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アフガニスタン難民の現状は?問題からわかる必要とされる支援

(2024年02月15日更新)

アフガニスタンは、世界のなかでも多くの難民を生み出している国のひとつです。絶え間ない紛争や人権侵害、度重なる地震などの自然災害によって、アフガニスタンからの難民は増加の一途をたどっています

この記事では、アフガニスタン難民数の推移や受け入れ国、歴史についても触れながら、現在の課題や必要とされている難民支援について解説します。

写真:難民の子どもたちの人生に影響を及ぼす意思決定に参加する権利を

難民の子どもたちの人生に影響を及ぼす意思決定に参加する権利を

アフガニスタン難民の現状

1979年のソ連による軍事侵攻以降、現在に至るまでアフガニスタン難民(アフガン難民)は増え続けています。2021年のタリバン政権復権や2022年、2023年と続いた大規模地震により、その数はさらに増加。多くの人々が住む場所を失い、日々の生活に苦しんでいます。

まずはアフガニスタン難民の現状を知るために、難民数の推移や受け入れ国について見ていきましょう。

アフガニスタン難民数の推移

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、アフガニスタン難民または難民に準ずる人々の数は、2023年11月末現在で約530万人に達しています
さかのぼると、2021年の調査では登録難民数は約271万人でしたが、2022年には約566万人に急増。同年6月にアフガニスタン南東部で大規模な地震が発生したことが要因のひとつと考えられます。アフガニスタン国内の避難民数も増加しており、2022年は約325万人の人々が国内避難を余儀なくされました。

    【出典】

  1. 「Refugee Statistics」(UNHCR)
  2. アフガニスタン情勢最新情報 - 2023年12月1日

アフガニスタン難民の受け入れ国

アフガニスタンから逃れた530万人以上の難民を最も多く受け入れているのは、イランとパキスタンです。イランには、2023年11月末時点で、アフガニスタン難民または難民に準ずる人々が約343万人暮らしています。それに次ぎ隣国パキスタンには約185万人が国境を越えて逃れています。周辺国のウズベキスタン、タジキスタンなどにも多くのアフガニスタン人が保護と安全を求めて避難しています。

難民および難民に準ずる人々の数
(カッコ内は国に登録された難民数)
イラン 343万1680人(74万8327人)
パキスタン 185万3100人(133万3749人)
ウズベキスタン 1万3025人
タジキスタン 8164人(7900人)
トルクメニスタン 9人

2023年11月30日時点(UNHCR)

日本のアフガニスタン難民受け入れ状況は?

アフガニスタンでは2021年8月、駐留外国軍の撤退にともなってガニ政権が崩壊し、イスラム主義勢力タリバンが復権。混乱のなかで多くのアフガニスタン人が国外への退避を余儀なくされました。
不透明な情勢が続いていることを受けて、日本への渡航を希望するアフガニスタン人について、日本政府は就労が認められる「特定活動」での在留資格を付与しています。「特定活動」を有して日本国内に在留しているアフガニスタン人は、2022年(令和4年)12月末の時点で329人となっています。また、難民申請後の難民認定手続きの結果、2022年中に147人が難民として認定されました。一方で、受け入れ後の日本語習得や生活支援の提供は十分とは言い難く、正規雇用につけずに生活困窮に陥っている人々も出ています。

    【出典】

  1. 40年来続くアフガニスタンの悲劇――戦禍に生きる人々(AAR Japan 難民を助ける会)
  2. 令和4年における難民認定者数等について(令和4年3月24日、出入国在留管理庁)

アフガニスタン難民の歴史

なぜ、アフガニスタンでこれほど多くの難民が生まれているのでしょうか。ここからはこの国の歴史の転換点となった年に注目して解説していきます。

地図:アフガニスタン

1978年
アフガニスタンではクーデターで成立した共産政権内部の路線対立が発生。翌年の1979年、アフガニスタンが勢力圏から離れることを恐れたソ連がアフガニスタンに軍事介入しました。このことが、アフガニスタンが長きにわたる内戦や混乱に陥るきっかけになったのです。

1988年
ソ連軍の撤退合意がなされた後も、内戦状態が続き国内避難民が増加しました。市街戦が繰り広げられ、略奪や女性に対する暴行が横行。治安は悪化の一途をたどっていきます。

1996年
不安定な政情が続くなか、治安の回復を掲げて台頭してきたのがイスラム原理主義組織タリバンです。隣国パキスタンの支援を得て、1996年に首都カブールを制圧。タリバン政権を樹立しました。女の子の就学や娯楽の禁止、抑圧的な統治により市民生活はさらに苦しくなりました。

2001年
2001年9月11日に発生した、9.11米国同時多発テロをきっかけにタリバン政権は一度崩壊。その後、2002年以降、米軍などの外国部隊がアフガニスタンに駐留し、国際社会による復興支援が始まりました。この間、ハード面のインフラ整備などのほかに、女の子の教育や女性の就労も進みました。

2021年
2021年4月に決定された駐留米軍の撤退が進むなか、タリバンは各地で攻勢を強め、8月15日に首都カブールを制圧、再びアフガニスタンの実権を掌握しました。「イスラム原理主義」政権の樹立を目指し、国際社会に政府承認を求めています。近年タリバンを政府として認めているのはパキスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の3カ国のみ。政権交代時の内戦やタリバン政権の抑圧、テロ組織の支配などにより国民の生活は脅威にさらされ続けています。

タリバン政権の復権以降、国内避難民が急増しました。戦闘から逃れた人々のほか、2022年、2023年と続いた大地震により住む場所を失った多くの人々が、緊急に人道支援を必要としています

    【出典】

  1. 「アフガニスタンの現状と問題」(外務省)
  2. タリバンってそもそも何? 専門家に聞く(NHK)
  3. 40年来続くアフガニスタンの悲劇――戦禍に生きる人々(AAR Japan 難民を助ける会)

アフガニスタン難民が直面している問題

アフガニスタン難民の9割を受け入れているイランやパキスタンでは、難民の流入により資源やインフラがひっ迫、さらに干ばつによる食料不足や、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる社会経済状況の悪化から、両国の受け入れ策は危機に瀕しています。さらに、アフガニスタン国内のコミュニティでも、人々は食料不足や水と衛生の悪化、女性の抑圧などの問題に直面しています。

特に深刻な問題を3つあげます。

深刻な食料不足

アフガニスタン国内の避難民は水や食料の不足に苦しんでいます。紛争や気候変動の影響による干ばつ、洪水などが原因です。ウクライナ紛争の激化によって、ウクライナ産の小麦やトウモロコシなどの輸出が滞ったことで世界的に食料価格が高騰。アフガニスタンもその影響を受け、食料不足による栄養不良や飢餓の問題が深刻化し、人道危機に直面しています。

飢餓は児童婚や女性性器切除(FGM)など女の子へのジェンダーに基づく暴力や有害な行為のリスクを増大させます

写真

女性や子どもへの暴力

難民キャンプや難民居住区では、抑圧された生活のなかで、もともと社会や家族内で弱い立場に置かれている女性や子どもへの暴力行為が発生しやすい傾向にあります。人身取引や児童労働、性的搾取などのリスクも高まります。貧困により十分な教育を受けられないため、現状を解決する手段も限られてしまうことになります。

対人地雷の埋まる危険な土地

アフガニスタンでは、ソ連侵攻の時代から対人地雷が全土で使用されていました。使用された地雷は誰かが踏むか除去しない限り残り続けます。紛争から逃れても、避難先で地雷被害に遭う危険もあります。

アフガニスタン難民に必要とされている支援

アフガニスタンで難民が発生した原因や難民受け入れ国の状況を踏まえたうえで、ここからはアフガニスタン難民に必要とされている支援とは何かを解説します。

アフガニスタン難民の9割を受け入れているイランとパキスタンは、これまで避難所の提供などを支援してきたほか、2012年以降は自主帰還と持続可能な社会復帰を促す環境の構築を目指して支援を展開してきました。干ばつによる食料不足や社会経済状況の悪化によって、両国での受け入れ政策がひっ迫するなか、国際社会に求められている支援にはどのようなものがあるのでしょうか。

食料支援

国連は、2023年半ばまでに、5歳未満の子ども320万人を含む400万人のアフガニスタン人が急性栄養不良に陥ったと報告しています。そうした過酷な状況から逃れてきた難民の人々には、生きるうえで必要な水や食料の支援がまずは必要です。食料確保の不安が少なくなれば、避難先において仕事を探したり、子どもの教育について考えたりすることもできるようになります。

医療と衛生の支援

185万人以上のアフガニスタン難民が避難生活を送るパキスタンは、災害に脆弱なため豪雨や洪水の被害が起こりやすい国のひとつです。難民を受け入れている地域で洪水が発生した場合、地域の衛生状態が悪化するほか、食料不足による栄養不良から感染症などの病気にかかりやすくなります。小さな子どもや妊娠中の女性たちが安心して暮らせるよう、安全な水や衛生設備の整備は不可欠です。

写真:洪水により水浸しになった住居

洪水により水浸しになった住居

子どもの教育とジェンダーに関わる支援

子どもや女性が教育を受けることで知識やスキルを身につけ、現状の問題への解決策を考えられるようになり、経済的、社会的な自立にもつながります。パキスタンなど難民受け入れ国においては、難民の子どもたちが教育を継続できるよう、奨学金の給付や安全な学校環境づくりなどの支援が必要です。

写真:教育継続・復学への支援

教育継続・復学への支援

アフガニスタンや世界の難民問題に目を向けよう

2023年、パキスタンは不法滞在のアフガニスタン人を強制送還する措置を開始するなど、アフガニスタン難民を取り巻く状況は厳しさを増しています。また、国連によると2024年には6万人の難民と30万人の国内避難民が帰還する可能性があり、アフガニスタン国内ではこうした人々の再定住のための支援が早急に必要とされています。

日本に暮らす私たちに直接できることは限られていますが、アフガニスタンをはじめ、世界の難民問題について関心を持ち続けることが何より重要です。プラン・インターナショナルのウェブサイトでは、世界の難民問題について多様な視点から解説した記事をご覧いただけます。

難民問題・移民問題についてもっと知る

  • ※プラン・インターナショナルはアフガニスタンで活動していないものの、同国の危機に対し強い危機感を抱いており、声明を発表しています。

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