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(2025年06月10日更新)


「女性性器切除(FGM)」という言葉を聞いたことはありますか?

はじめて聞くという方も多いのではないでしょうか。

  • ※Female Genital Mutilation

「女性性器切除(FGM)」とは、女性器の一部、あるいは全体を切除する行為のこと。
大人になるための「通過儀礼」などとして、アフリカを中心に、中東、アジアの約30カ国で行われています。もちろん、正しい医療行為ではなく、心身に深刻なダメージをもたらす重大な人権侵害です。

今回は、日本人にあまり知られていない「女性性器切除(FGM)」の問題について、少しでも知って、考えるキッカケになればと思い、わかりやすく解説していきます。

「大人になるのは嬉しい!」だけど…

この問題を身近に感じてもらえるように、「ある女の子」のストーリーを想像してみましょう。

アフリカに暮らす女の子は、いつも母親に「あなたはまだ本当の女性ではない」、「いつか清められて、本当の女性になれる」と言われ続けてきました。

そう聞いて育った女の子は、「早く大人の女性になりたい!」と、キラキラとした瞳で、その瞬間を楽しみに待っています。

9歳のとき、「その時」が訪れました。
母親から「大人になるために”大事なこと”をするから」と、ある場所へ連れて行かれます。

そこには、カミソリを持って待ちかまえる施術者が。女の子はそこで初めて、自分の女性器に刃が入れられるという現実を知るのでした。

施術は何時間もかかり、麻酔は一切ありません。大量の出血と激痛が走るなか「大人になるためだから…」と、ひとり苦しみに耐えなければならないのです──。

この話はフィクションではありません。ソマリアで生まれ育ったサフィアさんの実体験です。

サフィアさんの体験は、施術を受けたすべての女の子に当てはまるわけではなく、数ある事例の一つにすぎません。それでも、これは世界でいまなお続く「女性性器切除」という過酷な現実の一端なのです。

なぜ「女性性器切除(FGM)」が行われるの?

「女性性器切除(FGM)」は、女性の外部生殖器の部分的または全体的な切除をするもので、約2,000年前から慣習として行われています。
施術を受ける年齢は10歳前後の子どもから大人まで。

アフリカを中心に、中東、アジアの約30カ国で行われており、ユニセフの推計によると、少なくとも約2億3000万人以上が経験しているとされています※1
また、FGMを受ける女の子が、今から2030年までに約7,000万人増えるとも試算されています※2

なぜ、このような慣習が続いているのでしょう?
主な理由は「大人への通過儀礼」や「結婚の条件」などです。

他にも「処女を保つため」「女性の浮気を防ぐため」といった、人権を無視した恐ろしい理由も。
また、「宗教の教え」と誤って思い込んでいる人が多いことも、原因のひとつとされています。

切除の方法はさまざまですが、麻酔のない、非衛生的な環境で行われることもあり、激痛を伴い、大量出血や感染症、ショック死などの危険も。FGMは医学的な根拠はなく、深刻な身体的・精神的被害を引き起こします。

一時的な痛みだけでなく、長期的には性交痛や不妊、合併症など、一生を通じて健康リスクがつきまとうのです。

プレッシャーで「自己決定権」が奪われる

「女性性器切除(FGM)」の根深さは、それが「暴力」としてではなく、疑わざる「慣習」として行われてしまう点です。

「これであなたも一人前の女性になれる」
「恥をかかずに、よい家に嫁げる」
「家の名誉のために大切なことだから」

そんなふうに、親や祖父母、近所の人々が「良かれ」と思っている場合も。女の子たちも、強いプレッシャーに従わざるを得ない状況なのです。

また、施術の痛みに耐えることは、夫に従順に使える「教育」の一部とされている地域も。施術を受けないと「汚れ」として、地域から排除されるリスクがあるのです。

男性が支配的な社会という点では、日本にも「家父長制的な価値観」が存在するため、リンクする部分も。

もちろんFGMと大きくレベルは異なりますが、日本においても、親や社会から「女の子だから」と強要されたり、プレッシャーを感じたりすることは多々ありますよね。

外見に関すること、「可愛くあるべき」などから、「家事/育児は女の仕事」「結婚して家庭に入るべき」といった伝統的な価値観に至るまで。

社会や家庭おいての女性に対する伝統的な価値観

女性たちは、自分の体にもかかわらず、社会や家庭からのプレッシャーで「体の自己決定権」を奪われている状態に。

FGMが象徴しているのは、この「体の自己決定権」が奪われるという問題です。決して、私たちと遠い世界の話ではないのかもしれません。

2030年までに「女性性器切除(FGM)根絶」を目指す

国際社会では、「女性性器切除(FGM)」の根絶を訴えています。
国連では、毎年2月6日を「女性器切除の根絶のための国際デー」と定め、2030年までの完全根絶を目指しています。

国際NGOの啓発や支援活動により、FGMを禁止する国や、地域のなかからも撤廃を目指す運動が広がっています。

ギニアでは、4歳の女の子がFGMにより死去したことを受け、村の大人たちの価値観が大きく変化。複数の地域での根絶につながりました。

FGMは、男性が支配的な社会で起こりやすいため、影響力のある男性たちにも理解を求める必要があります。
ケニアでは、「ジュリチェケ」と呼ばれる長老議会の男性たちがFGMをなくそうと立ち上がっています。部族の指導者的立場である長老たちの理解を得ることは、根絶に向けた大きな一歩となります。

しかしながら、約2,000年続く慣習をなくすことは、そう簡単ではありません。
法律で禁止されている地域であっても、地下に潜って行われるケースもみられるため、地域全体として「もうやめよう」と言える空気をつくることがとても大事なのです。

私たちにできるアクションとは?

「女性性器切除(FGM)」は、遠い国の話で「自分に無関係」と思う人は多いですが、私たちが関心をもつことで世界からなくすことができる問題です。
そのためには「知ること」「語ること」「支援すること」の3つが重要です。

たとえば、この記事を読んだあなたが身近な人に話す、SNSでシェアするだけでも、知ることの輪が広がり、大きな力を生みます。

また「支援すること」は、よりダイレクトな変化を起こすことができます。
国際NGOプラン・インターナショナルでは、FGM根絶に向けてさまざまな活動を行っています。

黒人女性が持っているプレート:Replace knives and Blades width pens and books

実際にプランの働きかけにより、FGMをなくすことができた地域も増えています。FGM根絶を目指すプロジェクトは、以下よりご覧ください。

***

今回の記事で、「女性性器切除(FGM)」についてはじめて知った方も多いはず。
目を背けたくなるショッキングな話題ですが、世界のどこかで、今も女の子たちが苦しんでいる問題なのです。

「女の子だから」という理由で体を傷つけられる世界は、早く終わりにしなければなりません。それは遠い国の話ではなく、「体の自由」を守りたいすべての人にとって重要なこと。

今回の記事で、FGMについてさらに知りたい方は、関連記事や実施中のプロジェクトも多数ありますので、ぜひチェックしてみてください。

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