(2026年05月07日更新)
貧困の撲滅は、2030年までに達成すべきSDGs(持続可能な開発目標)の目標1にも掲げられている、世界が取り組むべき重要な問題です。貧困に苦しんでいる人々が多い国や地域について知り、国際社会の一員として私たちにできることは何かを考えていきましょう。

国内避難民キャンプに暮らす女の子(ソマリア)
この記事では、世界と日本の貧困の最新状況と、解決を阻む要因、そして私たち個人にできる具体的な支援を整理します。
- 最新の貧困の定義と、世界・日本の貧困率の現状
- 貧困が解決しない主な理由(紛争・気候変動・物価高騰とジェンダー格差)
- 困支援で個人にできること(寄付・エシカル消費・情報発信・継続支援)
もくじ

貧困の連鎖を断ち切る - 子どもたちの"生きていく力"を支えませんか
1日約50円からの寄付 すでに選択しています
世界の貧困率を知るための基礎知識|貧困の定義と種類
世界の貧困の定義
貧困にはさまざまな定義がありますが、国際的には、世界銀行が定める国際貧困ラインを下回る暮らしを送っている状態が、「極度の貧困」と定義されます。「極度の貧困」とは、最低限の栄養、衣類、住まいのニーズが満たされていない状態を指します。

わずかな食料を家族で分け合う(ブルキナファソ)
国際貧困ライン(International Poverty Line)とは
世界銀行によって定められた貧困を定義するためのボーダーラインで、購買力平価(PPP)に基づいて算出されます。購買力平価とは「ある国である価格で買える商品やサービスが他の国ならいくらで買えるかを示す換算レート」を指します。
最初の国際貧困ラインは「1日1ドル(米ドル)」でしたが、2005年には「1日1.25ドル」に、2015年には「1日1.9ドル」に、そして2022年9月には、世界的な物価上昇を反映して「1日2.15ドル」、2025年には「1人1日3ドル」へと引き上げられました。
2025年の最新状況においても、この「1日ドル」が国際的な「極度の貧困」を測る主要な指標として継続して使用されています。しかし、パンデミックや紛争の影響で、貧困削減のスピードは以前よりも緩やかになっていることが指摘されています。
貧困の種類
絶対的貧困
JICA(国際協力機構)によると「最低限必要とされる食糧と食糧以外のものが購入できるだけの所得または支出水準(=貧困ライン)に達していない状態
」を絶対的貧困といいます。
たとえば、「住む家がない」、「食べ物がない」、「子どもの体重が平均を下回っている」といった状態は、絶対的貧困にあたります。

子どもの上腕周囲を測って栄養状態を確認(ニジェール)
相対的貧困
その国の水準で比較した際に、大多数よりも貧しい状態
※1を相対的貧困といいます。先進国を中心に増えており「隠れた貧困」とも呼ばれます。所得中央値の一定基準(貧困ライン)を下回る等価可処分所得しか得ていない人の割合を、相対的貧困率といいます。
OECD(経済協力開発機構)※2
による加盟38カ国の相対的貧困率ランキングによると、最も貧困率が高い国は中米のコスタリカ(20.3%)で、ルーマニアとイスラエルがそれに続きます。日本は7位(15.7%)で、G7(主要7カ国)のなかでは最も貧困率が高い結果となっています。

日本における相対的貧困|「見えない貧困」と教育格差
「日本は豊かだ」と思われがちですが、厚生労働省の2022年調査によると、日本の子どもの約9人に1人(11.5%)が相対的貧困の状態にあります。これは、1クラス30人の教室であれば、3〜4人が該当する計算です。
最近では、自治体による就学援助や、地域の方々が運営する子ども食堂、NPOによる放課後の学び支援などが広がっています。これらは単なる食事提供の場ではなく、家庭でも学校でもない「第三の居場所」として、子どもたちの孤立を防ぐ重要な役割を担っています。
「日本の子どもの貧困」と「世界の絶対的貧困」。場所や基準は違えど、「すべての子どもが未来に希望を持てる社会をつくる」という目標は共通しています。日本国内の支援活動に目を向けることも、私たちが今日からできる大切な一歩です。
世界の貧困率や貧困率の高い国は?
世界のなかでも貧困率が高いのは、どの国や地域なのでしょうか。ここでは2015年と2022年の状況について、データを基に説明します。
2025年における貧困率の高い国【上位5カ国】
国際通貨基金(IMF)の2025年予測データによると、世界の貧困状況は依然として深刻な地域に集中しています。
かつてはアジアの人口大国も含まれていましたが、現在の極度の貧困層は主にアフリカ諸国や紛争の影響を受ける国々に集中しています(下表は1人当たり購買力平価GDPに基づく最新指標)。【国別】1人当たり購買力平価(PPP)GDPが低い国(2025年予測)
WorldAtlasなどが引用した最新の経済指標に基づくと、世界で最も経済的に困難な状況にある上位5カ国は以下の通りです。
順位国名1人当たりPPP GDP(予測値)
| 順位 | 国名 | PPP GDP |
|---|---|---|
| 1位 | 南スーダン | $716 |
| 2位 | ブルンジ | $1,015 |
| 3位 | 中央アフリカ | $1,330 |
| 4位 | イエメン | $$1,675 |
| 5位 | モザンビーク | $1,729 |
| 1位 | 南スーダン $716 |
|---|---|
| 2位 | ブルンジ $1,015 |
| 3位 | 中央アフリカ $1,330 |
| 4位 | イエメン $1,675 |
| 5位 | モザンビーク $1,729 |
プラン・インターナショナルの調査から見る「貧困のリアル」
プラン・インターナショナルでは、世界各地で子どもや女の子の権利に関する調査や現地ヒアリングを継続的に実施しています。こうした調査からは、統計だけでは見えない貧困の実態が浮かび上がります。
例えば、紛争地域や貧困地域では以下のような問題が報告されています。
- 家計を支えるために学校を辞めざるを得ない子ども
- 水汲みや家事の負担で教育を受けられない女の子
- 生活の困窮から早すぎる結婚を強いられる女の子
こうした状況は、単なる「所得の低さ」ではなく、教育・健康・安全など多くの権利が同時に奪われる「多面的な貧困」として現れます。
プラン・インターナショナルでは、現地の声をもとに教育支援や児童婚防止、緊急人道支援などの取り組みを進めています。
世界の貧困は“構造問題”でもある|女の子や女性に影響が集中する理由
貧困率が高い国や地域では、どのようなことが起こっているのでしょうか。ここではアフリカとアジアに目をむけ、国や地域の現状を見ていきましょう。
貧困は「その国だけの問題」ではなく、世界全体の課題

カメルーンに逃れた人々のための難民キャンプ
サハラ以南のアフリカなどで深刻な貧困が続いている背景には、紛争や気候変動、経済格差など複数の要因が重なっています。しかし近年の国際会議では、こうした問題を単なる地域の課題としてではなく、「世界全体の構造的課題」として捉える議論が広がっています。
2024年にブラジルで開催されたW20(Women20)会議では、女性の経済参加や気候変動への対応など、貧困とジェンダー格差が深く結びついていることが議論されました。
その中では特に、気候変動などのグローバル課題に対して、歴史的に多くの温室効果ガスを排出してきた先進国(グローバルノース)が、資金や政策面で責任を果たす必要があるという指摘もなされています。
また、女性や女の子は教育や雇用機会へのアクセスが制限されやすく、貧困の影響をより強く受ける傾向があります。そのため、貧困問題を解決するには、単なる経済支援だけでなく、ジェンダー平等や教育機会の拡大といった視点を含めた包括的な対策が必要とされています。
アジアの貧困の現状
アジアには今も、貧困や差別によって未来を閉ざされている子どもたちが数多く存在します。特に女の子たちは、生まれ育った地域や家庭の事情によって、教育の機会を奪われたり、自分の意思とは関係なく人生の選択を迫られたりすることが少なくありません。
ベトナムの農村部では、少数民族の間で18歳未満での結婚(児童婚)が深刻な問題となっています。北部に多く暮らすモン族では、18歳未満で結婚する割合が51.5%に達しており、18歳未満の女性の出産件数も全国平均の2.5倍に上ります。幼くして妻となった女の子たちは家庭内で発言権を持てず、未発達な体での出産により健康を損なうなど、さまざまな困難を抱えています。
ベトナム「早すぎる結婚の防止」プロジェクト

早すぎる結婚の防止について話し合う子どもたち

スラム街で水汲みをする女の子(インド)
インドでは、性暴力をはじめとするジェンダーに基づく暴力が依然として深刻です。被害を受けた女の子たちは、差別や経済的困難から適切な支援を受けられないことも多く、貧困と差別が絡み合う構造的な問題となっています。
インド「暴力の被害にあった女の子を守る」プロジェクト
こうした課題の解決には、教育と機会の提供が不可欠です。アジアの貧困問題は経済的困窮にとどまらず、教育格差やジェンダー差別など複合的な要因が絡み合っており、それらに向き合う継続的な支援こそが、貧困の連鎖を断ち切る鍵となります。
懸念される子どもの貧困
世界の子どもの貧困の現状に関してUNDPは統計学的に有意な低下が見られていないことに触れ、就学率の低さや低栄養などの形で表面化している子どもの貧困は、今後も引き続き喫緊の課題
※1であると指摘しています。UNICEF(ユニセフ)とWorld Bank(世界銀行)は2020年に発表した報告書のなかで、推定6人に1人、世界で3億5600万人の子どもたちが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前の段階から極度の貧困状態にあり、今後もこの状況は悪化していくだろう※4と警鐘を鳴らしています。

貧困の連鎖を断ち切る - 子どもたちの"生きていく力"を支えませんか
1日約50円からの寄付 すでに選択しています
貧困の要因
人々が貧困に陥る背景にはさまざまな要因や事情があります。ここでは「紛争」と「災害」がどのように貧困をもたらすのかを解説します。
紛争や政情不安による生活基盤の破壊
紛争は家や仕事を奪うだけでなく、人々の生存基盤そのものを破壊します。避難先で働く手段を持たない難民や国内避難民は、現金収入が得られず、日々の食事すらままならない極限の困窮状態に置かれます。
2026年1月の報告によると、隣国スーダンでの紛争激化により、膨大な数の人々が南スーダンへと逃れています。避難先の仮設シェルターは衛生環境が悪く、医療制度も整っていません。
そのため、栄養不足から病気を患っても回復の保障がない過酷な状況が続いています。特に深刻なのが、避難生活を送る「女の子や女性」が直面するリスクです。教育の断絶と暴力の脅威:学校に通えなくなるだけでなく、避難先や移動経路において、ジェンダーに基づく暴力(GBV)の危険にさらされています。

スーダンでの紛争激化から逃れてきた人々のための仮設シェルター(南スーダン)
紛争によって荒廃した国土では農業などの基幹産業も立ち行かなくなります。国の経済が悪化し、公的支援が届かないなかで、最も弱い立場にある子どもたち、とりわけ女の子たちの未来が奪われ続けているのが現状です。
災害・気候変動による食料不安と収入の喪失

地震で崩落した建物(マンダレー)
自然災害は、人々の生活基盤を一瞬で破壊し、深刻な貧困へと突き落とす大きな要因です。地震や洪水、台風などの被害によって、毎年多くの人々が新たに貧困状態に陥っています。
もともと社会的に弱い立場に置かれていた人々は、一度の災害で家財や農地を失うと自力での回復が難しく、貧困が固定化する「負の連鎖」に陥りやすくなります。
過去には南スーダンで38万人が洪水被害に遭い(2021年)、ミャンマーでは2025年3月28日に発生したマグニチュード7.7の大地震により、3,800人が死亡し、5,100人以上が負傷、約20万人が避難生活を余儀なくされるなど、大規模な災害が繰り返されてきました。
出典:2026年現在の課題:慢性化する気候変動の影響と女の子の危機
近年では、突発的な地震だけでなく、気候変動による「慢性的な災害」が世界各地で深刻化しています。
プラン・インターナショナルでは、こうした過酷な状況に対し、子どもたち、特に困難に直面しやすい女の子を守り、地域全体の回復力を高めるための包括的な支援を行っています。
緊急人道支援:食料や清潔な水、衛生用品の配布に加え、子どもたちが安全に過ごせる「子どもひろば」を設置し、心のケアや教育の継続を支えます。
貧困撲滅に向けた取り組み
貧困問題の解決に向けて、世界ではさまざまな取り組みが行われています。多角的な活動の例を紹介します。
貧困撲滅はSDGsの目標1に掲げられている
SDGs(持続可能な開発目標)では目標1に「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」ことを掲げています※1
。目標1達成のために世界ではいくつもの貧困対策が行われています。
たとえば、UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)はタンザニアで「食の多様化と栄養改善を目的とした家庭菜園プロジェクト」を実施。難民キャンプで難民の人々がキーホールガーデン(鍵穴型の家庭菜園)を作ることを支援し、自給自足を促しています※2。
- ※1「JAPAN SDGs Action Platform」(外務省)
- ※2『革新的な「キーホールガーデン」が難民の栄養改善の一翼を担う』(国連UNHCR協会)
プラン・インターナショナルでは子どもや若者への支援を行っている
プラン・インターナショナルでは、世代を超えた貧困のサイクルを断ち切るために、若者の生計向上を支援しています。中米のホンジュラスでは、14歳から24歳の農村地域で暮らす女の子を対象に起業支援を実施。自尊心やコミュニケーションスキルを向上させるトレーニングも同時に行いました。

起業し雑貨店を経営する女性(ホンジュラス)
また、貧困家庭の子どもたちが健やかに成長できるような環境づくりにも力を入れています。ラオスでは、助産師育成プロジェクトを実施し、地域の女性たちが安心して子どもを出産できる環境を整えました。

助産師トレーニングの様子(ラオス)
世界の貧困の現状に対して、わたしたちにできること
世界共通の課題である貧困をなくしていくためには、国際社会が一丸となって取り組み続ける必要があります。そのなかで、私たち1人ひとりにできることは何でしょうか。今日からでも始められることをご紹介します。
現状を知り、周囲に伝える(SNSや地域での学び)
まずは現状を正しく知ることが第一歩です。この記事の内容を家族や友人と共有したり、SNSでシェアしたりすることも、社会の関心を高める立派な活動です。
プラン・インターナショナルでも、メールマガジンや公式SNSで、イベント情報や活動レポートなどの情報を発信しています。ぜひご登録ください。
買い物で支援する(エシカル消費)
「フェアトレード」ラベルの商品を選ぶことで、途上国の生産者に適正な賃金が支払われ、現地の自立を直接サポートできます。

職業訓練の一環でジュート麻の工芸品づくりを学ぶ若者(バングラデシュ)
寄付で活動を支える(プラン・スポンサーシップ/プラン・グローバルサポーター)
専門知識を持つNGOに資金を託すことは、最も効率的な支援方法の一つです。
プラン・スポンサーシップ
特定の地域の子どもと手紙を通じて交流し、その子が暮らすコミュニティ全体の発展を支える継続的な仕組みです。
プラン・グローバルサポーター
毎月の寄付を通じて、早すぎる結婚(児童婚)の防止や教育支援など、緊急性の高い課題を幅広く支えます。
運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。















