地区にあるスラム街にできたゴミ集積所のことです。持ち込まれた廃棄物は、地面からただ積み上げていくオープンダンプ方式が採用されていました。大量のゴミが持ち込まれた約29ヘクタールの巨大なゴミ山は、焼却処理をしていないゴミが自然発火し、煙が絶えないことから「スモーキーマウンテン(Smokey Mountain:煙の山)」と呼ばれるようになりました。

写真:ゴミを拾って生活する人々

ゴミを拾って生活する人々

このエリアには一時期およそ3000世帯、2万1000人を超える人々が暮らしており、ゴミの中からリサイクルできるもの、換金できるものを拾って生計を立てていました。こうした暮らしをしている人々は腐った肉を食べる動物を意味する「スカベンジャー」と呼ばれていました。

スモーキーマウンテンの歴史

ゴミの山はいつ、どのようにできたのでしょうか。ここでは、スモーキーマウンテンの歴史と現在を振り返ってみたいと思います。

スモーキーマウンテンができるまで

スモーキーマウンテンがあるトンド地区はかつて漁村でした。1954年にゴミの投棄場所になって以来、マニラ市内から出た大量のゴミが持ち込まれるようになり、漁業ができなくなったトンド地区に住む人は、代わりの仕事としてゴミの中からお金になるものを拾い集めて生計を立てるようになりました。そこから次第に職がない人々が日銭を稼ぐために集まるようになり、周囲の治安も悪化していきました。

スモーキーマウンテンの閉鎖

フィリピン政府は、ゴミの山として世界的に有名になってしまったスモーキーマウンテンが、国のイメージを損なうことを危惧し、1994年にスモーキーマウンテンへのゴミの廃棄を禁止します。ゴミ処理場を移転させ、地域の再開発政策を始めました。1995年にはスモーキーマウンテンに居住していた人々は半強制的に退去させられ、政府の用意した仮設住宅に移住していきました。

第2のスモーキーマウンテン「スモーキーバレー」の誕生

閉鎖されたスモーキーマウンテンの代わりに、ゴミ処理場はケソン市北部にあるパヤタス・ダンプサイトと呼ばれる廃棄物処分場に移転されました。パヤタスのゴミ処理場は、スモーキーマウンテンにちなんで、「スモーキーバレー(Smokey Valley:煙の谷)」と呼ばれています。1960年代から始まった廃棄物の集積は、1990年代に広く知られるようになりました。そしてスモーキーマウンテンから強制退去をさせられ、政府の仮設住宅の家賃が払えなくなった住民たちもこちらに移住するようになりました。

写真:スモーキーバレー

スモーキーバレー

現在は、ゴミ山の中に住居を建てることは禁止され、ケソン市当局の許可がないと入れないようになっています。しかし現実は、フィリピンの貧困層の人々がゴミを拾って生計を立てなければならないという問題は解決しておらず、人々がこの生活から抜け出せるよう支援することが必要です。

スモーキーマウンテンの現状と問題

スモーキーマウンテン、スモーキーバレーでの生活はどのようなものだったのでしょうか。ここでは、人々が抱えている問題について説明します。

子どもたちが学校に行けずに貧困から抜け出せない

スモーキーバレー、スモーキーマウンテンでは大人に混じり、未就学児や学齢期の子どもたちも毎日ゴミ山に登り、換金できるゴミを探しています。一家総出でゴミを探さないと暮らしていけないからです。一日中働いても、一家のその日の収入は約100~300ペソ(263円~789円 *2023年10月時レート)です。ゴミ山に登る子どもたちの多くは学校に通えていません。学校に通えない子どもたちは、読み書き計算などを身につけられないため、仕事に就くことができず、大人になってもゴミ捨て場からの生活を脱することができません。

写真:ゴミを拾って生活する人々

治安が悪く犯罪率が高い

スモーキーバレー、スモーキーマウンテンには、仕事を失った人たちも集まってきます。日銭を稼ぐために人が多く集まる場所になっているため、窃盗、スリ、暴力などの犯罪が発生します。そういった犯罪に子どもたちが巻き込まれるリスクも少なくありません。

写真:ゴミを拾って生活する人々

衛生環境が悪く病気にかかりやすい

ゴミの自然発火による有害な化学物質の発生などが原因で周辺の生活環境が悪化していきます。汚れた空気のなかでゴミを拾っている人々が呼吸器系の病気にかかることもあります。また、ゴミを拾う際に軽装でゴミの山を登るため、釘などを踏んだ傷から破傷風になることもあります。その日暮らしの一家には、医療にまわせるお金がなく、治る病気で命を落とす人もいます。また、働くことができなくなると、収入がなくなり、さらに貧困に陥ります。

危険と隣り合わせの環境

ゴミの山には毎日、大型トラックがゴミを運んできます。他の人よりも早く換金できるゴミを見つけるために、トラックに近寄ったり、ゴミを下ろしている途中からゴミを拾い出したりする人たちがいます。走行中のトラックに轢かれて死亡するなど、ゴミを拾うことは常に危険との隣り合わせです。
2000年7月には積み上げられてきたゴミの山が崩落し、およそ500軒の住まいが巻き込まれ、数百名の命が奪われるという痛ましい事故が発生しました。急斜面にゴミを積み重ねていたことと、何日も続いた雨が原因で、ゴミで形成された地盤が緩んだことが原因とも言われています。

複雑な問題を根本から解決する地域開発

フィリピンのゴミ集積場での問題は、人々の健康、子どもたちの教育や保護、保健衛生、ゴミ拾いに代わる収入手段の確保などさまざまな課題が複雑に絡み合っています。どれかひとつだけの問題に注力するのではなく、根本的な問題を見極め、解決することが望まれます。

プラン・インターナショナルが行っている「プラン・スポンサーシップ」は地域の抱える課題を多面的に解決する支援方法です。

地域が抱える問題はそれぞれ異なります。
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