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【経過報告】ソマリアの子どもたちの教育継続を支援~干ばつ危機下の子どもの教育プロジェクト~

(2023年06月15日更新)

ソマリアでは5期連続で雨季に十分な雨が降らず、ソマリア史上最長と言われる干ばつが続いています。水源は枯れ、家畜は息絶え、放牧を主な生計手段としていた多くの人々が生活の糧を失いました。日々の食事を優先させるため、子どもの教育継続はどうしても後回しにされがちです。

プラン・インターナショナルでは、給水車による水の供給などに加えて、教育の遅れを取り戻すための補習授業のほか、学校施設の整備や男女別トイレの設置など、干ばつの影響を受けている地域において、子どもたちが安全な環境で教育を継続できるよう支援を行っています。

子どもたちの学びを止めないためのプランの取り組みを、これまでに支援を提供した家族や子どもの事例をご紹介しながら、活動の経過をご報告します。

写真:学びを止めないために

学びを止めないために

中途退学リスクの高い女の子がいる家庭に現金を給付

子ども12人(女の子7人、男の子5人)の母親であるファドゥモさん(35歳、仮名)とその家族は、終わりの見えない干ばつによって所有していた家畜をすべて失いました。夫は仕事を探していますが、畜産以外の仕事をしたことがなく、なかなか働き口が見つかりません。ファドゥモさん一家の収入は途絶え、少額の仕送りをしてくれる親戚だけが頼りです。1日1食で命を繋ぐしかない状態に追い込まれ、家族全員でトグデール州の国内避難民キャンプへやってきました。

プランは地域の教育事情に精通した現地NGOの「YOVENCO」と協働し、ファドゥモさんのような干ばつの影響を受けた家族とその子どもたちが教育を続けられるよう、さまざまな支援を行いました。特に困難な状況にある家族に対しては、6カ月間限定で月50ドルを給付しました。

写真:ファドゥモさんと娘たち

ファドゥモさんと娘たち

給付に先立ち、コミュニティ委員会や学校の先生たちから構成される「選考委員会」を立ち上げ、「現金給付の対象家族」を決める基準づくりを行いました。その結果、干ばつや早すぎる結婚(児童婚)、家庭の事情などで中途退学リスクが高い女の子のいる世帯を対象とすることが決まりました。また、女の子を学校に通わせること、就学を継続させることを給付の条件としました。
こうして策定した基準に基づき、ファドゥモさん一家を含む150世帯に現金給付を行いました。プロジェクトでは、6カ月目の現金給付の後に、お金の使い道やその後の家族の状況などを調査し、支援の有効性について確認する予定です。

現地の声

ファドゥモさん(仮名)、35歳
「この給付されたお金で牛乳、米、砂糖、小麦粉などを買いました。また、2023年1月には子どもたちのために制服や学用品を購入することができ、子どもたちはその制服を着て国内避難民キャンプの近くにある村の公立学校にも無償で通い始めることができました。現在、娘たちは授業に毎日出席しています。私たち家族のために寄付をしてくださった方々に心から感謝しています」

働きながら学校に通う男の子に学用品を支援

写真:アブディさん

アブディさん

13歳になるアブディさんは、今なお小学校3年生に在籍しています。ファドゥモさん一家と同じく、彼の父親もなかなか仕事にありつけずにいます。母親は小規模商いをしていますが、家族を支えるほどの収入はなく、アブディさんは家計を助けるため働きながら学校に通っていることから、進級が遅れているのです。彼のような貧しい家庭は、干ばつ以前からノートやペンといった勉強に最低限必要な学用品を準備することすら難しい状況でしたが、干ばつ後はさらに苦労しています。

プラン・インターナショナルはパートナー団体と協力し、アブディさんのように就学継続の危機にあった子どもたち250人に、読み書きや算数教材をはじめとする学用品を配布しました。

写真:不公平感がないよう読書教材は一人一冊ずつ全員に配布

不公平感がないよう読書教材は一人一冊ずつ全員に配布

写真:本を受け取り喜ぶ子どもたち

本を受け取り喜ぶ子どもたち

現地の声

アブディさん、13歳
「学用品を買うのは大変だったので、通学カバン、読み書きや算数の道具などの学用品が届いたときはとても嬉しかったです。教材はクラスメートとも共有することもあります。自分だけではなく皆の役に立っています。学校の先生やプラン、YOVENCOのようなNGOに感謝しています。働きながら学校に通うという困難はありますが、勉強し続けるために必要なものを得られました。大好きな学校にこれからも通い続けて、小学校、中学校を卒業したいです」

教室修繕や補習クラスの実施、先生への研修も

写真:教員研修の様子

教員研修の様子

プロジェクトでは、就学の遅れを取り戻すための補習クラスの実施や、教員研修も行いました。干ばつの影響により、アブディさんのように進級や入学が遅れたりする子どもも多く、同じ学年でも生徒の年齢にはばらつきがあります。研修では、このような多年齢クラスや複式学級の教授法について学ぶとともに、それぞれの経験を他の教員たちと共有しました。研修に参加した教員20人のうち17人が、研修によって多くのものを得たと回答しています。

さらに、子どもたちが少しでも学校に通いやすくなるよう、5つの小学校でトイレ10基を修繕、新規設置。また、給水タンクを設置して学校でも手洗いができ、水を飲めるようにしました。また、300人の女の子に生理用品キットを配布。女の子たちは生理中でも遅刻や早退、欠席せずに学校に通えるようになります。

写真:放課後の補習クラスの様子

放課後の補習クラスの様子

写真:新しく設置されたトイレと給水タンク

新しく設置されたトイレと給水タンク

子どもが安心して教育を受けられるように

気候変動、干ばつ、そして食料危機が子どもたちに与える影響は教育問題だけではありません。不安やストレスによる家庭内暴力、口減らしのために早すぎる結婚(児童婚)をさせられる、女性性器切除(FGM)を受けさせられたりするなど、女の子たちが直面する見えにくい暴力被害も報告されています。そこでプロジェクトでは、学校の教員やコミュニティ教育委員会、パートナー団体のスタッフを対象に、子どもの権利や保護、問題があったときに通報する方法や支援につなげるための方策についても研修、議論を行いました。これまでに、43人のFGMを受けた女の子たちをカウンセリングや治療などの支援につなげることができました。

プランは地域のさまざまな状況に目を配り、多様な視点からの取り組みを通じてより多くの女の子、男の子たちが健やかに成長できるよう活動を続けていきます。

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