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ルッキズムとは?注目されている理由や差別をなくすために必要な支援

(2024年07月26日更新)

昨今、「ルッキズム」という言葉が日本でも聞かれるようになりました。人を外見で判断し、差別したり偏見を持ったりすることを指す言葉です。
今回は、「ルッキズム」の意味や背景に加え、派生する問題、その解消に向けた取り組みなどについて解説します。

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「ルッキズム」とは?近年話題になっている背景

それではまず、「ルッキズム」という言葉がいつどこで生まれたのか、なぜ話題に上るようになったのかを見ていきましょう。

ルッキズム(lookism)とは

「ルッキズム」とは、外見や身体的特徴に基づいて他者を差別する思想や社会現象を意味します。この言葉は、1970年代にアメリカのメディアによって作られた造語で、外見・容姿を意味する「look」と、主義をあらわす「ism」を組み合わせてできたものです。日本では「外見至上主義」と訳されることが多く、最近になってよく使われるようになりました。

ルッキズムが近年話題になっている背景

ソーシャルメディアの影響

「ルッキズム」が近年話題になっている背景には、ソーシャルメディアが大きく影響しています。インフルエンサーや有名人だけでなく、身近な同年代の人たちがSNSに投稿した写真や動画によって、誰もが容易に他人との比較ができるようになりました。「いいね」の数やフォロワー数・リポストなどの目に見える形での評価が重視される風潮が生まれ、自分への評価となるそれらの数を増やすために、他の誰かよりも見栄えがよく、褒められる姿を見せなければ、と感じる人が増えているようです。

多様性と包摂性(D&I)の推進

一方で、こうした傾向を是正する動きもあります。持続可能な開発目標(SDGs)の目標10「人や国の不平等をなくそう」の実現には、「ルッキズム」を含むあらゆる差別をなくす必要があります。多様性と包摂性(D&I:Diversity and Inclusive)を推進するために、相手の違いを受け入れ尊重し、ルッキズム的な考えを見直していこうという機運も高まっています。

実際に若者たちはルッキズムをどう捉えているのでしょうか?

プラン・ユースグループが、2023年に15〜25歳のユースを対象に、ルッキズム(外見至上主義)を考える「容姿に対する意識調査」を行いました。「自分の容姿について悩んだことがありますか」という質問に対して、全体の9割を上回るユースが「いつも悩んでいる」、もしくは「悩んだことがある」と回答。女性に至っては、92.8%にも及んだことから、容姿がいかに多くの若者たちにとって無視できない問題であるかが分かります。

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また、女性の半数以上が自分の容姿に関心を持つきっかけとして、「友人との会話」と「SNS」をあげています。10〜20代は、周りの人たちに影響を受けやすい時期であり、他人の評価に左右されやすい傾向にあることも大きく影響しているようです。

画像:先住民族の小学校教育プロジェクト

ルッキズムに関する意識調査報告書~プラン・ユースグループが発表~

ルッキズムが関係している社会の問題

SNSや学校・職場などだけではなく、家庭という非常に身近な環境で「ルッキズム」を経験することも少なくありません。親が子どもたちの容姿や身体を兄弟姉妹で比べ、どちらかを太っている、醜いと発言し続けた、という例もあります。それがコンプレックスとなり、根深い心の傷を長年にわたって抱え続けている人もいます。ここからは、「ルッキズム」が人々や社会に及ぼす深刻な影響について考えていきましょう。

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差別や格差の助長

「ルッキズム」は、単に「外見を重視すること」を意味する訳ではありません。その人の中身ではなく、見た目だけで人格を判断することは、個人によるさまざまな差別や偏見を助長するリスクをはらんでいます。例えば、特定の人種の持つ身体的な特徴が、それ以外の人種よりも優れていると賞賛したり、顔のしわや頭髪の量で年齢を断定したりすることなどです。これらは、人種差別(レイシズム)、年齢差別(エイジズム)、性差別(セクシズム)などにつながります

メンタルヘルス不調者の増加

「ルッキズム」によって体や心の健康が害され、メンタルヘルスに不調を感じる人も増えています。誰かに自分を外見で判断されることを恐れ、人前に出ることや人前で発言することができなくなってしまう場合もあります。また、SNSなどによって他人を匿名で容易に批判する事例も増えており、心ないコメントや誹謗中傷を受け続けることによって、以下のようなメンタルヘルスの問題を抱えてしまう場合もあります

摂食障害

痩せたいという願望から食事を取れない、食後に嘔吐する、下痢を誘発する行為を意図的に行うなど、深刻な場合は命の危険を伴うこともあります。

醜形恐怖症(身体醜形恐怖症)

実際には存在しないか、他人には深刻に見えないような自身の外見上の「欠点」にとらわれて、人目につかないように外出を拒むなど、日常生活に支障をきたしてしまうことです。「自分は醜い」という考えから抜け出せなくなり、その身体の「欠点」について毎日何時間も考えたり、何度も鏡を確認したり、美容整形を繰り返し行ったりするなど、深刻な事態に陥ってしまうこともあります。

不適切な評価の横行

人材採用などの場面において、評価が適切に行われていないことも。「顔採用」という言葉があります。履歴書に顔写真の提供を求めることも外見によって人をジャッジ(判断)する「ルッキズム」を助長する典型例と言えるかもしれません。

画像:ジェンダーって?「男らしさ、女らしさ」とはなんだろう

ジェンダーって?「男らしさ、女らしさ」とはなんだろう

ルッキズムの解消に向けた世界の取り組み

ここまで見てきたように、「ルッキズム」が人や社会に与える影響は甚大です。世界で多様性を受け入れる考え方が重視されるなか、「ルッキズム」をなくそうという動きも活発化しています。

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プラスサイズモデルの活躍

これまでブランドが起用するファッションモデルは、極端に痩せた背の高い人に限られていました。それが美の基準とされ、多くの女性だけでなく男性をも苦しめてきました。昨今、平均体重以上のモデルを「プラスサイズモデル」として、世界的に有名なブランドが起用するようになりました。これは、身体的な多様性を尊重しようというブランドや企業の動きで、アメリカではプラスサイズファッションの市場が定着しています。

広告ルールの変更

北欧ノルウェーでは、特定のボディイメージが決めつけられやすい対象の広告や写真などについて、厳しく規制されています。広告のイメージが与えるアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)が若者に悪影響を与えていることから、企業やインフルエンサーなどが編集・修正した写真を掲載する場合、そのことを開示する規定のラベルを付ける義務があります。また、ステレオタイプに基づく商品の紹介やカタログ作成なども禁止されています。

ミス・ミスターコンテストの廃止

日本の大学や自治体においては、外見を重視したミス・ミスターコンテストの廃止や選考方法の見直しが進んでいます。外見が分からないように顔を隠したり、性別や国籍、未既婚を不問にしたり。代わりに発想のユニークさや行動力などを評価する方向へ変わってきているようです

誰もが自分らしく、生きることができるように

外見はその人のほんの一部でしかありません。その人の人間性や能力、可能性とは関係のないことです。「ルッキズム」が生み出す差別や偏見、不平等は、あらゆる人の個性や可能性を奪ってしまう恐れもあります

私たち一人ひとりは皆違う、かけがえのない存在です。外見だけでなく、お互いの違いを受け入れ、相手を尊重する気持ちがあれば、誰もが生きやすい社会に近づけるのではないでしょうか。誰もが外見に捉われることなく自分らしく生きていける世界の実現にむけて、あなたも一歩を踏み出してみませんか

プラン・インターナショナルは誰もが平等な世界の実現を目指して活動しています。

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運営団体

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

写真:プラン・スポンサーシップ

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