(2025年01月22日更新)
長期の内戦、紛争により難民の数が膨れ上がっているシリア。2024年12月8日、50年以上にわたり独裁政治を敷いていたアサド政権が崩壊し、その後暫定政権が誕生しました。しかし、依然として多くのシリア人が難民、国内避難民としての暮らしを余儀なくされています。
この記事では、シリア難民が生まれた背景と現状、難民の人々が必要としている支援について解説します。ともに理解を深め、私たちにできることを考えていきましょう。どうぞ最後までご覧ください。

もくじ
シリアで難民が生まれた背景
シリアでは、2011年の「アラブの春」に端を発した内戦や外部勢力の介入により、長期間にわたって大規模な破壊と混乱が続いています。政府軍と反政府勢力の衝突に加え、複数の武装勢力や過激派の存在が治安をいっそう悪化させました。
内戦によって道路、病院、学校などのインフラが広範囲に破壊され、経済活動も大きく停滞したため、生活基盤を失った人々は他国への避難を余儀なくされました。

難民キャンプの生活(ヨルダン)
アサド政権が崩壊した現在でも、新たに権力を握った勢力同士の対立や地域ごとの利害衝突の可能性が残り、根本的な安定には至っていません。復興までの道のりは依然として長く、国外に避難している難民が安心して帰還できる状況にはほど遠い現状です。
シリア難民の現状
UNHCRによると2024年2月時点で、シリア国内避難民は720万人、周辺国へ避難している難民は505万人、シリア国内で人道援助を必要としている人が1670万人
いるといわれています。2020年の新型コロナウイルスの拡大では、もともと衛生環境が脆弱だった難民キャンプ内では医療体制にさらなる負担を与えました。
また、世界中で起こっているさまざまな紛争による人道支援の不足や、2023年に発生したトルコ・シリア地震でインフラが破壊され、復旧には長い時間がかかります。

地震の被害にあった地域(シリア)
アサド政権の崩壊後、インフラや雇用機会の不足、治安の不安定、ウクライナ紛争による物価の高騰により家族が安心して生活できないため、国外に避難していた人々が帰還をためらうケースもあります。
シリア難民が避難している国や地域
世界全体でシリア難民を受け入れている国は126カ国にのぼります。なかでも全体の80%を超える避難民をトルコ、レバノン、ヨルダン、イラク、エジプトなどの近隣諸国が受け入れています。
ドイツやオーストリアをはじめとする欧州諸国でもシリア難民を多く受け入れていますが、受け入れに積極的な国と慎重な国で差が見られます。日本もシリア難民の受け入れを行っていますが、年間10人未満と難民申請者数に対し、認定数は世界的に見て少ないといえます。
シリア難民が求めている支援とは
シリア難民は長期的な紛争や政治・経済の混乱、度重なる災害の影響などによって、国内外で厳しい環境に置かれています。ここでは、シリア難民が特に必要としている支援を、食料支援、医療や衛生設備の整備、教育支援の3つの視点から解説します。
食料の支援
国連WFPによるとシリアは世界で6番目に食料不安を抱える人口が多い国で、人口の半分以上にあたる約1210万人が食料難に陥っています。
内戦による農地の荒廃や物流ルートの寸断、燃料や化学肥料の高騰などが原因で農業生産が大幅に落ち込み、十分な食料を安価に入手できる状況ではありません。
隣国に逃れた難民の多くも、失業状態が長期化し、継続的な収入を得られないまま生活しているため、十分な食料を確保できない世帯が後を絶ちません。
そのためJICAなどの国際機関やNGOが食料の配布や、食品を購入できるクーポンの配布、現金での支援など食料支援を行っていますが、特に乳幼児や妊婦、高齢者など栄養不良に陥るリスクが高い人々には支援が急務となっています。

難民キャンプで暮らす家族
医療や衛生環境の整備
シリア国内の病院や診療所は内戦で大きく被害を受け、医療従事者も難民として国外に流出しました。そのため、国内では医療設備が極度に不足し、在外難民に対しても受け入れ先の医療システムが圧迫されています。
予防接種を受けられず、感染症が流行しやすい環境になっている地域もあります。適切な手洗いや清潔な飲料水の確保がままならないため、コレラなどの水系感染症のリスクが高くなっています。
支援機関が巡回診療や簡易クリニックを設置し、医薬品や保健サービスを提供している場合もありますが、資金、物資不足で支援を十分にカバーしきれないこともあります。
教育機会の確保
紛争によって学校や教育施設が破壊されたほか、難民として国外に逃れた子どもたちの多くが、言語や文化の違い、保護者の経済状況、受け入れ国の教育制度との調整不足などにより十分な教育を受けられません。経済的困窮から子どもが働かざるを得ない「児童労働」の問題も深刻で、それが長期的に学力の低下や将来の職業選択の狭まりにつながっています。
難民が帰還するか、第三国に定住・移住して新たに生活基盤を築くにしても、読み書きや算数などの基礎教育はもちろん、職業訓練などを受けられる環境がないと自立が難しくなります。子どもの学習の遅れが長く続くと、さらに社会から疎外されやすくなり、貧困の連鎖が深まるリスクがあります。

難民キャンプで学ぶ子どもたち
プラン・インターナショナルの難民支援にご協力ください
プラン・インターナショナルはこれまでにもエジプト、ヨルダンに避難しているシリア難民の子どもの教育支援や児童婚のような慣習やジェンダーに基づく暴力をなくすための啓発活動、トルコ・シリア地震の緊急支援などを実施してきました。

被災者に緊急支援物資を支給
近頃は日本国内のニュースでシリア難民の現状が取り上げられる機会が大幅に減り、その苦境が見えづらくなっています。しかし、紛争や災害などで国を追われ、困窮する難民の問題は依然として世界各地で深刻です。難民一人ひとりが安全や教育を守られる社会を目指すためにも、プラン・インターナショナルの活動に目を向けてみませんか。
シリア難民支援単独の活動こそありませんが、世界各地で苦境に陥っている難民を支援することで、困難な状況に置かれた子どもたちが安心して暮らせるようサポートできます。
あなたの思いが、一歩一歩未来を変えていく力になるのです。
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国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。












