(2024年09月17日更新)
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、開発途上国だけでなく先進国も含めたすべての国が2030年までの達成を目指して取り組むべき17の目標と169のターゲットを定めた国際目標です。
SDGsの目標達成には各国政府や国際機関だけでなく、NGOやNPO、市民社会、民間企業等を含むあらゆる人々が参加することが大切です。ここではSDGs目標8「働きがいも経済成長も」について詳しく解説し、特に企業のCSR活動に役立つ事例をご紹介します。

もくじ
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは
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SDGs目標8「働きがいも経済成長も」は、包括的で持続可能な経済成長や、働きがいのある人間らしい雇用の促進を目指すための目標です。
世界の人々が持続可能な暮らしを送るには、各国が今後も経済成長を続けていく必要があるため、目標8の達成は重要です。この目標は、持続可能な経済成長の達成や児童労働の撲滅、安全な労働環境の促進など10のターゲットで構成されています。
| 目標8.包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)※を促進する | |
|---|---|
| 8.1 | 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年7%の成長率を保つ。 |
| 8.2 | 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高レベルの経済生産性達成する。 |
| 8.3 | 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。 |
| 8.4 | 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。 |
| 8.5 | 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。 |
| 8.6 | 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。 |
| 8.7 | 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。 |
| 8.8 | 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 |
| 8.9 | 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。 |
| 8.10 | 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。 |
| 8.a | 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。 |
| 8.b | 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。 |
- ※ディーセント・ワーク(Decent work)とは
日本語では、働きがいのある人間らしい仕事、と表現されます。この言葉は、ILOが1999年に活動の主目標として位置づけた概念のことです。世界の労働者の置かれている状況を改善するために提唱したもので、「だれもが差別なく平等に働く機会を与えられ、安心して働ける環境で公正な賃金を受け取ることができる仕事」を意味し、世界に普及させてきました。ILOに加盟する日本政府が推進する「働き方改革」もその取り組みのひとつです。
出典:ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について(厚生労働省)
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」で解決したい世界の問題
目標8では「働きがい」が重要視されています。しかしそれ以前に、安全で安心して働ける基本的な労働環境や労働者の権利などが無視されている国が多くあります。世界ではどのような問題が起こっているのでしょうか。
途上国の児童労働
途上国では、多くの子どもたちが教育を受ける機会を得られずに強制的に働かされています。2021年6月に発表されたユニセフとILOの共同報告書によると、児童労働に従事する5~17歳の子どもの数は約1億6000万人に達しました。そのうち、5~11歳の幼い子どもの数が全体の半分以上を占めています。さらに、7900万人もの5~17歳の子どもたちが、健康や安全、道徳面で有害な可能性が高い仕事(危険有害労働)に従事していることもわかりました。また多くの女の子たちが、水汲みや農業の手伝い、幼いきょうだいの世話、家事全般などの家庭内における無給の労働を担っています。

タバコの収穫に従事する幼い子どもたち
ジェンダー格差
世界の労働市場では、ジェンダー格差が根強く残っています。いまだに多くの国で同一労働同一賃金が実現していないため、女性は男性よりも低い賃金で働いていることが多い現状があります。
2023年にILOが発表した資料によると、「働きたいが仕事がない」と答えた男性は世界全体で10.5%だったのに対して女性は15%。低所得国において仕事を見つけられない割合は男性が16.6%、女性が24.9%と、いずれも女性の方が仕事を見つけることが難しいことがわかりました。

魚を干す若い女性
雇用格差
世界では、失業者が増加傾向にあり、なかでも若者の失業率が高いことが問題視されています。2023年の世界全体の若者の失業率は13%と過去15年間で最も低く、回復傾向にあります。しかしながら、安定した長期雇用の仕事を持つ若者の割合を比べると、低所得国では高所得国の約5分の1しかおらず、格差が広がる原因にもなっています。

経済発展による環境破壊
これまで経済発展によって、インフラの整備や施設・設備の開発、製品の開発・製造が行われることで、多くの資源の利用や自然環境の破壊、人々の健康被害が引き起こされてきました。経済発展と同時に、持続可能な世界を存続させていくことは、大きな課題となっています。
日本におけるSDGs目標8「働きがいも経済成長も」の実現にむけた課題は?
超過勤務など長時間労働がなくならず、それが原因で心身の健康を損なう人が多くいます。従業員がワークライフバランスやワークライフマネジメントを実践でき、仕事と生活の調和が図れる労働環境を提供することが重要です。また、日本における民間企業のテレワーク(リモートワーク)導入率はコロナ禍を経て50%に達しましたが、実際の利用状況は30%に留まっています※。テレワークの活用は育児や介護などとの両立にも役立ちます。その他の課題として、収入が安定しない非正規雇用の割合が多いことや、雇用形態や性別による賃金格差が依然として根強く残っていることが挙げられます。
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」を実現するために必要な取り組み
世界の人々の労働にまつわる課題は、国や地域によって大きく異なります。先進国では、働き方改革の推進、格差の是正、エシカル消費の促進などが求められていますが、途上国では、児童労働やジェンダー格差などの問題が起きています。これらの問題を解消するために、途上国では基本的な労働の土台をつくるための具体的な支援が求められています。
SDGs目標8達成のために、これまでさまざまな取り組みが行われてきました。ここでは、国際NGOプラン・インターナショナルの取り組み事例を紹介します。
「女の子が売られない社会づくり」プロジェクト
ブルキナファソでは、国内および近隣国への子どもの人身取引が深刻です。特に女の子は性産業に従事することを強要されたり、雇用主による性的搾取の被害を受けたりしがちです。貧困家庭の親や子どもたちは、金採掘場、農場、雇用主の家において労働搾取を受け、健康を害したり精神的なトラウマを抱えたりするケースが多発。女の子は、望まない妊娠やHIVへの感染など、深刻な事態に陥っていました。
プラン・インターナショナルでは、2019年から2022年にかけて、「女の子が売られない社会づくり」プロジェクトを行い、児童労働や労働搾取の防止に取り組みました。

支援内容
- 人身取引から救出された子どもの保護や帰還支援
- 人身取引にあうリスクが高い女性と若者や人身取引から救出された被害者の職業訓練
- 性と生殖に関する健康や人身取引に関する子どもの意識啓発
- 人身取引を防止するための地域や政府の能力強化
「少数民族の女性たちの収入アップ」プロジェクト
バングラデシュでは人口の約5人に1人が国際貧困ラインの1日1.9ドル未満で生活しています。頻発する自然災害によって、少数民族をはじめとする貧困層の人々は、より過酷な生活を強いられています。安定した生計手段がなく、わずかな収入で暮らしていた家族たちは、災害によってさらなる貧困に陥っていました。
プラン・インターナショナルは2017年から2020年まで、「少数民族の女性たちの収入アップ」プロジェクトを実施。生計向上に必要な技術の習得を支援しました。

支援内容
- 就労と起業に必要な職業訓練
- 生産性を向上させるための農業技術指導
- 職業訓練後の就労と起業支援
働きがいと経済成長を担う企業の皆さま、SDGs目標8の達成のためにともに取り組みませんか?
働くことは、単に収入を得るだけでなく、達成感や自身の可能性を広げ人生を充実させることにもつながり、私たち一人ひとりの生きがいにも直結しています。働きたいと思うだれもが、不利な立場に置かれることなく働きがいのある仕事に従事できれば、より豊かな社会になるのではないでしょうか。
それと同時に、世界中の多くの人々にとって、働くことは貧困から抜け出すために欠かすことのできない手段です。貧困問題を解決していくためにも、各国が労働者の人権を尊重しながら、雇用を生み出し、長期的でサステナブルな経済成長を続けていく仕組みが求められます。
経済成長の一端を担う企業が、社会課題にむけて積極的に行動することは、非常に大きなインパクトを与えます。
企業の皆さま、私たちプラン・インターナショナルと連携し、SDGs目標8の達成に貢献するさまざまな活動にともに取り組んでみませんか?
CSR活動や社会貢献によるSDGsの取り組み支援はこちらから
運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。










