(2025年06月13日更新)
世界経済フォーラム(WEF)は2025年6月12日、各国の男女平等の達成度を数値化した「ジェンダー・ギャップ指数2025」
※を公表しました。日本は調査対象148カ国中118位と、前年と同順位ではあったものの、主要7カ国(G7)では最下位の状況が続いています。
報告書は、世界全体の格差縮小ペースのままでは完全な男女平等の実現まで123年を要すると試算しています。
日本の順位は118位 政治・経済での遅れが影響
日本の項目別順位を見ると、「政治参加」は女性閣僚の減少などが影響し、125位と前年(113位)から後退。「経済参加」は112位で前年より改善したものの、管理職や政府高官に占める女性比率の低さ、同一労働に対する賃金格差が依然として課題です。教育・健康分野の評価は高い一方、政治・経済での遅れが総合順位を押し下げています。
ジェンダー平等の実現にむけて 構造的な改革が不可欠
世界全体ではアイスランドが首位を維持し、フィンランド、ノルウェーが続くなど北欧諸国が上位を占めました。WEFは各国に対し、政治分野でのクオータ制導入や企業の意思決定層への女性登用拡大など、構造的な改革を通じた格差是正を呼びかけています。
アドボカシーグループリーダー 長島 美紀のコメント

世界中で、すべての人が、ジェンダー平等が達成された社会で暮らすまでに要する時間は123年。私たちの次の次の世代まで実現できないというのは、あまりにも遅すぎます。
残念ながら、日本の順位の変わらなさを見ると、その速度はもっと遅いかもしれません。
日本のスコアを詳細に見ると、「経済」「教育」「健康」「政治」の項目のなかで、前年に比べて、政治を除く3つがわずかながらスコアを上げました(経済:0.568/120位→0.613/112位、教育:0.993/72位→0.994/66位、健康:0.973/58位→0.973/50位)。しかし政治の分野は0.113/113位だった前年に比べて、0.065/125位と後退しています。
レポートによれば、指数の公表を開始した2006年以来、最も進展があった一方で、最もギャップが大きいのが、この政治参加の項目です。政治的な平等が達成するまでに要する時間は、昨年の169年から162年に短縮されましたが、今なお、女性が政治に参画するには多くの障壁が残されています。
その障壁のひとつが、立候補した・考えている女性、あるいは現職の女性議員への、有権者や同僚となる議員からのハラスメントです。
内閣府が2024年に実施した全国の地方議員を対象とした調査※では、女性議員の53.8%が性別に起因するハラスメント被害を受けたと回答
しています。具体的には、性別に対する侮辱的な言動、身体的接触・つきまとい、性的な言葉による嫌がらせなどが挙げられており、こうした被害は被害者の政治活動への意欲をそぐだけでなく、立候補自体を断念させる要因ともなり得ます。
一方で、同調査では41.0%が「ハラスメントを受けたことがなく、見聞きしたこともない」と回答しており、ハラスメントの実態が一部の議員には共有されていない、あるいは被害があってもそれが「ハラスメント」と認識されていない可能性が示唆されます。
特徴的なのは、ハラスメント行為として最も多く挙げられた「暴力的な言葉(ヤジを含む)」について、男性議員の方が女性議員よりも被害経験率が高いという結果も出ている点です。これは、攻撃的な言動や侮辱を “政治の常態”とするマッチョな文化が依然として政治の世界に根強く存在し、それが性別を問わず議員の活動環境を脅かしていることを示しています。
このようなジェンダー不均衡で暴力的な政治文化がハラスメントの温床となり、加害や黙認を許容する土壌を生み出していると言えます。結果として、女性だけでなく一部の男性議員もまた被害に遭い、政治の現場から排除されかねない現状が浮き彫りとなっています。
日本において女性の政治参加が低い背景には、政治分野におけるジェンダーギャップのほか、教育や経済エンパワーメントの問題が深く関わっています。
教育面では初等〜中等教育の識字率・就学率はほぼ平等(0.994/60位)、一方で高等教育への進学においてはわずかな差が残っており(男女比0.974/112位)。このことは「教育の機会はあるが、進学後の選択やキャリアを志す段階での障壁が依然存在する」ことを示唆しています。
経済面では、労働参加率(男女比0.778/81位)や賃金格差(0.603/93位)、さらに管理職に占める女性割合が14.8%に止まり127位と、職場における女性リーダー育成が著しく遅れていることが明らかです。
こうした教育・経済におけるジェンダー不均衡は、女性が公共分野や政治の舞台に進む前から意欲や機会そのものをそぐ構造的障壁となっています。そして、その結果として政治分野でも女性候補者は乏しく、政治参加も進まない、という悪循環に陥っているのです。
プラン・インターナショナルが2023年に行った調査では、日本の女の子や若年女性が政治参加に対して高い関心を持ちながらも、固定化されたジェンダー・ステレオタイプやハラスメント、年齢制限などの制度的障壁により、参画をためらう傾向が明らかになっています
※。加えて、「自分はリーダーキャラではない」という内面化された思い込みや、「女の子だから」という周囲からの期待により、進路選択やキャリア形成、さらには地域社会での発言や行動にもブレーキがかかってしまう現状があります。
こうした傾向を打破するためには、思春期から教育段階でリーダーシップ経験を積むことが極めて重要です。学校や地域の活動を通じて、女の子たちが自らの声を届け、意思決定に参加する経験を重ねることで、自己肯定感と自律的な意思決定力を育むことができます。そして何より、彼女たちが「誰かに選ばれる存在」ではなく、「自ら選び、動き出せる存在」であることを自覚できるような環境整備が求められています。
長島 美紀
アドボカシーグループリーダー。政治学博士。プランでは、女の子のリーダーシップに関する調査提言をはじめ、女の子や若い女性のエンパワーメント、ジェンダー課題に関する調査研究・政策提言を担当。2021年4月からは内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員、2023年からW20ジャパンデレゲート(2024年より共同代表)も務める。
プラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、今後も子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動を続けていきます。






