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(2025年07月14日更新)


「生理の貧困」という言葉を聞いたことはありますか?

経済的な理由で生理用品を入手できない、あるいは十分に使えない状態のことを指します。
「それって途上国の話じゃないの?」と思われがちですが、実は日本にも存在しています。

今回は「生理の貧困」について、わかりやすく解説していきながら、どうすれば解消できるのか、考えていきたいと思います。

「生理の貧困」とは?

「生理の貧困(Period Poverty)」とは、生理用品を購入する経済的余裕がない状態、あるいは十分な知識やケアを受けられない環境を指す言葉です。
この言葉は、2017年に国際NGOプラン・インターナショナルがイギリスで行った調査をきっかけに、世界中で知られるようになりました※1
世界銀行の推計によると、世界で約5億人の女性が、生理の貧困に陥っているとされています※2

生理用品が手に入らない状況は、生活のあらゆる場面でさまざまな問題を引き起こします。
たとえば、ナプキンを節約するために長時間取り替えずに使用し続け、感染症などの健康リスクを招くケース。また、生理であることを理由に、学校や仕事を欠席・欠勤せざるを得ないケースも少なくありません。

日本にもある「生理の貧困」

「生理の貧困」は、私たちの身近にも存在しています。
プランが日本のユース女性2,000人を対象に実施した調査によると、10人に3人が生理用品の購入をためらったり、購入できなかったりした経験があるといいます。

breaking AMI YUASA

購入をためらった理由として、約8割の人は「収入が少ない」「生活用品が高額」「お小遣いが少ない」など、収入や価格面をあげています。

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生理に必要な費用は人それぞれですが、一般的にはナプキンが400円程度、経血が多い日用に別途購入することを考えると、ミニマム800円程度。
それ以外にも、タンポン(400円程度)、鎮痛剤(1,000円程度)、人によっては生理用ショーツ(数千円)、低用量ピル(1カ月/2,000円程度)などさまざまな費用がかかります。

特に10代にとっては、生理用品の入手は深刻な問題に。
先ほどの調査では「保護者が買ってくれない」、「保護者に買ってほしいと頼むのが恥ずかしい」といった意見も多くみられました。

こうした状況では、生理用品を自分で工面する必要がありますが、10代は収入がなかったり、わずかなお小遣いで生活していたりすることも多いため、毎月の購入は大きな負担となります。

また、買えない場合の対処方法については、「長時間使う」「他のもので代用する」などの意見が多く、不衛生な状態が続くことで、健康を損なう可能性も。

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生理への「タブー意識」と「自己責任論」

貧困以外にも、目に見えにくい要因として「生理へのタブー意識」があります。
先ほどのユース調査によると、生理の印象を聞いたところ「恥ずかしい」「家族に話せない」などの意見が多くみられました。

もし生理のことでトラブルを抱えても、「恥ずかしいもの」「隠すもの」という意識が働き、周りに相談できない女の子が増えてしまうのです。

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そして「自己責任論」も要因のひとつ。
日本では、「自分のことは自分でするべき」「他人に迷惑をかけない」といった自己責任論が根強いですよね。

生理においても、この自己責任論に当てはめて、「生理用品すら買えないのが悪い」「生理用品を準備していないのが悪い」といった意見が、SNSでたびたびみられます。

以前、三重県の女性県議が急な生理で困ったとして「トイレにナプキンを置いて欲しい」とXに投稿。この意見に対し8,000件以上の誹謗中傷が殺到する事態となりました

この件に象徴されるように、生理にまつわる話題は「恥ずかしいもの」「隠すもの」「汚れたもの」などとされ、女性が声をあげにくい空気を生み出しています。
これは、無意識の偏見や、女性蔑視(ミソジニー)とも深く関係しています。

実際は、公共トイレでのナプキン設置には多くの人が賛成しています。
中日新聞のアンケート調査によると、「学校や避難所など一部の公共施設に生理用品を置くべき」と答えた人は58%に

しかし、こうした賛成の声が「すべてのトイレ」ではなく「一部のトイレ」に限定されていることについて、プランのアドボカシーグループリーダーで政治学博士の長島美紀は、「社会的な配慮と財政的な現実のバランスを求める声が大きい」と分析。

「生理は体の自然な現象であり、当たり前に社会の中で考慮されるべきテーマです。そのためには『マナー』や『我慢』といった個人努力に頼るのではなく、一定の公共的支援が必要だと改めて感じる」と述べています。

私たちにできるアクション

生理の貧困をなくすために、私たちにできることはなんでしょうか?

プラン・インターナショナル・イギリスの事務局長、ローズ・コールドウェルは、生理にまつわる3つの弊害として「生理用品の不足」「正しい知識の不足」、「恥とタブー視」を挙げています。

この3つは日本にも当てはまるため、こちらをベースに「私たちができること」を紹介していきます。

「生理用品の不足」に声をあげる

学校や会社、公共機関のトイレで、生理用品を「無償」で手に入れられるようになれば、より多くの人が安心して利用できます。
その実現にむけて、政府や企業などに声を届けていきましょう。

実際、日本でも「声」によって行政が動きました。
2021年、東京都内の高校生たちが「生理用品を学校で無償配布してほしい!」と署名活動を実施。

これを受け、教育委員会は2021年秋からすべての都立学校の女子トイレに生理用品を常設する取り組みをスタートさせたのです※1

この動きは全国に広がり、現在では43都道府県の公立高校で無償配布が行われています※2

まだまだ経過段階ではありますが、多くの人々が関心を持つことで、実際に大きなアクションにつながった好例といえます。

「正しい知識」を持つ

生理はライフサイクルにおいて、自然で健康的な現象のひとつです。

生理や女性ホルモンの仕組み、ライフサイクルや体の変化を学ぶことで、生理に対する正しい理解が深まります。
女性自身はもちろん、男性を含めたすべての人が「生理」について正しく学ぶことで、困りごとを共有し、他者を尊重する社会につながります。

生理や体の仕組みについては、〈Girl’s Lab〉内にも関連記事がありますので、あわせてご覧ください。

「恥とタブー視」をなくそう

生理にまつわる「恥やタブー視」を変えていくためには、フラットに話すことが効果的です。
学校、職場、家庭、友人間であなた自身が生理について自然に話題にすることで、「生理について話してもいいんだ」「隠さなくていいんだ」という空気が生まれます。

もっと気軽に取り組むなら、「生理の絵文字」を使うのもおすすめです。
プランの働きかけで2019年に「生理の絵文字」がiPhone(iOS)に搭載されました。

「生理について気軽に話せない」という人も多いと思いますが、言葉にしづらいときは、まずは絵文字から始めてみるのはどうでしょう。ぜひLINEやインスタなどで使ってみてください。

***

ご紹介してきたように「生理の貧困」は、単に経済的な問題だけでなく、知識の不足、偏見、タブー意識など、幅広い課題を含んでいます。
これらを解消することは、女の子がより生きやすい社会へと近づく一歩です。

国際NGOプラン・インターナショナルでは、途上国の活動地域での生理用品の提供、女の子の居場所作り、性教育の支援などを通して、女の子が生きやすい社会に向けたさまざまなアクションを行っています。

プロジェクトについてご興味ある方は、ぜひチェックしてみてください。

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画像:「女の子の衛生改善」プロジェクト(ラオス)

「女の子の衛生改善」プロジェクト(ラオス)

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