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【第7報】ロヒンギャの人々を襲う脅威~新型コロナウイルス対策緊急支援~

アジア

緊急支援

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新型コロナウイルス対策緊急支援

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2020年5月15日に世界に、衝撃のニュースが駆け回りました。世界最大規模とされるロヒンギャ難民キャンプ内で、新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したロヒンギャ難民が特定されたのです。それはプラン・インターナショナルを含む支援団体がもっとも恐れていた事態でした。

現在、隣国ミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民約86万人が、人口密度が非常に高い難民キャンプ内で、感染者発覚の事実に怯えながら先の見えない日々を過ごしています。一方、ミャンマー国内に残るロヒンギャの人々も、相変わらず数多くの人権が制限されたまま、感染症に関する正しい知識を得ることもなく不安を募らせ暮らしています。

プランは2017年にミャンマー国内のロヒンギャへの支援を開始し、2018年には支援対象をバングラデシュ南部の難民キャンプにも拡張しました。現在はミャンマー、バングラデシュ両国において「ロヒンギャの子どもの保護と教育」プロジェクトを実施しています。

世界的感染拡大(パンデミック)を引き起こした新型コロナウイルス(COVID-19)は、難民や国内避難民など、避難を余儀なくされた人々へも猛威を振るい始めています。プランが支援する活動地域も、新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威から逃れることはできず、感染拡大を抑制するために継続的な支援が必要な状況が続いています。

バングラデシュの状況

人口1億6000万人以上が暮らすバングラデシュは、国内の人口密度の高さ、医療システムの脆弱性、自然災害リスクの高さなどの理由から、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が非常に懸念されている国の一つです。2020年3月8日に国内で最初の感染者が確認された後、感染は徐々に国内で広がり、5月20日時点で2万5000人以上の感染者と370人の死亡者が確認されています。3月末には国内の学校を一斉に休校する処置がとられ、公共の交通機関も全土で運営を中止しています。プランの事務所も政府の方針に従い一時的に閉鎖しており、プラン職員は原則自宅で勤務しています。

  • ※WHOウェブサイトより

これまでの予防策

バングラデシュ全土の学校休校が決まると、難民キャンプ内でプランが支援する学習施設も閉鎖することになりました。食料配布やクリニックの運営といった必要最低限の支援を残して、キャンプ内のほとんどの支援活動が中断。プランはキャンプが閉鎖されるまでの短期間に、学習施設を手伝うボランティアや教師を対象に、感染症からキャンプ内のコミュニティを守るための啓発セッションを行いました。

狭いキャンプ内では、人と人との間に適切な距離を保つことは物理的に難しいのですが、感染拡大防止のために実践していかなければならないことは多くあります。この啓発セッションに参加したロヒンギャのリーダーたちが、その後各コミュニティ内で同様の啓発活動を行うことを念頭に入れて、キャンプ閉鎖前の短い期間になんとか簡易研修を行うことができました。

写真:衛生キットを配布

衛生キットを配布

キャンプが閉鎖されたあとは、コミュニティ・ボランティアが先頭に立ち、家にある素材でハンドソープやマスクの自作方法をコミュニティ内で伝播する活動が始まりました。コミュニティを対象とした衛生啓発活動もコミュニティ・ボランティアが継続して行っており、4月中には6000人以上の住民が啓発活動に参加しました。

写真:自宅にある材料でマスクを縫う男性

自宅にある材料でマスクを縫う男性

手洗いの啓発をするコミュニティ・ボランティア

手洗いの啓発をするコミュニティ・ボランティア

これらの活動はプランが難民キャンプ内で行う感染拡大防止活動の一部です。前述の通り、キャンプ内には約86万人のロヒンギャ難民が密集して暮らしています。5月15日に感染者が特定されると、難民キャンプ内に一層の不安が急激に広がりました。感染者救援および感染拡大防止のための包括的な支援の迅速な実施が求められています。

ミャンマーでのロヒンギャ支援

バングラデシュとは大きく異なり、ミャンマー国内における新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は少し緩やかに進行しています。5月20日時点において、ミャンマー全土で確認されている感染者の数は191人であり、死亡者数も6人に留まっています。しかしながら、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)のニュースはミャンマー国内でも大々的に報道されており、人々は日々不安を募らせています。またバングラデシュと同様にミャンマーも自然災害リスクが高く、社会サービスのインフラがとても脆弱な国です。このことも人々の不安を増大する一因になっています。

  • ※WHOウェブサイトより

続く武力衝突

ミャンマー国内でロヒンギャが居住するラカイン州において、プランは子どもたちが安全に暮らすための環境づくりを支援しています。しかしながら、ラカイン州内ではラカイン族武装勢力とミャンマー国軍との衝突が2019年より断続的に続いており、プランの活動にも大きな影響を与えています。

度重なる武力衝突の結果、対象地の訪問も行うことができない日々が続き、支援活動は対象村在住のコミュニティ・ボランティアが中心となって実施しています。そのような環境のもとでも、対象地域内で増加する新型コロナウイルス(COVID-19)への不安に対処できるよう、4月には石けんや啓発教材の配布といった活動を辛うじて実現することができました。

コミュニティ・ボランティアの登録

コミュニティ・ボランティアの登録

また、武力衝突の被害を受け、避難所生活を余儀なくされているラカイン族の人々もラカイン州内には存在します。ロヒンギャのみならずそのような紛争の影響を強く受け、非常に弱い立場に置かれているラカイン族に対しても、ロヒンギャと同様の感染予防支援を行う予定です。

ラカイン州のように紛争の影響を強く受ける地域では、感染者に適切な治療を行うのが困難なだけでなく、感染拡大防止の啓発活動の実施も非常に難しくなります。日々増大する人々の不安に寄り添った支援を続けられるよう、継続して状況を見守っていく予定です。

緊急支援物資の配布

緊急支援物資の配布

担当行政官への支援物資の受け渡し

担当行政官への支援物資の受け渡し

さらなる支援が必要

プランが支援を実施しているバングラデシュのコックスバザール県とミャンマーのラカイン州の活動地域では、各国政府による通信制限が行われてきました。また、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプでは、ロヒンギャのSIMカード購入が公式には認められていません。そのため、ロヒンギャをはじめとする少数民族や近隣ホストコミュニティはインターネットにアクセスできず、十分な情報を得ることが難しい状況です。

物資を受け取りに来た難民の熱を測る

物資を受け取りに来た難民の熱を測る

活動に必要な連絡や報告ができないだけでなく、命を守るのに必要な行動をとるための正しい情報や医療へのアクセスも遮断されています。またオンラインでの教育へのアクセスもできません。4月16日、プランを含む国際支援団体26団体は、通信制限の解除を求めた要望書を、バングラデシュ政府およびミャンマー政府に提出しました。引き続きプランは状況の改善を注視しています。

倉橋 功二郎職員

プラン・インターナショナル
プログラム部 倉橋 功二郎職員

2020年5月15日にバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで、最初の感染者が確認されました。世界最大の、それも非常に人が密集して生活している難民キャンプ内での感染拡大は、新たな人道危機を引き起こしかねません。プランをはじめとする支援団体の活動にさらなる制限がかかることを危惧しています。キャンプ内のみならず、近隣のホストコミュニティの人々に恐怖心が生まれ、軋轢や暴力の原因にもなります。キャンプ内外の感染者を増やさないために、これまで以上の対応と支援が求められています。

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