(2025年11月19日更新)
この記事では、SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」のねらいと具体的な達成目標をやさしく解説し、世界・日本の最新状況と課題(水質・インフラ・不平等・気候影響)を整理しながら、国際機関や自治体・企業・NGO・個人の取り組みと、私たちが今日からできる行動を紹介します。
もくじ
SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」とは
世界中の誰もが、安全できれいな水と清潔な衛生設備(トイレなど)を等しく利用できるようにする――SDGs目標6はその実現をめざす国際目標です。水は命を支え、清潔・健康・安全な生活環境は暮らしの質を守る基盤。教育や就労の継続、ジェンダー平等の前進など、多方面に波及する“根幹”の課題です。

ユニセフなどの報告では、約21億人が「安全に管理された飲み水」へアクセスできず、それは世界人口の約4人に1人に当たります。2024年時点で約34億人が「安全に管理された衛生サービス」を受けられず、約3億5,400万人は屋外排泄を余儀なくされています
。これは水源汚染や感染症拡大、さらには女性や子どもの安全リスクを高めます。
だからこそ、SDGs目標6の達成は国際社会にとって極めて重要です。安全な水とトイレへの平等なアクセスは、健康を守り、教育機会を広げ、経済活動を支える“基盤投資”。インフラ整備と維持管理、衛生習慣の普及、気候変動への適応や資金・人材の継続的な確保を、各国・企業・市民が連携して進めることが求められます。
「SDGs 6.安全な水とトイレを世界中に」のターゲット(具体的な達成目標)
目標6では、2030年までに誰もが安全な飲料水と衛生的なトイレを使用することを目指しています。あわせて、水質改善や、水の無駄遣いを減らしたり、頻繁に発生する洪水や干ばつなど水の災害に備えたりするなど、包括的な取り組みを行います。
| ターゲット(具体的な達成目標) | |
|---|---|
| 6.1 | すべての人が安全で安価な水を飲んだり使ったりできるようにする。 |
| 6.2 | 適切なトイレと下水施設を整備し、すべての人が野外で排泄しないですむようにする。 |
| 6.3 | 汚染物質、化学物質、未処理の排水を減らして水質を改善する。 |
| 6.4 | あらゆる関係者が水の効率的かつ持続的に利用し、水不足に悩む人を減らす。 |
| 6.5 | 国境を越えて水資源を統合的に管理する。 |
| 6.6 | 山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼など、水に関係する生態系を守る。 |
| 6.a | 開発途上国で水と衛生の状況を改善するために、技術や教育分野で国際協力を行う。 |
| 6.b | 水やトイレを管理する地域コミュニティを強化する。 |
SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界に」の達成状況
安全な水とトイレは誰にとっても欠かせません。世界では改善が進む一方、2030年までの達成は厳しい見通しです。途上国の深刻な課題、日本の残る弱点と必要な対策を解説します。
世界全体の進捗
2015年以降、安全な飲料水や衛生設備へのアクセスは各地域で改善が進みましたが、現状のペースでは2030年までの達成は極めて難しいと見込まれます。特に途上国では、水質汚染、トイレ不足、上下水道のインフラの未整備など、複合的な課題が深刻です。気候変動による干ばつや洪水、都市部の急速な人口増加が状況をさらに悪化させ、水不足問題が起きています。目標達成には、資金・技術・人材をいかした協力を進めながら、水やトイレの整備、そして衛生習慣を広げていくことが大切です。

干ばつにより荒れた畑(ザンビア)
日本の状況
「持続可能な開発報告書2025」によると、日本の総合順位は19位
でした。少しずつ改善されてはいるものの、目標6はまだ課題があるとされ、2030年までの達成には及びません。主な課題は、水道管などインフラの古さによる故障・漏水、そして海外から食べ物や製品を買うことで、工場などでその生産に使われた水(海外の水資源)を間接的にたくさん使っていることです。今後は、水道インフラの修繕、水の再利用の拡大、企業や自治体がサプライチェーン全体で水の負担を減らす取り組みを進め、着実に前に進むことが必要です。

世界における水問題の現状
安全な水と衛生的なトイレは命と暮らしの基盤です。しかし世界では、約22億人が安全な水を使えず、34億人が衛生的なトイレを利用できません。乳幼児の死亡や教育機会の喪失を招く問題点を、データとともにわかりやすく解説します。
4人に1人が安全な水を利用できないでいる
世界の約21億人が「安全に管理された飲料水」を使えません。「安全に管理された水」とは、自宅でいつでも利用でき、水質が汚染されていないことが条件です。湖や川など未処理の地表水を使用する人は1億1500万人、生きるための最低限の水も確保できない人は約7億人に上ります。改善は進んでいるものの、地域や所得による格差が大きく、安定的な給水体制の整備が急務です。

5人に2人が衛生管理されたトイレを利用できないでいる
日本では水洗トイレの普及率が90%を超えていますが
※、世界では約34億人が、衛生的に管理されたトイレを使えません。衛生的なトイレとは、汚染を防ぐ設備や安全な汚物処理が確保されている施設を指します。4億1900万人は野外排泄をしており、その9割が農村部に暮らしています。2020年からは改善が見られるものの、都市と農村の格差は依然大きく、インフラ整備と衛生教育を同時に進める必要があります。
学校に男女別のトイレを建設(ウガンダ)
不衛生な環境が原因で命を落とす人が多くいる
飲用に適さない水には、泥や細菌、ふん尿、化学物質が混じり、下痢や水系感染症を引き起こします。特に抵抗力の弱い乳幼児が犠牲となり、汚水を原因とする下痢などで年間約30万人、毎日800人以上が亡くなっています。安全な水とトイレの不足は、コレラ、赤痢、腸チフスなどの拡大にもつながります。そのため、水質の改善、浄水・下水処理、衛生施設へのアクセス向上が命を守る鍵となります。
女性や子どもたちが水汲みの仕事に縛られている
多くの途上国では水道が整っておらず、水汲みは女性や子どもが担っています。サハラ以南のアフリカだけでも330万人を超える子どもが、毎日長時間を費やして遠くの水源へ往復しています。重い水を運ぶ負担で、学校や仕事の時間・体力が奪われ、教育機会の喪失や貧困の連鎖を招きます。近距離で安全な水を確保する設備整備と、地域の支援体制強化が重要です。
干ばつ下のソマリアで水くみに行く11歳の女の子
SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界に」達成に向けた取り組み
安全な水とトイレをすべての人へ届けるためには、国や自治体だけでなく、企業、NGO、そして一人ひとりの協力が欠かせません。ここでは、世界各地や日本国内で進む多様な取り組みを紹介し、目標6の達成に向けた実践例を見ていきます。
世界の取り組み
安全な水と衛生の確保は、国境を越えた課題です。各国政府、国際機関、民間が連携し、資金・技術・人材を動員する協力体制が進んでいます。国連の水分野を束ねる調整役としてUN-Water(国連水関連機関調整委員会)が機関間の協働を促し、データ整備や政策支援を主導。2023年には46年ぶりに国連水会議が開催され、約200の国や地域、機関が参加し、国際的な連携強化の必要性を話し合いました。
日本国内・自治体の取り組み
日本は、途上国に対して技術協力や資金支援を通じ、浄水・下水処理、漏水対策、災害に強い水インフラの整備を支援しています。国内でも老朽化対策や再生水の利活用を進め、都道府県・自治体レベルでは節水啓発キャンペーンや水資源の教育を学校に導入。地域の事業者と連携した節水型衛生設備の普及、住民参加のイベントや水質保全活動など、足元からの取り組みを積み重ねています。
NGO/NPO団体の取り組み
ラオス北部の山岳地域にあるウドムサイ県は、貧困率の高さに加え、多くの学校で子どもたちが安心して使える給水・衛生設備が備わっていません。プラン・インターナショナルでは、小中学校における水のアクセスの改善や衛生設備の建設・修理を行い地域住民による管理体制の強化、子どもたちが正しい衛生習慣を身につけたり、健康に関する課題に対応できたりすることを目指しています。

子どもたちが手洗いや飲み水として使う池の水
個人の取り組み
日本の1人1日あたりの生活用水使用量は224リットルで、イギリス(151リットル)、ドイツ(115リットル)より多めです。特に水使用量の割合は「風呂・シャワー」が高いため、身近な節水が効果的です。例えば、蛇口をこまめに閉める、油汚れは拭き取ってから洗うことで洗剤の使用を少なくする、入浴やシャワーの時間を短くする、洗濯に残り湯を使う、といった日常生活の小さな工夫で家庭からの余分な水を減らすことができます。

あわせて、水問題を知り、理解を深めることも大切です。地球温暖化が進むと、干ばつや洪水を引き起こします。安全な水が得にくい地域では、水不足や水質汚染が健康や教育に影響します。現状を学ぶことで、自分にできる支援が見えやすくなります。水と衛生分野に取り組む団体への寄付・募金が、給水設備の整備、衛生的なトイレの設置、手洗い教育や衛生用品の提供など、現地での直接的な支援につながります。
企業の取り組み
多くの企業が、SDGsの目標6を達成するために、水や衛生に関する技術を開発しています。安全で清潔な水を供給するためのインフラの整備や安価で安全なトイレを提供するための事業に基づく支援を行う他に、寄付・募金でNGOを支援し、企業の資金・技術力とNGOの現場知見を組み合わせることでその効果を最大化させています。プラン・インターナショナルのような団体への協働は、教育や衛生啓発、緊急時の衛生キット配布にも波及し、サステナビリティのある社会的インパクトを生み出します。

水道施設などのインフラ支援(ネパール)
私たちにできることから、「安全な水とトイレのある未来」を築く
安全な水と衛生的なトイレは、人々の健康・教育・経済を支える社会の基盤です。しかし、世界ではいまも多くの人が清潔な水やトイレを利用できず、生活や学びの機会が制限されています。
この課題の解決には、政府や企業の取り組みに加え、私たち一人ひとりの意識と行動も欠かせません。
節約・節水や再利用の工夫、環境に配慮した製品の選択、寄付・情報発信など、日常の選択が持続可能な社会づくりにつながります。
持続可能な水の利用と衛生環境の整備は、次世代の安心を守るための共通の責任です。身近なところから、一歩ずつ行動を始めてみませんか。

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運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。










