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若者のレジリエンスを育む課外活動~ロヒンギャ難民の識字教育プロジェクト(バングラデシュ)~

(2025年06月19日更新)

ロヒンギャ難民の識字教育

バングラデシュ南部コックスバザールにある世界最大ともいわれる難民キャンプ。ここに住むロヒンギャの若者のほとんどは読み書きや計算を学んだことがなく、キャンプ内の掲示板・配給情報を理解できない、詐欺や搾取に遭う危険が高いなど、多くの不都合やリスクに直面しています。このプロジェクトでは、ロヒンギャの若者たちへの識字教育を実施するとともに、コミュニティ内で継続して識字教育を行うことができる体制づくりを目指しています。

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「両親の名前を読めるようになりました」

難民キャンプ内に整備された32カ所の男女別学習スペースでは、今年度も15歳から24歳の960人(うち女性480人)の若者たちが、英語とミャンマー語の読み書きや計算を、週3回、1日2時間学んでいます。教師の後に続いて音読したり、若者同士でロールプレイをしたりする元気な声が学習スペースの外まで響いてきます。その声に惹かれて、幼い子どもたちが窓からクラスの様子を伺う姿も、今やすっかり日常の風景となりました。

写真:プロジェクトで開発した実践的なテキストで学ぶ

写真:プロジェクトで開発した実践的なテキストで学ぶ

プロジェクトで開発した実践的なテキストで学ぶ

昨年12月に識字クラスが始まった当初は鉛筆の握り方すら分からず、練習帳を使って繰り返しA、B、Cをなぞり書きをしていた若者たち。4カ月が経つ頃には、家族構成や健康状態、医療ニーズなどの情報を文章でも会話でも的確に伝えられるようになりました。

写真:例文を自分の情報に置き換え、繰り返し練習する若者たち

写真:例文を自分の情報に置き換え、繰り返し練習する若者たち

例文を自分の情報に置き換え、繰り返し練習する若者たち

イスラムさん(16歳、男性)は、「学ぶほどに語彙が増える楽しみを知りました。もう食料配給日を間違えることはありません。食料引換券に書かれた野菜や穀物の名前と数量も理解できるので、受け取りがとても楽になりました。喜ぶ両親の姿が学び続けるモチベーションになっています」と語ります。
また、アセスさん(16歳、男性)は、「両親の名前を読めるようになったことが何よりも嬉しく、また、文字の読み書きを通して周りの人々を助けられる自分になれたことが、この4カ月間の最も大きな変化です」と話します。

写真:積極的に手を挙げて音読役に立候補するアセスさん

積極的に手を挙げて音読役に立候補するアセスさん

識字クラスが若者を暴力から守る

2017年のロヒンギャ危機で故郷を追われた若者たちは、地域社会や友人とのつながりをすべて断たれました。
難民キャンプでは、偶然同じ区画に避難してきた人々と隣り合わせで暮らしています。若者向けの教育や訓練の機会はほとんどなく、交友関係も限られています。また、過密状態のキャンプ内には、若者たちが安心して時間を過ごすことのできる空間がほとんどありません。
そのためプロジェクトでは週3回の識字クラスに加え、週1回の課外活動を実施しています。日本のクラブ活動や放課後の児童館に似た取り組みで、個々の関心に応じてスポーツや裁縫、刺繍、手工芸などに打ち込むことができます。今年度からは英語とミャンマー語の入門図書を揃えた読書コーナーを用意し、若者たちが読書をできる環境を整えました。

写真:課外活動の時間に読書を楽しむ男性学習者

課外活動の時間に読書を楽しむ男性学習者

課外活動の拠点は、いつもの学習スペースとその周辺です。教師の自宅に学習スペースが設置されていることから、若者にとっては頼れる教師やその家族が常にそこにいてくれる、安心できる居場所となっています。
実は、学校に通うことができなかったロヒンギャの若者たちにとって、「同級生」がいるという体験自体が初めてのこと。ともに学ぶ仲間と楽しい時間を過ごし、時には互いの悩みを共有し、困ったときには教師が相談に乗ってくれる――こうした環境が、現在キャンプで急増している犯罪行為や強制徴兵、児童婚から若者を守る大切な防波堤となっています。

叶わなかった夢が創作の原動力に

写真:手作りした小さな制服を手にするアシカさん

手作りした小さな制服を手にするアシカさん

創作活動に打ち込むことは、過去のつらい経験や、先の見えない難民生活のストレスの緩和にも役立ちます。
アシカさん(18歳、女性)は、課外活動の時間に裁縫を習い、人形用の小さい服―白いシャツと緑色のスカートのセットアップ―を作りました。それはミャンマーの小学生が着る制服でした。ミャンマーで学校に通うことができなかったアシカさんが、その制服に袖を通す日は訪れませんでした。学習スペース内の自分の席から見える場所にその小さな作品を飾り、日々勉強に専念するアシカさんの姿からは、叶わなかった夢を受け入れ、今できることに集中するしなやかさが伝わってきます。

2024年にプラン・インターナショナルが実施した調査によると、識字教育プログラムを修了した若者のレジリエンス(自力で立ち直る力)が向上していることが確認されました。

2017年のロヒンギャ危機発生から、8年が経とうとしています。ミャンマー・ラカイン州では2023年末から国軍と民主派武装勢力の戦闘が激化し、帰還の見通しは一層不透明になっています。国際社会の関心と支援は落ち込み、ロヒンギャは「忘れられた危機」となりつつあります。識字教育は、さまざまな暴力や搾取から若者を守り、将来的に若者が自らの力で生きていく力を養う、必要不可欠な支援です。今後も刻々と変化する状況に対応し、より一層ロヒンギャの若者たちの声に耳を傾け、プロジェクトを実施していきます。

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