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【経過報告】バングラデシュで出会った3人の女性たち~ロヒンギャ難民の識字教育プロジェクト~

(2023年05月15日更新)

写真:ロヒンギャ難民キャンプ内の様子

ロヒンギャ難民キャンプ内の様子

プラン・インターナショナルは、バングラデシュ南部コックスバザールにある難民キャンプにおいて、2022年9月から「ロヒンギャ難民の識字教育」プロジェクトを実施。これまで教育機会を得られなかったロヒンギャ難民の若者たちに、基礎的な読み書きや計算などの識字教育を提供しています。

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2023年3月に、プロジェクトを担当する内海職員がバングラデシュに出張し、活動に参加する若者やスタッフにインタビューを行いました。現地で出会った3人の女性たちの姿を通して、プロジェクトの進捗をお伝えします。

※ロヒンギャ難民とは:

ミャンマー南西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族ロヒンギャは、国籍を奪われ、長年教育を受ける権利や自由に移動する権利といったさまざまな権利が認められない生活を送ってきました。さらに、2017年8月に起きた暴動と軍の掃討作戦により、多くのロヒンギャがこれまで住んでいた土地を追われ、隣国のバングラデシュに逃れました。
南部コックスバザール県内にある難民キャンプでは、96万人以上のロヒンギャの人々が不自由な生活を余儀なくされています。

3人の女性たちの言葉に見る前向きな変化

「ロヒンギャ難民の識字教育」プロジェクトでは、15歳から24歳までの未就学の若者720人が、小人数の識字クラスで学んでいます。若者たちの学習意欲は非常に高く、前年度は98.9%の学習者が規定の出席率を達成しました。

写真:男女別の識字クラスをそれぞれ訪問

写真:男女別の識字クラスをそれぞれ訪問

男女別の識字クラスをそれぞれ訪問

活動に参加する女性の学習者や、学びをサポートするファシリテーターたちの声からは、知識を習得することへの純粋な喜びや、活動の継続がもたらしている変化が見てとれます。

ファリダ(仮名)さん、識字クラスで学ぶ女の子

写真:目を輝かせて学ぶ喜びを語るファリダさん(仮名)

目を輝かせて学ぶ喜びを語るファリダさん(仮名)

「私はこれまで読み書きができなかったので、言語を学ぶのが楽しいです。まずアルファベット文字を習います。文字のいくつかを組み合わせて並べると文字のかたまりは単語になり、単語は『意味』を持ちます。その『意味』を理解できた瞬間が楽しいのです」

アブドゥルさん、女性ファシリテーター

写真:アブドゥルさん

アブドゥルさん

「ミャンマーでは、家庭教師の仕事をしながら夫と子ども2人と幸せな生活を送っていました。しかし、2012年にラカイン州で起きた武力衝突が夫の命を奪いました。私は夫の死を悲しむ間もなく、子ども2人の手を引き、着の身着のままバングラデシュの難民キャンプにたどり着きました。私自身はミャンマーで8年生(中学校)を修了していますが、キャンプに来て初めてロヒンギャには非識字者が多いことを知り、簡単な読み書きを近所の子どもたちに教えたりもしました。3年前にファシリテーターの選考に合格し、今ではキャンプ内の自宅スペースに識字クラスを構えて、女の子たちに読み書き計算を教えています。彼女たちの成長を見守ることが、今の私の幸せです」

ルマナ・アクター職員、バングラデシュ事務所・現地プロジェクトマネジャー

写真:バングラデシュ事務所のルマナ職員

バングラデシュ事務所のルマナ職員

「私は、難民キャンプでの識字教育プロジェクトが開始された第1期(2019年)からプロジェクトマネジャーを務めています。当初は、プロジェクトに参加するロヒンギャ住民とミーティングを持っても、うつむくばかり。その傾向は男性の方が強く、ロヒンギャの文化を尊重し、普段はしないスカーフで髪を隠して出向いても、女性で外国人の私は彼らの声を聴くことはできませんでした。今では冗談を交わしながら、プロジェクトの成果や課題、ロヒンギャの若者の将来について活発な意見交換ができます。こういった変化の一つひとつに、ジェンダー意識が着実に変化し、識字教育の価値も浸透したことを感じます。
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した際は、識字クラスの一時閉鎖などの困難も経験しました。ようやく教育が再開された今では、ロヒンギャ難民と言葉を交わす度に、プロジェクトが生み出したインパクトを実感しています。彼らの言葉に、明日も頑張ろうと思えるのです」

忍耐強く、誰に対しても公平に接するルマナ職員は、ロヒンギャ難民や現地パートナー団体から信頼を集める、かけがえのないスタッフです。

  • ※プランはロヒンギャ難民キャンプにおいて、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の支援のもと、2019年から識字教育支援に取り組んできました。本プロジェクトは、2021年8月~2022年8月に実施した「ロヒンギャの子どもの保護と教育」プロジェクトのうち、バングラデシュ国内の活動を継続して実施するものです。

支援を通じ教育の重要性が浸透

プログラム部 内海職員のコメント

写真:識字クラスで女の子たちと授業に参加する内海職員(左から5人目)

識字クラスで女の子たちと授業に参加する内海職員(左から5人目)

ロヒンギャの子どもや若者たちが教育機会を得られない背景には、ミャンマー国内でロヒンギャに向けられる差別、貧困があります。加えて、ロヒンギャ社会のなかでも、男の子の教育が優先され、女の子の教育は後回しにされがちであるという問題があります。「識字クラスでどんなときに幸せを感じる?」と女の子の学習者に問いかけたところ、「算数を学んでいるとき」、「ミャンマーの歴史を教わったとき」、「学んだことを将来の子どもに教えられること」とさまざまな答えが返ってきました。
ご紹介したファリダ(仮名)さんは、読み書き計算ができないまま15年以上過ごしてきたそうです。識字能力を身につけた彼女の感動を噛みしめるような言葉は、日本で当然のように9年間の義務教育を受けた私にとって強い衝撃となって記憶に残っています。
現地で出会った若者たちの、「もっと学びたい」「コミュニティをこうしていきたい」「そのために自分はこのスキルが欲しい」といった力強い言葉に、これまでの継続的な活動を通し、この地に基礎教育の重要性が驚くほど浸透していることを実感しました。

識字能力の定着にむけて

プロジェクトが対象とするすべての地域では、まもなく識字教育の全課程(60モジュール)が終了し、学習者は期末テストを受ける予定です。その後は補習授業を行うとともに、前年の修了生を対象とする追加授業を実施し、識字能力の定着と維持を目指します。プロジェクトの残りの期間を通じて、基礎的な識字教育の質と効果を高める取り組みを続けていきます。
引き続き皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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