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(2026年07月08日更新)

6月20日の「世界難民の日」を前にした6月19日、プラン・インターナショナルはオンラインイベント「彼女たちの声が未来をつくる――ウクライナ女性と考える平和・復興・日本とのつながり」を開催し、50名以上が参加しました。

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イベントでは、日本に避難したウクライナ人女性を対象に今年実施・公開した調査結果をもとに、彼女たちの声や現在取り組んでいる活動、平和構築への貢献、ウクライナ支援に対する思いを紹介しました。さらに、専門家を交え、女性たちが持つ独自の強みや可能性、さらにその力を平和構築や日本・ウクライナ協力にどう生かせるかについて意見を交わしました。

日本に避難したウクライナ人女性の経験から考える女性・平和・安全保障(WPS)

はじめのセッションでは、「女性・平和・安全保障(WPS)」の視点から、紛争により他国への避難を余儀なくされた女性たちの経験が紹介されました。あわせて、日本に暮らすウクライナ人女性を対象にした調査結果をもとに、彼女たちが抱える課題や、故郷を離れてもなおウクライナ支援や平和構築に関わろうとする思いが共有されました。

また、武力紛争が続く世界において、女性は影響を受けやすい立場に置かれる一方で、持続可能な平和の実現に向けた重要な当事者であり、変革の担い手でもあるということが共有されました。女性の権利保障や意思決定への参画を通じて平和構築を進めるというWPSの考え方は、日本で暮らす避難民女性の経験を捉えるうえでも重要な視点として示されました。

さらに、日本に避難したウクライナ人女性たちは、紛争を経験した当事者としての視点と、日本で培った知識や経験の双方を持つ存在であり、そうした強みが将来のウクライナ復興や日本・ウクライナ間の相互理解、協力関係の強化にもつながる可能性があることが紹介されました。

紛争で国境を越えた避難を強いられた女性たちの、それぞれの経験

日本に避難したウクライナ人女性の声に耳を傾ける

写真:意見を述べるSofiiaさん、Oleksandraさん、Irynaさん

意見を述べるSofiiaさん、Oleksandraさん、Irynaさん

続くセッションでは、プランが実施した調査の主な結果を紹介するとともに、3名の登壇者が自身の経験や現在の活動、将来への展望を語りました。

議論では、長期化する紛争や避難生活が価値観や人生観にどのような影響を与えてきたのかについて意見が交わされました。登壇者からは、こうした経験によって既存の価値観が揺らぐのではなく、日々の暮らしや行動の指針として、より重要な意味を持つようになっていると語られました。

Oleksandraさん

(Stand with Ukraine Japanのボランティアとして、ウクライナ支援の平和的なデモの企画・運営に参加)

全面侵攻が始まって以来、ボランティア活動は単なる生活の一部ではなく、私の人生そのものになりました。価値観はより強くなり、責任感も一層高まりました。そして、連帯と人間的支援の重要性を以前にも増して強く感じるようになりました。

続いて、故郷を離れて日本で暮らしながらウクライナを支え続ける原動力や、平和構築への関わりについて意見が交わされました。登壇者は、ウクライナとの強い結びつきや現地の状況への継続的な関心が、活動を支える大きな力になっていると語りました。

Sofiia Demydenkoさん

(Peace Boat Ukraine Youth Ambassador Program に参加。Peace Boat Disaster Relief Centerスタッフ)

日本では、平和な生活を送っています。しかし家族と話すと、精神的には再びウクライナに戻っている自分がいます。そこにはまったく異なる二つの現実があります。どのような状況であっても、自分には行動する責任があることを思い出させてくれます。距離はその責任を弱めるものではありません。

一方で、調査からは、ウクライナ支援への強い意欲があっても、それを具体的な行動につなげる機会が十分ではない現状も明らかになっています。日本での生活を通じて培われた知識や経験は、新たな可能性を切り開くと同時に、彼女たちが持つ能力をより一層発揮する機会にもなり得ることが示されました。

Iryna Hrybachovaさん

(CastGlobalの登録弁護士、日本ウクライナ・パートナーシップ協会の共同設立者)

私は、日本側のパートナーにウクライナ法について助言を行い、またウクライナ企業に対して日本の法制度についてアドバイスを提供することで、法律専門家同士の交流を促進する機会を得ています。このようにして、ウクライナと日本のビジネスをつなぐ架け橋となっています。

こうした知識や経験は、日本とウクライナ双方にとって貴重な資源となり得ます。しかし、その多くは現在もボランティア活動に支えられており、持続可能な復興と相互利益に基づく協力を実現するためには、こうした人材が能力を発揮できる仕組みや機会を整えることの重要性が浮き彫りになりました。

最後に、Sofiia Demydenkoさんは次のように締めくくりました。

復興はインフラの再建だけではなく、人々の存在、経験、そして国際的なつながりを通じて、すでに紛争の最中から始まっていると思います。一方で、このプロセスを持続可能なものにするためには、より広い機会と支援が必要です。ボランティアだけでは十分ではありません。

心理社会的・教育的支援は未来への投資

調査では、日本に避難したウクライナ人女性が直面する大きな課題の一つとして、ウクライナ情勢がもたらす心理的な負担やメンタルヘルスへの影響も明らかになりました。こうした影響は、彼女たちが能力を十分に発揮し、将来の目標や希望を追い求める力にも及びます。そのため、心理社会的支援や社会への包摂を促す取り組みは、日本で暮らすウクライナ人だけでなく、より広い避難民コミュニティにとっても重要です。

プラン・インターナショナルは、紛争激化以降、ウクライナ避難民の人々への支援を継続しています。セッションでは、その一例として、ポーランドで実施している「ウクライナ避難民の教育・心のケア」プロジェクトを紹介しました。

写真:「ウクライナ避難民の教育・心のケア」プロジェクトを紹介する山形職員

「ウクライナ避難民の教育・心のケア」プロジェクトを紹介する山形職員

プロジェクトを担当する山形職員は、避難した人々のニーズは時間とともに変化している一方で、教育と心理社会的支援へのニーズは一貫して高いと説明しました。教育と心理社会的支援は、安心感を取り戻し、将来への希望を育むために欠かせません。このプロジェクトは、子ども・若者が安全な環境で学び、心の回復を図りながら将来への展望を描けるよう支援することを目的としています。こうした取り組みは、次世代への投資であると同時に、平和で持続可能な未来を築くための国際社会への重要な貢献でもあります。

日本で学ぶウクライナ政府職員の経験

若い世代の役割について議論を深めた次のセッションでは、ウクライナ国家エネルギー効率・省エネルギー庁の職員であり、現在JICA(国際協力機構)の研修プログラムのもと日本で学ぶAngelina Susloさんが、自身の経験を紹介しました。日本での研究を通じて、マネジメントや制度的レジリエンスへの理解を深め、帰国後はその学びを生かしてウクライナの公共部門の発展と日・ウクライナの協力関係をさらに深めていきたいと語りました。

写真:ウクライナ政府職員、Angelinaさん

ウクライナ政府職員、Angelinaさん

Angelinaさんは、ウクライナの復興とは単に以前の状態に戻ることではなく、制度を近代化し、限られた資源を有効に活用しながら、より強靱で機能的な仕組みを築くことだと強調しました。また、日本での研修は一方的に学ぶ場ではなく、日本・ウクライナ双方が学び合う機会でもあると述べました。ウクライナは日本のガバナンスや技術、長期的な政策立案から学ぶことができる一方、日本もウクライナのデジタル化や危機への対応力、迅速なイノベーションの実践から学べる点があると言及。こうした相互学習を通じた両国のパートナーシップと、そこにおける若い世代の役割への期待を示しました。

平和構築と復興を担うウクライナ人女性の役割

最後のセッションでは、平和構築や復興、両国の協力において、日本に避難したウクライナ人女性が果たし得る役割について議論が行われました。登壇者は、紛争を経験した当事者としての視点と、日本で培った知識や経験を併せ持つ彼女たちが、両国をつなぐ貴重な存在であることを共有しました。

平和構築センターのディレクターである堀場明子さんは、「避難した女性たちは支援の受け手ではなく、復興を担う重要な主体である」と強調。また、日本で得た知識や経験を持ち寄り、将来のウクライナ復興に向けた共通のビジョンや「女性の声」を育んでいくことの重要性を指摘しました。

写真:左から堀場さん、Irynaさん、Angelinaさん、山形職員

左から堀場さん、Irynaさん、Angelinaさん、山形職員

プランの山形職員は、ルーマニアなどでの支援事業を通じて、避難したウクライナ人女性の参画がプロジェクトの成果に大きく貢献してきたことを紹介。さらに、新たな経験やスキルを得ることで、その力は今後さらに発揮される可能性があると述べました。

また、Angelina Susloさんは、日本で学ぶ若いウクライナ人は、専門知識やネットワーク、日本社会への理解を深めながら、両国をつなぐ架け橋として貢献できると語りました。そして、Iryna Hrybachovaさんは、その可能性を最大限に生かすためには、日本にいるウクライナ人の知識や経験、ネットワークを結びつ共有プラットフォームの必要性を提案しました。

登壇者から日本の皆さまへ―「知ること」が支援の第一歩

イベントの最後に、登壇したウクライナ人女性たちは、日本の皆さまに向けてメッセージを送りました。共通して語られたのは、「ウクライナを知ること」が支援の第一歩であり、人と人との交流が両国の未来につながるということです。文化や人との出会いを通じた相互理解こそが、持続的なパートナーシップの土台になるという思いが共有されました。

Iryna Hrybachovaさん

ウクライナの文化イベントや展示会、フェスティバルなどを通じて、ウクライナ人と話し、私たちの文化を知っていただくことからぜひ始めてみてください。いつの日か、平和を取り戻し復興したウクライナに皆さまをお迎えできることを願っています。

Oleksandraさん

日本で行われるウクライナ関連のイベントは、人と出会い、対話を築く場です。私たちにとって最も大切なのは支援だけでなく、こうした出会いを通じて生まれる理解や人と人とのつながりです。

Sofiia Demydenkoさん

ウクライナの地元のビジネスやレストランを応援してください。ウクライナ料理や文化に触れ、人々と会話することは、ウクライナを知るための意味ある方法です。

Angelina Susloさん

今、日本にいるウクライナ人学生は、学業に取り組むだけでなく、ボランティア活動や協働プロジェクトにも参加しています。ぜひこうした取り組みに参加し、人々との交流を通じてウクライナを知ってください。それこそが、両国の持続的なパートナーシップを築くことにつながります。

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