(2025年02月17日更新)

女性は、人生のなかで多くのライフイベント(結婚・出産・育児・介護など)に遭遇します。
そのたびに仕事とプライベート、いわゆる「ワークライフバランス」に悩む方は多いですよね。
そこで今回は『女性×ワークライフバランス』をテーマに、キャリアコンサルタントで株式会社Warisの共同代表である田中美和さんにお話を伺いました。
20〜30代女性向けに、ライフイベントとの向き合い方から自分らしく働く秘訣、さらにはリーダーを目指すアドバイスまでいただきました。
キャリアにお悩みの方は必読です!
田中美和さん
キャリアコンサルタント。株式会社Waris共同代表。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事。フリーランス女性と企業との仕事のマッチング、女性管理職・役員紹介、リスキリングによる転職・就労支援など、自由で多様な生き方・働き方を創る活動を支援。著書『Live My Life自分らしく働くための39のヒント』(KADOKAWA)
「働き方」の選択肢が広がっている
── 女性のキャリアの悩みで多いものとは?
田中:以前までは、女性が働き続けること自体が難しい状況でした。ですが、ここ10年ぐらいで改善されつつあり、大きなライフイベントがあっても働き続けられることが一般的になってきました。
20〜30代の女性に悩みを聞くと「ライフイベントとの両立がしたい」や「自分らしく働きたい」という声が多いですね。
── 最近の「働き方」のトレンドについても教えてください。
田中:最近では「働き方」の選択肢が広がっていますね。
会社員だけでなく副業やフリーランスを選ぶ方も増えてきましたし、リモートワーク、フルフレックスなど、柔軟な働き方ができる会社も増えています。
特に、コロナ禍で大きく変わったのが「リモートワーク」の普及です。
通勤時間がなくなったことで仕事の拘束時間がグッと減り、プライベートとのバランスが取りやすくなっています。
あるIT企業では、リモートワークを取り入れたことで、管理職に挑戦する女性が増えたそうです。
リモートワークやフレックスなどの「柔軟な働き方」は、子育て中の女性のためにいい制度と思われがちですが、介護に直面している人や障がいがある人など、すべての人にとって働きやすくなると思いますね。
「自分らしい働き方」どう見つける?
── お悩みであった「自分らしく働きたい」について。若い世代のなかには「やりたい事がわからない…」という方も多いかと。何かアドバイスはありますか?
田中:キャリア用語で『Will・Can・Must』という言葉があります。
やりたいこと(Will)が分からない状態であれば、まずはCanとMustから試してみてください。
やるべきこと(Must)は、日々の業務ですよね。まずは目の前のことを一生懸命やってみたり、自分にできること(Can)を探して、いろいろトライしてみる。
仕事でもプライベートでも興味あることにチャレンジしていくなかで、徐々にやりたいこと(Will)が見えてくるかもしれません。
── ではまず「自分の強みが分からない」という方は、どうすれば良いとお考えですか?
田中:才能や強みとは「ついやってしまうこと」に隠れています。
みなさんいろんな特性がありますが、ほとんどの方は知らず知らずのうちに自然としていることなので、本人は特性に気づきにくいですね。
簡単な方法だと、友人や家族など身近な人に「私の得意なことってなんだと思う?」と聞いてみましょう。
客観的な意見をもらい、そこで得たキーワードをご自身で深掘りしてみると良いと思います。
もしくは、診断ツールを使うのも効果的。有名な自己分析テスト「クリフトンストレングス®」 は、強みを細かく分析してくれるのでオススメです。
〈クリフトンストレングス®とは?〉アメリカの世論調査会社ギャラップ社が開発した自己分析ツール。 Webテストの質問に答えることで、自分の強みや才能を表わす「資質」を知ることができます。
自分の強みや、自分らしい働き方を見つけるヒントとして、特にお勧めしたいのが「越境体験」です。
普段の職場を「ホーム」とした場合に、そこから外に出て「アウェイ」な場所で活動することを指しており、ホームとアウェイを行き来するなかで自分自身を理解したり、学びを深めたりしていく方法です。
長らく「ホーム」に留まっていると、自分の良さや、本当は何がしたいのかが分からなくなっていきますよね。行き詰まっているときほど「アウェイ」に出てみることで、自分の強みが見えてくることがあります。例えば以下です。
社外
自分の職場以外の場所、別のコミュニティに入ったり、社外のネットワーク作りをしてみる。ボランティアやプロボノも良いですね。
〈プロボノとは?〉仕事で培ったスキルや経験を活かした社会貢献活動のこと。例)デザイナーが無償で宣伝ポスターを作る、弁護士が無償で法律相談に乗る、など。
社内
自分の業務や部署以外のことに、積極的に関わってみましょう。
他部署との兼務、社内横断のプロジェクト、新規事業立案など。手軽なところでは、社内のサークル活動もおすすめです。
プライベート
プライベートなことでももちろんOK。
趣味の集まりや何かしらのコミュニティに参加してみる。自分の枠から飛び出してみる「越境体験」をすることで、仕事とライフのバランスが自然と高まっていきます。
田中:私の越境体験を例にすると、20代の頃は出版社で編集記者をしていました。
記者の職場だったため、周囲は企画を立てたり、文章が上手な方ばかり。そのなかにいると「自分の価値ってなんだろう…?」「私って能力や強みがないんじゃないかな…?」と自信が持てませんでした。
その後、プロボノとしてチャリティーマラソンの事務局で、企画や広報に携わるようになりました。
すると周りからは「田中さんって文章上手だよね」「説明が上手い/言語化力が高いよね!」と言ってくださることが多く。
記者のなかにいると自分の強みが見えなかったのが、プロボノ経験を通して大きな自信につながりました。
このように越境体験は自分の強みを認識したり、やりたいことを発見できたりするので、皆さんにオススメしたいですね。
どうするのが正解?「ライフイベント」との両立
── 女性は出産や育児などで、キャリアが途絶えがちに。どう向き合えば良いでしょう?
田中:女性は男性に比べてライフイベント(出産、育児など)の影響を受けやすく、さらには家庭内で育児・家事を担当することが多いため、フルタイムで働き続けることが難しい方も多いです。
おすすめしたいのは、仕事や働き方が変わっても大丈夫なように、「コアスキル」を磨いておくことです。
コアスキルとは、さきほどお伝えした自分の強みや、得意な仕事領域を指します。
「多様な働き方」を知るのも大事ですね。
会社員、副業、契約社員、フリーランス、起業など。本やネットで調べたり、たくさんの人に話を聞いたりしてネットワークを築いておきましょう。
これらをしておくことで、いざ30〜40代で大きなライフイベントが起こった時に、取れる選択肢の幅が広がります。
また、長期的なキャリアプランを立てるのは大事ですが、キャリアの8割は偶発的なことによって決定すると言われています(「計画的偶発性理論」といいます)。
つまり、長期的にしっかりとプランを立てていても、偶発的なライフイベントが発生することによって、人生は意図していない方向に変化していくもの。
プランを立てることに意味がないと言いたいわけでなく、「自分はこうありたい」というイメージは、しっかりと持っておきましょう。行きたい方向性に意識を向けておくことで、情報をキャッチしやすくなります。
── ライフイベントは起こるものととらえて、起こっても大丈夫なように準備することが大事なんですね。
田中:そうなんです。さらに言えばワークライフバランスを保つためには、企業の見極めも重要な要素。
1つ目は「柔軟な働き方の制度」がある企業を選ぶことです。
リモートワークやフレックス制度など柔軟な働き方ができる企業は、ライフとワークの両立も比較的しやすいことでしょう。
よくある例としては、キャリアが途切れると、再就職の際に「年齢の割に職務経験が浅い」と見なされることがあります。
ライフイベントやケアワークが多い女性にとって難しいこともありますが、可能であればリモートワークやフレックス制度なども活用しながら、なるべくフルタイムで働き続けることをおすすめします。
2つ目は「多様な人材が活躍している組織」を選ぶということ。
女性を含めた、年齢、国籍など、多様な人材が活躍している組織は働きやすく、ワークライフバランスが実現しやすい傾向があります。
女性が「リーダー」を目指すために必要なこと
── 女性は管理職が少ないことが課題となっています。管理職やリーダーを目指す方が意識すべきこととは?
田中:よく「ガラスの天井」という言葉がありますよね。あわせて「ガラスの壁」という言葉もあります。
ガラスの壁とは、男女間でキャリアが横移動しづらい問題のこと。
たとえば、会社によっては女性がバックオフィスの部署に配属されやすく、男性はフロントの部署に就くといった傾向があります。
フロントの部署は会社の主軸であると同時に、「修羅場経験」が積める、いわゆる出世コースであることが多いんですよね。
職務上のハードな経験を男性だけがしている状態だと、男女で経験値に大きな差が出る。その結果として、男性のほうが管理職やキャリアアップしやすいことが分かっています。
もし将来的にマネージメントやリーダーに興味があるのであれば、「私はこういうチャレンジをしたいです」といったように、先輩や上司に積極的に伝えていきましょう。
さらには行動に移してみる。社内横断プロジェクトや新規事業のプロジェクトがあると知ったら「やってみたいです!」と手を挙げるなどして、積極的に経験を積みにいきましょう。
多様な業務経験が積めれば、できる仕事の幅という「横」が広がります、その次は「縦」の経験も意識してみてください。
縦というのは上流工程〜下流工程の一連の流れのこと。
上流工程は、企画や戦略などの重要な役割。もしマーケティングの部署にいるとしたら、SNSだけのマーケティング施策をするだけでなく、デジタルマーケティング全体の戦略にも携われると良いですね。
上流〜下流までの一連の流れを経験できていると、人材価値として高まり、転職市場で有利になります。
自分らしく働ける社会、どうすれば実現できる?
── 個人の働くヒントを伺ってきましたが、日本全体として「自分らしく働ける社会」にするためには、何が必要でしょう?
田中:「自分らしく働ける社会」という点でいうと、日本はものすごくジェンダー不平等な国ですよね。
先進国のなかでもジェンダーギャップが大きいため、(女性の職業選択に制限のある)途上国とは異なる困難さを抱えていると思います。
その不平等に対しては、女性たちはもっと声を上げていいと思います。「もっとこれがやりたい」「こうしたい」など。
誰かが社会を変えてくれるのを待つのではなく、むしろ「自分たちが変えていくんだ!」という感覚を、全員が持てると良いですよね。
一人ひとりが自分らしく働くことができる社会は、社会全体の働きやすさにつながると思っています。
── ありがとうございます。最後に、キャリアに悩める女性たちへメッセージをお願いします。
田中:ある学者さんが「キャリアにアップもダウンもない」とおっしゃっていたのが素敵だなと思っています。
私がいろんな方の現場を見て感じるのが、特に女性のキャリアは思い描いた通りに進まないことが多い。それがダメということではなく、そういうものだと捉えて、多様な働き方があるということを知って欲しい。
今後は少子化で労働人口は減っていくため、本人の意欲さえあれば何歳でも働き続けられる社会になっていくでしょう。
人生にはさまざまな変化が起きますが、その際に「私にはこれしかない…!」と思わずに、もっと人生は柔軟なものだととらえて、その時々の変化を楽しみながら、前向きに進んでいって欲しいですね。
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女性×キャリアの悩みは尽きることはないですが、今回教えていただいた「自分らしく働くコツ」を、ご自身のキャリアプランを立てる上で、ぜひ参考にしてみてください!
国際NGOプラン・インターナショナルでは、今回のようなキャリアに関連した女性リーダーに関する調査や、女の子の生計向上のサポートなど、国内外の女の子たちが抱える課題の解決に向けて取り組んでいます。
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