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【開催報告】オンライン開催「男性学の視点から考えるジェンダー平等~国際女性デー2021~」
イベント
(更新)
プラン・インターナショナルは、3月4日に「男性学の視点から考えるジェンダー平等~国際女性デー2021~」と題したオンライントークイベントを開催しました。
プランが実施するプロジェクトはすべて、ジェンダー平等の視点を取り入れており、男の子と男性の参画は不可欠です。3月8日の国際女性デーに寄せて、今回は男性を取り巻く状況と、男性にとってのジェンダー平等をテーマに選びました。
コロナ禍がもたらしたジェンダーへの影響
メインスピーカーには、教育社会学、ジェンダー学を専門とされる関西大学文学部教授の多賀太さんにご登場いただきました。トークは、新型コロナウイルス感染症により、急激な生活様式の変化を強いられた日本社会の話題から始まりました。
在宅勤務の広がりは、男性に仕事中心の生き方を問い直すきっかけとなり、家庭のなかで育児・家事への参加が増えた、という良い面もありました。一方で、在宅しているといつも以上に家事労働を期待されて、家庭内に不協和音が生じたことや、男性のストレスは弱い立場にある女の子や女性へむかい、配偶者からの暴力の相談件数が増加したことなどが紹介されました。
多賀太さん(左)とモデレーターの長島美紀職員
誰もが「ジェンダーに基づく暴力」の当事者
性差別に基づく暴力を「ジェンダーに基づく暴力」といいます。これには女性への暴力のみならず、性的マイノリティや、男性が男らしさを満たしていないがために受ける暴力なども含まれます。また、たとえ自分が暴力を振るっていないとしても、傍観していたならそれは加害に加担をしているのと同じことであり、だれもが当事者であることを認識すべきと伝えられました。
暴力をなくすために男性が主体的に取り組めること
多賀太さんが共同代表を務める『ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン』では、独自の「フェアメン」3カ条を作成し、暴力を許さない行動の訴え、イベント・シンポジウムでの啓発などに取り組んでいます。
そのなかで、ジェンダーに基づく暴力(以下GBV)をなくすために男性ができることとして、5点が共有されました。
- GBVについて学び、周りに伝える
- 自分の人権が暴力によって侵害されていないか敏感になる
- 決して暴力を振るわない
- 被害者を守り、支える
- 被害者支援や予防啓発の基盤を支える
育った環境や無意識のうちに刷り込まれてきた「男らしさ」に囚われ、気がつかないうちに自分が暴力の加害者側に回ってしまうこともある、という事例などが具体的に紹介されました。
プランからは、プロジェクトを実施している活動国において、男らしさを問い直し、見つめ直し、ジェンダー平等に取り組む男の子たちを「Agent of change」(変革をする人)と呼び育成していること、聞き手の長島職員が調査してきたFGM(女性性器切除)を撲滅するプロジェクトを事例に、男性たちが家族や身の回りの女性たちを守るための行動を起こしている事例が紹介されました。
Agent of change(変革をする人)
日本社会で話題になった言葉
2021年初から、日本社会で話題になった言葉についても話は及びました。「男だろ、がんばれ」という励ましの言葉は、男性たちにとってがんばりの効く「マジックワード」。しかし、その意識の下には「男だから泣くな」「男だからがんばれ」という刷り込みがあり、裏返せば、泣くのは女性で負けられない、という、女性を下に見ている意識が潜んでいると指摘されました。今一度言葉のそこにある意識を振り返り、考えてみることの大切さが説明されました。
一部の支配的男性が作ってきた社会
日本は長年「男らしさ」に拠って立ち、年長の男性が権力を振るう男性優位、支配的な社会で成り立ってきました。一部の支配的男性が男性中心の社会・組織を維持するために作られてきたジェンダー不平等な社会では、一部の権力者により、男性であっても若さや立場の弱さによりわきまえさせられ、物を言えずにきました。女性との違いは、男性はわきまえていれば上にあがれるわずかな望みがあったこと。男性もまた女性と一緒に異議を唱え、声をあげることが重要であることが伝えられました。
ジェンダー平等は女性だけのものではない
最後に、視聴者へのメッセージとして、ジェンダー平等に男性が関わる利点として、2点があげられました。
- 男性たちが、育児責任を女性に押し付けがちであった社会を省みて、家庭の責任を負うこと、暴力を振るわず、暴力反対の声を上げることに当事者としてかかわることで、女性たちの人権と安全安心を守ることができる。
- これまでのジェンダー不平等な社会は、男性にも多くのプレッシャーを与え続けてきた。ジェンダー平等は男性から利益を奪うものではなく、男性に多様な人生と生活の選択肢と、人間らしい生活を保障するものである。
ジェンダー平等に男性も当事者として、できることから取り組んでは、とメッセージが伝えられました。
イベントには定員を超える多くの方にお申込みをいただき、ご参加をいただきました。ご参加くださいました皆さま、誠にありがとうございます。多くのご質問が寄せられましたが、すべてにお答えできずお詫び申しあげます。
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