(2024年09月06日更新)
ポリティカルコレクトネスとは、「あらゆる差別的な表現をなくしていこう」という考え方のこと。多様性が尊重される現代社会において重視されている概念です。
この記事では、ポリティカルコレクトネスについての基礎知識から、特に企業において取り組むことのできる具体的対策まで、わかりやすく紹介していきます。

もくじ
ポリティカルコレクトネス(political correctness)とは?
日本語では、「政治的正しさ」「政治的妥当性」などに訳されることが多いこの用語。ここでは、ポリティカルコレクトネスの意味や、それが社会に浸透していった背景や理由について見ていきましょう。
ポリティカルコネクトネスの意味
ポリティカルコレクトネスは、「人種や性別、年齢などに基づくあらゆる差別的な表現をなくそう」という考え方、またそのための対策を指します。「ポリコレ」や「PC」と略されることもあります。
もともとは米国で1960年代から1970年代にかけて、「政治的正しさ」の厳守を求める言葉として広まりだしたものです。近年では、「マイノリティの人々や特定のグループなどに対する従来の表現や認識を見直し、偏見や差別を減らす」という意味合いでも使われるようになりました。
ポリティカルコレクトネスが求められている背景
ポリティカルコレクトネスにより、差別的な表現を減らしていくことは、持続可能な開発目標(SDGs)にも掲げられているジェンダー平等の実現や、人や国の不平等の是正にもつながります。
人やもの、お金、情報などが国境を越えて行きかうようになったグローバル社会において、異なる文化や価値観を持つ人々同士が円滑なコミュニケーションを図り共存していくためには、相互理解と配慮が不可欠。ポリティカルコレクトネスは、多様な人材が活躍しやすい世界をつくっていくためにも必要な考え方なのです。

日本におけるポリティカルコレクトネスの例
日本でも、海外でポリティカルコレクトネスが浸透するにつれて、職業名の変化や、それに付随する服装や制度上の変化などが見られるようになっています。具体例を見ていきましょう。
名称に関する表現の変化
以下の事例のように、現在では、性別や人種などの違いによる偏見や差別を排除した表現が使用されるようになっています。
人種における表現の例
- インディアン→ネイティブアメリカン
- 黒人→アフリカ系アメリカ人
性別における表現の例
- 看護婦→看護師
- スチュワーデス→客室乗務員、キャビンアテンダント
- カメラマン→フォトグラファー
このほか、学校や企業でも、名前の後につける敬称を性別によって変えずに、「〜さん」で統一する動きが広がっています。
服装に関する表現の変化
ジェンダーニュートラルな制服
学校や職場での制服を男性、女性を問わず着用できるデザインに。女性もズボンの選択ができるようにしたり、スーツや革靴、パンプスの着用指定をなくしたりといった取り組みも進められています。宗教的シンボルの尊重
特定の宗教や文化に関連する服装(ヒジャブやターバン)などを学校や職場で着用することを認めるなど、宗教に配慮した変化も生まれています。制度・ルールの変化
書類の性別記入欄を「男性」「女性」「その他」から選択できるようにする、自治体によってはパートナーシップ制度※の導入が始まるなど、制度やルール面でのポリティカルコレクトネスの実践が見られるようになってきています。
- ※地方自治体などが、戸籍上同性のパートナーとの関係を婚姻と同等であると認め、公的な証明書を発行する制度
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企業がポリティカルコレクトネスに取り組むことで期待できる効果
企業経営においても、ポリティカルコレクトネスを実践することは、社会的な信頼や企業価値を高めることにもつながるとされています。具体的には次のような効果が期待できます。

社内外からの信頼の維持・向上
企業がポリティカルコレクトネスを実践することは、危機管理の強化にも役立ちます。ポリティカルコレクトネスを無視した対応を行うと、批判を浴びるリスクが。対策することで、不適切な発言や行動による炎上リスクを低減でき、ブランドイメージの向上も期待できます。
新たなアイデアや解決策の創出
異なる文化や価値観を尊重する環境は、自由な発想やクリエイティブな思考を促進します。従来の枠にとらわれない、市場の多様なニーズに応える新しいアイデアや解決策が生まれやすくなります。多様な視点や経験を持つ人材も集まってくるでしょう。
従業員の意欲・生産性の向上
公平で尊重される環境は、職場全体の生産性を高めやすいといえます。チームワークの強化や離職率の低下にもつながります。
企業がポリティカルコネクトネスに配慮する際に気をつけること
一方で、行き過ぎたポリティカルコレクトネスは世間へネガティブな印象や影響を及ぼすことも指摘されています。それだけでなく、表現の自由の侵害や言葉狩りなどに発展してしまうこともあるため注意が必要です。
インターネット上では「ポリコレ棒」という言葉も生み出されています。ポリティカルコレクトネスに対して批判や反論をした人をむやみに攻撃する現象は、ポリコレという武器で人を叩くことに喩えられ、「ポリコレ棒」という俗語で呼ばれるようになりました。
ポリティカルコレクトネスの行き過ぎを防ぐために、別の対策を講ずる場合もあります。差別的な用語が含まれる古典的な文学作品に「作中には差別的表現が含まれる恐れがあります」という表記を添えることなどは、その一例です。
企業の活動においても、消費者からのSNS上などでの批判への過剰な対応が、火に油を注ぐ事態を生む場合も往々にしてあります。注意すべき点を以下に挙げました。
企業がとるべき対応は?
求人募集や採用面接における差別的な表現・規定がないか確認する
従業員の待遇等に性別などによる差別が生じていないか、制度を見直す
広告やキャンペーンなどの発信内容に差別や偏見が含まれないよう細心の注意を払う
行き過ぎた批判に対し過剰な配慮をしすぎないことも重要
このほか、ポリティカルコレクトネスの実践を推進する第三機関や当事者などに表現上の問題がないかを相談することもおすすめします。
ポリティカルコレクトネスを実践し多様性を尊重した組織や社会を作っていきましょう
ここまでお読みいただき、ポリティカルコレクトネスを実践しあらゆる差別的な表現をなくしていくことは、SDGsにも掲げられているジェンダー平等の実現や不平等の是正だけでなく、組織や企業の信頼向上にもつながっていくことをご理解いただけたのではないでしょうか。

国際NGOプラン・インターナショナルは、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を軸に毎年800以上の企業・団体など、さまざまなステークホルダーの皆さまと連携をしています。アジア・アフリカ・中南米の約50カ国以上の活動国で、地域に根ざした支援活動で培った専門性やネットワークを生かし、目標達成に取り組んでいます。
ポリティカルコレクトネスの実践にあたっては、ブランドイメージや企業評価の向上など、企業・団体の皆様にとってもメリットある協働先として、ぜひプランとの連携をご検討ください。
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