(2025年02月19日更新)
ウクライナからルーマニアへ避難した親子(2022年3月)
皆さん、こんにちは。アドボカシーグループのアンナ・シャルホロドウスカーです。
2025年2月24日、現在も続くウクライナでの全面的な紛争が勃発してから3年の節目を迎えます。その間、私や他のウクライナ人の生活は根底から変わってしまいました。この紛争によって数えきれないほどの破壊と、非常に多くの犠牲者という最悪の事態が生じ、悲惨な結果がもたらされました。さらに、800万人超が国内避難民となり、約700万人が生き延びるためにウクライナを離れ、世界各地に移住して、新しい生活を始めることを強いられました。
私は、プラン・インターナショナルで働き始めて以来、日本に避難したウクライナ人の状況や生活に関する複数の調査を実施してきました。第4弾となる今回は、紛争により避難民となったウクライナ人がG7諸国(カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・イギリス・アメリカ・日本)でどのような生活を送り、どのような障壁や困難に直面し、どのような未来を望んでいるかについて調査し、レポートにまとめました。
ウクライナ避難民調査の背景と目的
ウクライナでの全面的な紛争で、私の友人や知人の大半が世界各地に逃れ、新たな土地で新しい生活を築こうとしました。しかし、次第に連絡は途絶えてしまいました。私は、これまでプランで行ってきた調査を通じて、日本に避難してきたウクライナ人の状況や支援の実態、抱えている課題について理解を深めてきました。参考として日本以外の国々で暮らすウクライナ避難民への具体的な支援や興味深い事例についても調べるうちに、現在どのような支援を必要としているのか、調査してみたいと思うようになりました。
調査対象候補となる国を検討した際、世界に大きな影響力を持ち、避難民の受け入れに関して異なる独自の経験を持っているG7を対象にすることを決めました。ウクライナ避難民への支援が徐々に縮小されていることを踏まえ、それらの国々でウクライナ人が現在どのような生活を送り、何を必要としているのかを調べたいと思いました。
G7諸国を対象とした調査の進め方と課題
調査の開始時、G7に避難したウクライナの人たちを見つけることが、最大の困難でした。しかし、私は過去にウクライナ各地でさまざまなプロジェクトやイベントに参加した経験から、G7各国に最低1人、インタビューに同意してくれる知人を見つけることができました。同意してくれた方が他の人を紹介してくれたことで、最終的にG7各国に住むウクライナ人27人から話を聞くことができました。
私が大変感銘を受けたのは、オンラインでのインタビューに応じてくれた多くのウクライナ人たちが、オープンに経験を共有してくれる姿でした。インタビューでは現在の生活や直面する困難についてできるだけ詳細に説明しようとしてくださる方が多く、時には3時間に及ぶことも。また、日本はまったく異なる神秘的な未知の国と感じられるようで、多くの人から日本の生活支援や私の経験についての質問を受けました。日本の支援に非常に感銘を受け、日本がこんなにも温かくウクライナ人を受け入れていたとは想像もできなかったという声が多く寄せられました。
インタビューとは別に、紛争によりG7諸国に避難したウクライナ人へのオンライン調査も実施しました。できるだけ多くの回答を集めるため、私は定期的にG7各国のウクライナ人オンライングループにGoogleフォームのアンケートを配信しましたが、各国から均衡した数の回答を集めるのは困難でした。アンケートの最後に、多くの回答者が、他のG7諸国の状況について知るために、この調査の結果を待っていると記していました。
各国比較から見るウクライナ避難民支援制度の特徴
G7諸国でのウクライナ避難民の生活を調査した結果、各国が支援において特徴的な強みと弱みを持ち、また特定の面で特殊性や独自性を持っていることに気づきました。たとえば、EU諸国(G7ではフランス・ドイツ・イタリア)では、ウクライナ人に同様の支援(滞在許可・就労機会の提供・住宅・医療・社会支援等)が保障されていますが、国ごとに異なる特徴がみられました。また、現在の避難民としての地位や支援を継続的に受けるための条件も国によって異なり、イギリスでは求職状況の定期的な報告が必要とされるのに対し、ドイツでは求職状況の定期的な報告に加え、統合コースへの参加が求められています。

そして、各国の避難民に共通する課題(就職活動・自己実現・言語習得・現地の文化や考え方への適応等)の他に、制度や国の状況により、特殊な状況や要素もみられました。たとえば、フランスでは大勢の避難民が流入したことにより、6カ月ごとの一時保護資格の更新が困難になり、資格を失う事態が起きています。イタリアでは、プログラムに留まるためには、2日ごとに移民センターに顔を出す必要があります。
一方で、ウクライナ避難民に対する支援は限られていたものの、移民の数が多く、さまざまな面で社会支援が充実しているカナダのような国もあるようです。そうした支援制度を利用することで、ウクライナ避難民の適応が容易になっている例がみられます。
調査を終えて感じたこと
今回の調査を通じて、現在G7諸国に住む知人たちと面会する機会が得られたことは、嬉しい経験でした。各国の多様な特徴や独自の側面にも興味を惹かれました。避難民への支援や人々のニーズは時間とともに変化し、各国によっても異なりますが、世界中の避難民が直面する最大の課題はどの国にも共通するものです。
このため、相互の要望に合わせて生活のさまざまな面を支援するメンタープログラムなど、実施されている取り組みのいくつかは、複雑な問題の解決を部分的に支援し、適応を促すうえで極めて効果的かつ重要であると思われました。
調査レポートは閲覧用資料にも掲載されていますので、ご興味があればご覧いただけますと幸いです。






