(2024年07月04日更新)
持続可能な開発目標(SDGs)の目標5にも掲げられているジェンダー平等は、女性の社会進出なくして実現することはできません。
世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数2024」報告書からは、南アジアや中東、北アフリカ、サハラ以南のアフリカなどにおいて、男女格差が大きいことが指摘されています。この記事では、途上国において女性の社会進出を妨げている要因や課題をあげるとともに、日本の状況にも触れながら、改善にむけた取り組みを紹介します。

もくじ
途上国の女性の社会進出の現状
途上国の多くでは、女性は男性に比べて家庭や社会において不平等な待遇を受けています。女性たちが直面している現状と課題について2つの観点から見ていきましょう。
経済的な自立が困難
まず、女性たちの多くは自立して収入を得ることが難しいという現状があります。女の子の就学率が向上している国もあるものの、高等教育を受ける女の子の割合は依然として低いままです。貧困や、早すぎる結婚(児童婚)が原因で学校を中途退学せざるを得ず、将来よりよい仕事に就くための知識やスキル、情報を十分に得られないまま大人になると、経済的な自立は難しくなってしまいます。

社会での地位が低い
また、経済的地位とともに、社会的地位の低さも問題です。途上国の女性たちのなかには、子どもの頃から教育を受ける権利や、自由に意見を表明する権利などの基本的権利を奪われた環境で育ってきた女性も多いため、男性に比べて社会で活躍する機会をなかなか得られない状況に陥りやすくなっています。
途上国の女性の社会進出を阻む原因
途上国において、女性が社会進出することは、国全体の貧困削減や経済成長にも直結するため特に重要です。しかしながら、性差別を起因とするさまざまな問題が、女性の活躍を阻んでいる現実があります。
教育格差
途上国のなかには、地域に古くから根づく価値観や慣習により、教育を受けることができない女の子が大勢います。教育面で女の子よりも男の子を優先する家庭や社会では、女の子が教育を受ける権利に対する理解が得られにくく、男女間の格差がますます広がっています。
早すぎる結婚・出産
途上国では、18歳未満での早すぎる結婚(児童婚)、そして若年妊娠・出産が多くみられます。幼い年齢での妊娠・出産は危険が伴うほか、配偶者やその家族からの暴力にあいやすいなど、児童婚はさまざまな弊害をもたらします。児童婚によって教育の機会を失ってしまった女の子たちは、働いて自立した生活を送ったり、社会の活動に参加したりする機会を半強制的に奪われてしまいます。
こうした問題の背景には、「女性は家庭内労働や育児に専念すべきだ」という伝統的な考え方が潜んでいます。このことが、女性の社会進出を阻んでいる大きな理由のひとつと言えます。性差別的な固定観念は、女の子の教育への否定的な言動や、女性の職業選択肢の制限といった形でも現れています。その結果、女の子や女性の就学率・就労率が上がらず、貧困から抜け出すことができない社会構造が長続きしてしまうのです。

日本における女性の社会進出の現状・改善策は?
翻って日本の状況に目をむけてみると、日本における女性の就業率は近年、上昇傾向にあります。特に子育て期の女性において増加しており、15歳~人口が減少している一方で、女性労働者の割合は向上していることが特徴です。厚生労働省の調査結果によると、平成25年時点では、25歳~29歳の女性労働力率(労働者および求職者の割合)は79%でしたが、令和5年では88.2%に上昇。30~34歳といった働き世代の女性の労働力率も、70.1%から82.6%と、実に12%以上も増えています。
一方で、女性管理職の割合は低いままであること、正規雇用者の割合が25~29歳をピークに徐々に下がっていくこと、さらに、男女間の賃金格差が依然として存在することなど、働く女性の雇用形態や職場環境には、まだまだ改善の余地があるといえます。
日本における女性の社会進出をさらに促進するためには、政府と企業の連携が不可欠です。政府による女性活躍推進法の施策に応じ、企業も女性管理職の増加や女性社員が働きやすい環境整備に取り組んでいます。具体的な取り組み事例には、女性のキャリア支援プログラムの提供やテレワークの導入、ワークライフバランスを考慮した育児と仕事の両立支援などがあります。
官民連携した取り組みにより、働き方の多様性が尊重されることで、性別にかかわらずすべての人が働きやすい環境づくりが進むことが期待されます。
女性の社会進出の支援を行うプラン・インターナショナルの取り組み
ここまで、途上国や日本における女性の社会進出の現状や課題、改善策について見てきました。続いて、女性がより活躍できる社会の実現にむけた国際的な取り組みをご紹介します。誰もが平等な世界の実現を目指して活動している国際NGOプラン・インターナショナルでは、さまざまな支援活動を通じて女性の社会進出を後押ししています。

職業訓練を受けて美容室を開店した女性(ネパール)
先住民族の女の子の収入向上プロジェクト
経済格差が大きいグアテマラでは、農村部に住む先住民族の若者が仕事に就ける機会は非常に限られています。若者の多くは就職できず、家族の農業を手伝ったり、日雇い労働をしたりしています。そのため十分な収入を得ることができず、他の地域に一時的に出稼ぎに行くなどして現金収入を得るしかありません。また、「マチスモ」という男性優位の考え方が根強いため、女性は就学や職業訓練の機会が少なく、経済的に自立することが困難です。
プラン・インターナショナルは、2021年3月~2024年6月にかけて、グアテマラのなかでも最も貧困率が高いアルタ・ベラパス県で、「先住民族の女の子の収入向上プロジェクト」を実施。対象者の70%を若い女性とし、地域の産業である農業での起業や小規模農業改善のためのトレーニングなどを行い、収入を向上できるように支援しました。

収穫したトマトを持ち寄った先住民族の女性たち
グアテマラでは2024年6月から新たに「先住民族の小学校教育プロジェクト」を開始。女の子も男の子も平等に学べる教育環境の改善に取り組んでいます。
プラン・スポンサーシップ
プラン・スポンサーシップとは、途上国の活動地域において、地域の子どもや大人、政府や自治体とのネットワークを築きながら、地域で必要とされている「教育」や「生計向上」「子どもの保護」など、必要なプロジェクトを長期的視野で実施していく継続支援の仕組みです。支援者(スポンサー)は、地域を代表する子ども(チャイルド)と手紙で交流しながら、地域の変化とチャイルドの成長を見守っていただくことができます。
すべての活動にはジェンダー平等の視点を取り入れ、女の子と女性のエンパワーメントにも力を入れています。社会で活躍している女性の例として、トーゴの元チャイルド、アイチャさんをご紹介します。彼女は地域に根強く残る「養鶏は男性の仕事」というジェンダーに基づく固定観念をはねのけ、養鶏のビジネスを立ち上げ、地域の女性たちのロールモデルになっています。

元チャイルドのアイチャさん
世界の女性たちの社会進出を後押しするために
女性の社会進出を加速させるには、政府の政策や企業の取り組みだけでなく、社会全体の意識改革が必要となります。そのためには、教育や意識啓発など、一朝一夕では結果の出ない地道な活動を根気よく続けていくことが大切です。
女性が能力を発揮して活躍できる社会は、誰もが自分らしく生きられるインクルーシブな社会の実現にもつながっていきます。女の子や女性が社会で活躍できる力を身につけられるよう、プラン・インターナショナルの活動をぜひ応援してください。
途上国の女性の社会進出をサポートするための寄付はこちらから
運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。











