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スラムはなぜできる?原因やスラムが直面している課題、必要な支援

(2025年06月16日更新)

都市の片隅に広がるスラムは、過密な住環境や不十分な教育と医療、そして治安の悪化など多くの問題を抱えています。なぜそれほどまでに厳しい生活状況に陥り、そして改善されにくいのでしょうか。
この記事では、スラムが形成される原因やそこで直面する課題、必要とされる支援を詳しく解説します。現実を知ることで、貧困の連鎖を断ち切るための手がかりが見つかるはずです。一緒にその現状を学び、未来に向けた行動を考えてみませんか。

スラムとは?

スラムの意味

スラム(slum)は、主に大都市の一角に形成される貧困者が集中して暮らす地域を指します。一般的な住宅とは異なり、水道や電気などの基本的なインフラが整備されておらず、不衛生な環境で居住者が密集して生活しています。
また、スラムでは治安の悪化や衛生状態の悪化により、そこに暮らす人々の健康が脅かされやすい環境にあります。特に子どもや高齢者、女性といった社会的弱者は、より深刻な影響を受けやすい状況に置かれています。

スラムが形成される背景

農村の貧困層が都市へ移住しても低賃金の仕事しか得られず、正規の住宅を借りる資金や保証がないため、空き地や老朽した家屋に住み始めるケースが少なくありません。
行政サービスが届きにくい地域では水道・電気などのインフラ整備が遅れ、衛生や治安も悪化
します。

こうして劣悪な住環境が固定され、スラム化が進行していきます。また、紛争や災害によって家を失った人々が都市部に集中し、避難先で十分な支援を受けられずにスラムを形成する事例も見られます。
さらに、教育機会を得られないため貧困から抜け出せない人々が、そのままスラムに定住する場合も多いのが現状です。こうした要因が重なり、状況は深刻化しています。

写真:スラム生活でする人々(バングラデシュ)

スラム生活でする人々(バングラデシュ)

スラムの定義とは?

「持続可能な人間居住開発」を促進する国際連合の機関「国連人間居住計画(UN-Habitat)」では、以下の5つのうち、1つ以上欠如している世帯をスラム居住者と定義しています。

  1. 改善された水へのアクセス
  2. 改善された衛生施設(トイレ)へのアクセス
  3. 住み続けられる保証
  4. 住居の耐久性
  5. 十分な生活空間

世界各地の代表的なスラムの例

スラムは世界各地にあります。それぞれのスラムではどんな課題を抱えているのか、インド、ブラジル、ケニアを例に背景と問題を考えてみましょう。

インドのムンバイにある「ダラヴィ」

ダラヴィは、アジア最大級のスラムとされ、推定70万人以上が暮らしているとも言われます。ここでは狭い土地に多くの人が密集し、衛生やインフラが整わない一方、リサイクル産業や小規模製造業が活発です。住民は協力しながら生計を立て、経済活動を通じて自立や地域の発展を模索する反面、再開発や社会的課題にも直面しています。

画像:インドってどんな国?現状と支援活動

インドってどんな国?現状と支援活動

ブラジルのリオデジャネイロにある「ファヴェーラ」

「ファヴェーラ」はリオデジャネイロをはじめ、ブラジル各地に広がる貧困区域です。多くは不法占拠された土地に建物が密集し、衛生面も良好とはいえません。住民は低賃金労働や失業に苦しむだけでなく、ギャング抗争などの犯罪被害にも直面。政府や非営利団体の対策は進むものの、深刻な社会問題の解決には時間がかかります。格差拡大を背景に、厳しい生活が続いています。

画像:ブラジルってどんな国?現状と支援活動

ブラジルってどんな国?現状と支援活動

ケニアのナイロビにある「キベラ」

キベラはアフリカ最大規模とされるスラムです。上下水道が未整備な地区が多く、衛生環境は深刻です。住民の主な収入源は露天商や日雇い労働などで、貧困や犯罪、女性の人権侵害など数多くの課題があります。行政や支援団体が改善策を講じる一方、飲料水の確保や感染症対策の遅れなど問題は山積みです。学校教育の不足も深刻で、子どもたちの未来も危ぶまれています。

画像:ケニアってどんな国?現状と支援活動

ケニアってどんな国?現状と支援活動

先進国にもスラムはあるの?

スラムがあるのは途上国だけではありません。アメリカの都市部には、多様な背景を持つ低所得者層が集住するスラム的な地域があり、失業や犯罪が深刻化しやすい傾向があります。日本でも、歴史的に「寄せ場」などと呼ばれる地域が形成され、低賃金労働者や高齢者などが集まって暮らすことがありました。近年は再開発や行政支援の進展により状況改善が図られているものの、根強い生活格差が残っている地域もあります。

世界のスラムが直面している課題とは

世界各地に広がるスラムは、極度の貧困やインフラ不足などが重なり合い、とりわけ子どもや女性に深刻な影響を及ぼしています。ここでは「貧困の連鎖」「過密状態と治安悪化」「インフラ不足と健康リスク」という3つの視点から、スラムが直面する主な課題を紹介します。

貧困の連鎖

スラムに暮らす多くの住民は極度の貧困状態にあり、日々の生活を維持することが困難です。子どもが学校に通えずに、ホームレス、ストリートチルドレンになるケースも後を絶ちません。
また、特に女性は就労の機会が限られているうえに、性暴力やドメスティック・バイオレンス(DV)などの被害に直面するリスクがあります。こうした状況が世代を超えて繰り返されることで、貧困の連鎖を断ち切ることが難しくなっています。

過密状態と治安の悪化

狭い場所に多くの人がひしめき合い人口密度が高いスラムでは、十分な住環境を整えられずトラブルが頻発しがちです。
高い失業率や社会的孤立感のなかで、犯罪や麻薬、アルコール依存が横行し、子どもが非行に巻き込まれる危険性も増します。さらに、行政や警察が立ち入りにくい地域が多く、女性は常に暴力や搾取の被害を受けるリスクと隣り合わせです。

インフラの欠如と健康リスク

水道や電気、トイレが十分に整備されておらず、医療施設も乏しいため、不衛生な生活環境が感染症の拡大を招いています。
特に女の子は、月経衛生に必要な設備や用品が不足していることから通学を諦めざるを得ない場合があり、健康被害や学習機会の損失が深刻化しています。また、地域に常駐する医療従事者や支援団体も不足し、救急対応が困難なケースも少なくありません。

スラム問題が都市全体に与える影響とは・・・?

スラム内の犯罪が周囲にまで波及すれば、都市全体の安全が揺らぐ可能性があります。不衛生な環境発生した感染症が広がり、重大な健康被害が広範囲で起こり得ます。さらに、経済格差によって社会が分断されることで、激しい抗議や暴動を誘発するリスクも否めません。治安が悪くなると、都市の持続可能性が損なわれるおそれもあります。

スラムの課題改善に向けて必要な取り組み

スラムに暮らす子どもや若者が将来への希望を持てるようにするには、教育・職業訓練のサポートや、劣悪な住環境の改善による治安と衛生状態の底上げが欠かせません。ここでは2つの具体的な取り組みを紹介します。

子どもや若者への教育・職業訓練の支援

就学支援や学校建設により、あらゆる子どもが学べる場を確保し、特に女の子には生理用品の提供や衛生施設の整備が必要です。さらに、若者向けの職業訓練プログラムを充実させることで、継続的な収入源を確保し、自立への道を切り拓く助けとなります。
こうした取り組みは地域全体の生活水準を底上げし、貧困の連鎖を断ち切るきっかけにもなります。

スラムの子どもたちが教育を受けられるようバスを教室として利用(インド)

誰もが安心して暮らせる住環境の整備(インフラの改善)

スラムの劣悪な住環境は、治安の悪化や感染症の拡大を招くだけでなく、都市全体へのリスクを増大させます。この状況を改善するには、国や企業が主体となってインフラ整備を進めることが欠かせません。
安全性と衛生環境が向上すれば、豊かな地域社会が育まれると同時に、建設や保守に関わる新たな雇用機会が生まれます。結果として地域経済が活性化し、貧困の連鎖を断ち切る基盤にもなり得るでしょう。
公共施設や衛生設備の改善により、誰もが安心して暮らせる環境の実現が期待されます。

キベラに約40カ所の手洗い場を設置(ケニア)

スラムの人々の自立を後押しする協力とは

スラムに暮らす人々は、過密な住環境をはじめ、教育や医療の不足、治安の悪化など、多くの深刻な課題に直面しています。特に女性や子どもたちは、そのような厳しい生活のなかで大きな影響を受けやすく、安全を脅かされるだけでなく、学びや成長の機会すら奪われがちです

手に職をつけるため編み物を学ぶ女の子(ケニア)

手に職をつけるため編み物を学ぶ女の子(ケニア)

この状況を改善するためには、一時的な支援だけではなく、長期的なビジョンに基づいた取り組みが必要です。国際NGOプラン・インターナショナルは、過酷な環境で暮らす人々に教育支援や住環境の改善活動を行い、すべての人が平等で公正に暮らせる社会実現を目指しています。
スラム地域の問題に対し、住民自身が自分たちの力を高められるようなプログラムを展開することで、貧困の連鎖を断ち切ろうとしているのです。
私たち一人ひとりが関心を寄せ、必要な協力を行うことで、この活動をさらに広げ、子どもたちや女性が安心して暮らせる未来につなげられるでしょう。

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国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

写真:プラン・スポンサーシップ

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