(2025年04月21日更新)
トーゴでは、障害があることを恥と考える文化が根強く残っており、障害のある子どもは家庭内に隠されたり、地域でいじめの対象となったりしがちです。また、学校の設備は十分に整っておらず、障害のある子どもたちへの教授法も導入されていないため、障害のある子どもの多くは教育を受ける機会を奪われています。
プラン・インターナショナルは、2022年3月から中央州モー県およびカーラ州バサール県で多様性を尊重する「インクルーシブ教育※」を普及させ、障害のある子どもたちが社会に居場所を得て、質の高い教育を受けられるよう活動をしてきました。今回は、障害のある子どもを支えてきたボランティアや、学校に通えるようになった障害のある子どものケースストーリーを紹介します。
- ※インクルーシブ教育:障害の有無や貧富の差、都市や農村といった居住地による区別なく、すべての子どもたちが分け隔てなく学べる教育のこと
- ※このプロジェクトは、外務省(NGO連携無償資金協力)の支援のもと実施しております。日本人職員が現地に赴任し事業統括を行っています
障害のある子どもの人生を変えてきた地域ボランティアの力
このプロジェクトでは、インクルーシブ教育を推進し、障害のある子どもをサポートしていきたいと強く願う住民のなかから「障害支援ボランティア」を選定し、トレーニングしてきました。
障害支援ボランティアは、障害のある子どもの家庭を訪問し、障害のある子どものリハビリや就学支援など、さまざまなサポートを提供。また、障害のある子どもへの差別や偏見をもつ住民たちと粘り強く対話を重ね、人々の意識や行動を変えてきたのです。
障害支援ボランティアの努力があってこそ、地域で障害のある子どもをサポートする体制が構築され、多くの障害のある子どもの人生を変えることができました。
ザリアさんも、熱心に活動に参加してきたボランティアの1人です。3年間の活動を通じて、彼女が感じた成果を語ってくれました。
アダモ・ザリアさん(障害支援ボランティア)
かつては、障害のある人は存在を無視され、いないものとして扱われていました。家のなかに隠され、家族と一緒に食事をすることもできませんでした。今では違います。障害のある子どもの教育が重要であることが広く知られ、子どもたちは学校に通えるようになりました。私たち障害支援ボランティアは、このプロジェクトが終わっても、障害のある子どもたちを支援する活動を続けていくつもりです。
補助器具の支援を受け、友だちと元気に学校に通えるように
ジュリエンさんが通った幼稚園への道
ジュリエンさんは、3歳の時に転倒し、右足の骨を折ってしまいました。病院に行くお金のない家族は、伝統治療師のもとへ。しかし、適切な治療を受けることができなかったため、骨折した足は曲がったまま固まり、歩けなくなってしまいました。足を動かせないジュリエンさんは、毎日這って、大好きな幼稚園に通い続けたと言います。暑い日は高温になり、雨の日は泥だらけになる道を通って。それほど幼稚園に行きたいという気持ちが強かったのです。
ジュリエンさん(7歳、小学2年生)
そんなジュリエンさんに転機が訪れたのは、2年半前。このプロジェクトで補助器具を支給され、自分の足で再び歩けるようになったのです。痛みをともなうリハビリに通常2週間は必要なところ、1週間で歩けるようになったのは、「歩きたい」という彼女の強い意志の表れです。今では、友だちと一緒に、歩いて学校に通えるようになりました。
プロジェクト担当者の声
船越職員 プログラム部
プロジェクトを開始した2022年3月に出張して以来、約3年振りにトーゴを訪れました。地方都市に3年間駐在した武田職員がすっかり現地に馴染んでいるのは予想どおりでしたが(日本人が数人しか住んでいないトーゴで頼もしい!)、対象校における変化の大きさは3年前の予想をはるかに超えていました。
トーゴに3年間駐在した武田職員(右)。障害支援ボランティアとともに
今にも崩れそうな教室で子どもたちが学んでいた小学校には、新たに6教室(3教室×2棟)が完成していました。聞くと、プランが3教室の建設をしたことで、政府も追加で教室支援を決めたのだと言います。児童数も、約400人から約600人に大幅に増えました。障害のある子どもは3人から12人に増え、『障害のある子どもたちのおかげで新しい教室ができたとみんな知っているから、仲良く過ごしているよ』とのこと。
以前使われていた教室(2022年3月撮影)
新しい教室で学ぶ子どもたち
この学校では、成績が振るわなかった視覚障害のある女の子が点字を学び、卒業時に学年3位の成績を修めて中学校に進学したそうです。これは、この地域では画期的な出来事です。障害のある子どもたちにとって、プランの支援が、人生を変える大きな変化につながっていることを示す一例だと思います。こうした変化の積み重ねは、支援者の皆さまのお力添えなしには実現できませんでした。改めまして、心よりお礼申し上げます。
トーゴの子どもたちと船越職員(右)
このプロジェクトには、障害支援ボランティアをはじめ、子どもクラブや父親・母親クラブメンバーなど、多くの住民が参加してきました。こうした人々が中心となり、他の住民に働きかけ、障害のある子どもを支えてきました。彼ら・彼女らの存在なしでは、インクルーシブ教育を推進することはできませんでした。改めて、地域に根差し、社会を変えていく住民の力を実感したプロジェクトです。
今後も、地域住民が中心となり、障害のある子どもを支え続けていくことが期待されます。






