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日本における貧困の現状とは?原因や改善に向けて行われている支援

(2025年01月30日更新)

日本は豊かな国というイメージが持たれがちですが、十分な収入を確保したり生活基盤を安定させたりできずに困窮する家庭も少なくありません。こうした状況は個人だけの努力で解決することが難しく、社会全体における大きな課題となっています。
また、生活の苦しさが表面化しにくいため、周囲の理解やサポートが得られず困窮に陥り、社会的損失が見えないところで生じることがあります。
この記事では、日本における貧困の現状や背景、具体的な取り組み例などを通して、私たち自身の暮らしや社会を見つめ直すきっかけを皆さんと共有していきたいと思います。

日本における貧困の現状

貧困には大きく分けて「絶対的貧困」と「相対的貧困」があります。絶対的貧困とは、生命や生活の維持が深刻に脅かされる状態を指し、これは一部の途上国などで見られるケースが多いと考えられています。
一方で、国全体の平均的な生活水準を下回る「相対的貧困」は先進国でも起こりうる問題で、日本ではこちらが特に注目されています。相対的貧困に苦しむ貧困層が増えると、教育格差や将来の虐待リスクなど、さまざまな形で社会的損失が生じる可能性があります。

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画像:貧困の意味とは?世界の現状と影響と支援する方法

貧困の意味とは?世界の現状と影響と支援する方法

日本の相対的貧困率は先進国のなかでも高い

日本の相対的貧困率を示す代表的なデータとして、OECD(経済協力開発機構)の統計があります。2021年の日本の相対的貧困率は15.7%で、加盟38カ国中7位という結果でした。G7(主要7カ国)のなかでは最も高い水準となっており、その割合を見ると依然として深刻な状況がうかがえます。
この「貧困率」は、国で設定される貧困ライン(中央値の50%以下)を下回る世帯の数を示すものであり、多くの方が生活のベースとなる可処分所得を十分に得られていない可能性を示しています。

貧困率

子どもの貧困も深刻

厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2022年公表)によると、2021年の日本の子どもの貧困率は11.5%でした。これは 2021年の日本の子どもの貧困率は11.5%でした。これは約9人に1人がなんらかの経済的困難を抱えている計算になります。
特に、ひとり親世帯の貧困率は44.5%と高く、2人に1人は厳しい状態にあるという実態が明らかになりました。この状況が続くと、進学やキャリアへの機会損失につながる可能性があるため、子どもの貧困対策が今後さらに重要になっていくでしょう。
調査によると、母子世帯の75.2%、子どものいる世帯の54.7%が生活を「苦しい」と感じているという結果も出ており、豊かそうに見える日本社会の裏で多くの家庭が苦悩していることが分かります。

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日本における貧困率の推移

日本における相対的貧困率は、1985年頃から少しずつ上昇してきました。これは賃金や雇用構造の変化、社会全体の高齢化など、複合的な要因が影響しているとされています。近年、子どもの貧困率はやや低下傾向にあり、就労環境や支援制度の改善が一定の効果を上げているとも見られます。
しかし、依然として他の先進国と比べると高い水準にあることに変わりなく、根本的な貧困対策の強化が必要です。日本社会が抱える課題としては、正規雇用と非正規雇用の賃金格差や高齢化に伴う医療・介護負担の増加などが挙げられ、それらが貧困率にも影響を与えていると考えられます。

貧困率

日本における貧困の原因とは?

日本が相対的に貧困率の高い国として浮上している背景には、低賃金で働く人の増加や、経済環境の変化に取り残される層の存在が大きく影響していると指摘されています。制度や雇用形態の変遷によって安定した収入を得るのが難しくなり、それが世帯の収入格差や教育格差へ波及していると考えられます。

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非正規雇用の広まり

日本では、派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用が増えてきました。これらの雇用形態は正規雇用に比べて賃金が低く、契約期間も短期で更新されるなど、不安定な環境に置かれがちです。賞与が支給されない、病気や怪我の際に十分な補償が得られないなど、安定した生活を営みにくい側面があります。このような背景が、子どもの貧困問題や教育格差の一因となることも問題視されています。

社会全体の高齢化

高齢化が進む日本では、年金だけで暮らす世帯が増大し、年金額が生活費を十分にまかなえないケースが散見されます。さらに医療費や介護費用の増大で家計の負担が増えたり、年齢を重ねるほど再就職の機会も限られたりして、貧困に陥るリスクを高めてしまうことも懸念されます。

ひとり親世帯の増加

離婚や未婚などの理由でひとり親世帯が増えてきています。特に母子世帯では育児と仕事を両立することが難しいため、保護者が低賃金の職にしか就けず苦しい状況に陥るケースも多いようです。厚生労働省の調査では母子世帯の平均年収が272万円、父子世帯の平均年収が518万円であり、大きな収入格差があります。これはひとり親で子育てをする上での取り組みや社会保障がいまだ十分でないことを示しています。

日本の貧困を改善するために行われている支援

日本における貧困問題に対しては、行政のみならず地域やNPO・NGOなどの民間セクターも積極的に活動しています。生活基盤の整備や所得支援だけでなく、地域コミュニティの再生、学習支援や食事支援など、多角的なアプローチが行われているのが特徴です。こうした多層的な取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標1「貧困をなくそう」にも関連し、今後もさらに重要になっていくとみられます。

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行政による支援の例

生活保護

経済的に厳しい状況にある人々への対策として、最低限の生活を保障するための制度が存在します。生活費だけでなく、医療費や住宅費なども含まれるので、なんとか生活を立て直すための大きな支えとなります。

児童扶養手当

ひとり親世帯を対象とした制度で、収入に応じて手当が支給されます。特に経済的に困窮しがちなひとり親世帯には非常に大きな意味を持ち、子どもたちが安心して学校生活などを送るためにも欠かせません。

就労支援

失業中や低所得の人々の就職をサポートするプログラムで、職業訓練やハローワークでの相談に加え、働きながらでも受講可能な研修など、多彩な方法で自立を促します。

地域やNGO団体による支援の例

フードバンク

まだ消費可能なのに捨てられる予定だった食品を企業や個人から寄贈してもらい、貧困家庭や生活に困窮している人々に無償提供する仕組みです。食品ロスの削減にもつながり、社会的に意義のある取り組みとして広まっています。

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子ども食堂

子どもが無料または低価格で食事をとれる場所として各地に開設されました。家庭で十分な食事を得られない子どもや、孤立しやすい状況の子どもたちに食事と交流の場を提供しています。こうした取り組みを通じて、地域の人々がつながり合い、安全基地のような役割を果たしています。

無料塾や学習支援プログラム

経済的な理由で学習塾に通えない子どもに、無料または低額で学習指導を行います。これにより教育格差を和らげる効果が期待され、将来の進学や就職につなげるうえでも大きな機会となります。

日本の貧困をめぐる今後の展望とプラン・インターナショナルの支援

日本の貧困の現状は、長期化・複雑化の傾向が見られます。非正規雇用やひとり親家庭の増加、高齢化、そして地域コミュニティの弱体化など、さまざまな要因が重なりあっているため、単一の対策だけで課題を乗り越えることは難しいのが実情です。行政や民間の多角的なサポートだけでなく、私たち一人ひとりが周囲の困っている人々に目を向け、心を寄せることが大切です。

プラン・インターナショナルはジェンダー平等の実現に向けて取り組みを続けている国際NGOです。世界だけでなく日本国内でも、社会や家庭から孤立し、生活困窮やジェンダーに基づく暴力など、さまざまな「生きづらさ」に直面している女の子や若年女性に寄り添う支援を行っています。

写真:女の子が安心して過ごせる居場所「わたカフェ」

女の子が安心して過ごせる居場所「わたカフェ」

日本の女の子、若年女性たちへの支援も行う
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運営団体

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

写真:プラン・スポンサーシップ

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