(2024年07月25日更新)
「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」は、途上国だけでなく先進国も含めたすべての国が、2030年までの達成を目指して取り組むべき17の目標と169のターゲットを定めた国際目標です。
SDGsの目標達成には各国政府や国際機関だけでなく、NGOやNPO、市民社会、民間企業等を含むあらゆる人々が参加することが大切です。ここでは、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について詳しく解説し、特に企業のCSR活動に役立つ事例をご紹介します。

もくじ
SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは?
![]()
「家事は女の子/女性がするもの」「仕事をして家計を支えるのは男の子/男性」など、性別の違いで固定的な思い込みや偏見を持つことを「ジェンダーバイアス」と言います。世界には「女の子/女性だから」という理由だけで、教育を受ける機会を奪われたり、早すぎる結婚(児童婚)をさせられたりと、人権を侵害されている女の子や女性たちが大勢います。あらゆる性別の人が差別されることなく、社会に参加することができれば、さまざまな問題解決にもつながることから、SDGsの目標5が設定されました。目標のなかには、女の子や女性への差別や暴力、有害な慣行を排除することや、政治や経済、社会における男女格差をなくすことが掲げられています。
| ターゲット(具体的な達成目標) | |
|---|---|
| 5.1 | あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。 |
| 5.2 | 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。 |
| 5.3 | 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。 |
| 5.4 | 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。 |
| 5.5 | 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 |
| 5.6 | 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。 |
| 5.a | 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。 |
| 5.b | 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。 |
| 5.c | ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。 |
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」で解決を図っている世界のジェンダー問題
世界ではさまざまなジェンダー不平等が起きています。ここでは、家庭や社会のなかでより弱い立場に置かれがちな、女の子/女性が直面している課題を詳しく見ていきましょう。
早期結婚、早期出産の問題
いま、世界では約5人に1人が18歳未満で結婚する「児童婚」をしています。貧困家庭に多く見られ、結婚のために中途退学をせざるを得なくなり、結婚後も家庭内での発言権がなく配偶者やその家族から差別や暴力の対象となることもあります。また、身体が未成熟なうちの出産は危険がともない、出産時に母または子どもが命を落とすケースも少なくありません。

女性や女児への暴力・性的虐待の問題
2018年のユニセフの報告によると、世界では女性の約3人に1人が身体的・性的暴力の被害者となり、15歳から19歳の女の子約1500万人
が性的暴力の被害に遭っていると言われています。ジェンダーに基づく暴力の根本的な原因として、社会にもともとあるジェンダー不平等や、「男の子に比べて女の子は価値が低い」などの思い込みが当たり前になっていること(社会規範)があげられます。
女性性器切除(FGM)の慣習問題
女性性器切除(FGM)とは、女性外性器の一部もしくは全体的な切除、あるいは傷つける行為です。幼児期から15歳ごろまでの女の子に対し、大人の女性になるための通過儀礼や結婚の条件として、アフリカを中心に約2000年前から行われています。施術は不衛生な環境で行われることも多く、激痛と出血をともない、命を落とす危険もある伝統的な慣習です。生涯にわたる健康被害や、強い恐怖が女の子たちの心の傷として残る点も、問題として指摘されています。

女性や女児の人身売買(人身取引)の問題
国際労働機関(ILO)による2018年の発表では、全世界で約4030万の人たちが人身取引の被害に遭っており、その多くが女性と子どもたちと言われています。国連薬物犯罪事務所(UNODC)
※が人身売買に関するデータを取得して以来、この傾向は変わっていません。災害や紛争などの混乱に乗じて、子どもの保護が行き届かずに人身取引が発生するというケースもあります。
雇用や教育の格差の問題
途上国では、女の子に対する教育の重要性への理解不足、児童婚による中途退学などにより、女の子たちの教育の機会が奪われています。その結果、女の子たちは家事や子育て、家族の介護などの無償ケア労働に従事せざるを得なくなります。学校で十分な教育を受けることができないと、基本的な読み書きや四則計算ができず、仕事に就くことも困難になります。

家事をしながら子育てをする女の子(ベトナム)
日本でのジェンダーギャップは?
2024年6月、世界経済フォーラム(WEF)が世界各国の男女平等の度合いを数値化した「ジェンダーギャップ指数」2024版報告書を発表。男女が完全に平等である状態を100%とした場合、日本は66.3%と、146カ国中118位でG7(主要7カ国)では最下位です。日本でも女性の社会進出、女性活躍が促進されていますが、女性議員、女性管理職の割合は依然として高くありません。
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成に向けた世界での取り組み
「ジェンダー平等推進のための教育」プロジェクト
ネパールのマデシ州は、経済・社会の両面で発展から取り残された地域で、「排除されたグループ」と呼ばれる少数民族マデシの人々が多く暮らしています。特に女性たちは、少数民族への差別、ジェンダーやカーストに基づく差別など、複数の差別に直面しています。女性たちの識字率は47.7%に留まり(男性は74.0%)、教育を受ける女の子の比率は男の子より低く、学校には女子トイレがないなど学習環境が劣悪です。プラン・インターナショナルはこの地域で女の子や障害のある子どもに配慮した教室や衛生設備の建設・修繕を行い、ジェンダー平等や子どもの保護に関する知識を普及しています。

これまでに、小学校1校に新しい4教室を建設し、別の1校で老朽化していた4教室を修繕しました。また、小学校4校で男女別トイレや手洗い場、給水設備を整備しました。これにより、約320人の子どもたちが安全で衛生的な環境で学ぶことができるようになりました。
「女性性器切除から女の子を守る」プロジェクト
女性性器切除(FGM)を法律で禁止する国も多いなか、ソマリアはFGMが合法である数少ない国のひとつで、15歳から49歳の女性のうち99%が施術されています。スーダンではFGMが刑法で禁止されていますが、法の執行が不十分であるため、今も水面下で広く続けられており、15歳から49歳の女性のち86.6%が施術されています。プラン・インターナショナルは、ソマリアとスーダンでFGMの被害を受けた女の子の心身のケアと同時に、家族や地域住民、行政にむけてFGMの根絶を働きかけています。
ソマリアでは、巡回診療により、FGMの合併症に苦しむ女の子や女性の治療を行っています。対象地域のひとつである国内避難民キャンプでは、最寄りの病院まで徒歩で数時間かかるうえ、診療費用の負担も大きいことから、多くの人が適切な治療を受けることができませんでした。巡回診療を開始したことで、キャンプ内の女性が金銭的な負担なしに、定期的に医療サービスを受診できるようになりました。

先進国での取り組み
ジェンダーフリー教育
子どもたちが「男性/女性だから」といった固定観念にとらわれず、1人ひとり将来の可能性を広げていく意味です。スウェーデンでは「hen(ヘン)」という男性でも女性でもないジェンダー・ニュートラルな代名詞が絵本のなかで使用され、一般社会に浸透するようになりました。
クオータ制の導入
格差是正のためにマイノリティに席の割り当てを行う考え方です。政治では一定の比率で女性議員数を割り当てることを指します。ノルウェー発祥ですが、現在では、フランス、フィンランド、ドイツ、ルワンダなど世界で約31%の国がクオータ制を導入しています。
ジェンダー平等を目指して、プラン・インターナショナルと活動しませんか
プラン・インターナショナルではSDGsへの貢献を軸に、毎年800以上の企業・団体とパートナーシップを組み、さまざまな活動を展開しています。
ここまでお読みいただき、世界には依然としてジェンダー問題が多く存在し、それらが持続可能な社会の形成を阻む要因であることをご理解いただけたと思います。企業とNGOの協働のメリットは、お互いの強みを活かすことで、より大きな社会的影響を生み出すことができる点です。次の世代の子どもたちが能力を発揮できる社会にするために、プラン・インターナショナルとともに活動しませんか。

CSR活動や社会貢献のための取り組み・支援はこちらから
運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。










