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包括的性教育で広がる理解と支え合い~ベトナム「早すぎる結婚の防止」プロジェクト~

(2026年06月30日更新)

写真:早すぎる結婚の防止」プロジェクト(ベトナム)

クラブ活動で発言する女の子

ベトナム北部で実施している「早すぎる結婚の防止」プロジェクトでは、包括的性教育や生徒クラブ活動を通じて、子どもたちが思春期の心と身体、自分と相手を尊重することについて学んでいます。今回は、活動を通じて少しずつ自信をつけ、男女がお互いを理解し支え合えるようになっていく、子どもたちの変化のストーリーをご紹介します。

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ベトナム北部の子どもたちが抱える課題

「以前は、男の子と性教育について話すことなんてありませんでした」

そう話すのは、ベトナム北部に暮らす少数民族の女の子です。

ベトナム北部の山岳地帯に多く暮らすモン族のコミュニティでは、早すぎる結婚をする子どもの割合が国内で最も高く、51.5%が18歳未満で結婚しています※1。また、トゥエンクアン省とライチャウ省では、18歳未満で出産する女性の数が全国平均の2.5倍となっています。さらに、ベトナムは世界でも中絶率が高い国の一つとされています※2

写真:子どもたち主体で学ぶ包括的性教育

子どもたち主体で学ぶ包括的性教育

プラン・インターナショナルは、トゥエンクアン省とライチャウ省の小学校13校、中学校13校で、包括的性教育の授業や生徒クラブの活動のほか、安心して通学できるよう寄宿舎建設などを支援しています。子どもたちは、思春期の心と身体の変化や健康について学びながら、自分自身と他者を尊重する力を育んでいます。

  • ※1.CEMA, UNW, Irish Aid: Policy Brief on Gender Issues of Ethnic Minority Groups in Vietnam, 2021
  • ※2. World Population Review, Abortion Rates by Country 2026

「困ったときは助けたい」―互いに支え合う力

15歳のハさんと14歳のリンさんは、生徒クラブのメンバーです。包括的性教育の授業や生徒クラブのイベントを通じて、思春期の身体の変化や月経衛生管理、妊娠の仕組み、性感染症、オンライン上の性的ハラスメントなどについて学んできました。二人が学んだことは、知識だけにとどまりません。

写真:活動を振り返るハさん

活動を振り返るハさん

「以前は恥ずかしくて、こうした話題について男の子とは話せませんでした。でも今は、自然に話せるようになりました」

また、月経について正しく理解したことで、自分自身だけでなく、周りの友だちを支えたいという意識も生まれました。

「もし友だちが学校で急に月経になって困っていたら、積極的に助けたいです」

写真:インタビューに答えるリンさん

インタビューに答えるリンさん

二人は今後の活動への期待も語ってくれました。

「これまで月経衛生について動画で学んできましたが、先生が実際の生理用品を使って教えてくれると、とてもわかりやすいし、もっと多くの写真や教材を使って学びたいです。親も参加する学校全体での生徒クラブイベントは特に楽しく、もっと多くの人に参加してほしいです」

包括的性教育と生徒クラブの活動を通じて、ハさんとリンさんは知識だけでなく、自信や仲間を思いやる気持ちを育んでいます。以前は話せなかった男の子たちとも対話し、困ったときには支え合う。そんな小さな変化が、子どもたちのより良い未来につながっていきます。

「男の子だから泣かない?」―固定観念を超えて

14歳の男の子、ロンさんは、生徒クラブのメンバーとして活動しています。包括的性教育の授業やイベントを通じて、思春期の身体や心の変化、性感染症、望まない妊娠の予防などについて学んできました。授業では、思春期に起こる身体の変化だけでなく、人との関わり方や自分自身を大切にすることについても学びました。特に印象に残っているのは、男女がお互いを理解し、尊重することの大切さです。

写真:ジェンダーに関する意識が変わったロンさん

ジェンダーに関する意識が変わったロンさん

「授業を受ける前は、こうした話を女の子とすることはありませんでした。でも今は、思春期や健康について話せるようになりました」

学んだことは、日常生活にも変化をもたらしています。ロンさんは、以前よりも衛生管理に気を配るようになり、シャワーを浴びるだけでなく、身体のケアをより丁寧に行うようになりました。

また、子どもの結婚や妊娠についても考えるようになりました。同級生のなかには、早すぎる妊娠をきっかけに結婚し、学校を辞めざるを得なくなった女の子もいます。その経験から、子どもたちが学び続ける機会を失うことの大きさを実感したと話してくれました。

さらにロンさんは、家族や地域に残るジェンダーに関する固定観念にも目を向けるようになりました。

「両親は『男の子は強くなければならない、泣いてはいけない。(姉に対しては)女の子なんだから、家事を手伝って』と言うことがあります」

しかしロンさん自身は、男女に違いはあっても、それが役割を決めつけてよい理由にはならないと考えています。家事は女の子だけの仕事ではないと感じ、積極的に家の手伝いもしています。

また、オンライン上で女の子が性的ハラスメントの被害に遭いやすいことについても学びました。もし性暴力や早すぎる結婚に関する問題を知った場合は、教師に相談すると話してくれました。

包括的性教育と生徒クラブの活動を通じて、ロンさんは、男女の違いを超えて対話し、固定観念にとらわれず、自分にできる行動とは何かを考える力を育んでいます。そうした変化は、誰もが尊重される関係づくりへとつながっています。

男女が支え合える関係へ

早すぎる結婚や望まない妊娠は、女の子だけの問題ではありません。その背景には、男の子も含めた思春期の子どもたちが十分な知識を得る機会が限られていることや、相談できる相手がいないこと、男女の間で対話する機会が少ないことがあります。

子どもたちに話を聞くと、「以前は男の子とこうした話はできなかった」「女の子と話すことはなかった」といった声が多く聞かれました。一方で、包括的性教育や生徒クラブの活動を通じて、今では男女がお互いの悩みや身体の変化について話せるようになり、「困っている友だちがいたら助けたい」と語る子どもたちが増えています。

思春期は、心も身体も大きく揺れ動く時期です。だからこそ、子どもたちが一人で悩みを抱え込まず、友だちや教師に安心して相談できる環境を整えることが将来の選択肢を守ることにつながります。プロジェクトは開始して1年間が経ったばかりですが、教師と保護者、子どもたちの熱意に支えられ、確かな変化が生まれています。こうした変化をさらに広げていくために、引き続き皆さまのご理解とご支援をお願いいたします。

活動の様子をスライドショーでもご覧ください。

  • 写真:1つのベッドを3~4人で共有せざるを得ない旧寄宿舎
    1つのベッドを3~4人で共有せざるを得ない旧寄宿舎
  • 写真:1つのベッドを2人で使える新寄宿舎
    1つのベッドを2人で使える新寄宿舎
  • 写真:完成した小学校寄宿舎外観
    完成した小学校寄宿舎外観
  • 写真:生徒クラブのイベントで発表する男の子
    生徒クラブのイベントで発表する男の子
  • 写真:包括的性教育の啓発活動に参加する母親
    包括的性教育の啓発活動に参加する母親
  • 写真:小学校寄宿舎落成式に参加する保護者たち
    小学校寄宿舎落成式に参加する保護者たち
  • 写真:対象校の寄宿舎で生活する女の子たちと駐在の水上職員(左)
    対象校の寄宿舎で生活する女の子たちと駐在の水上職員(左)
  • 写真:1つのベッドを3~4人で共有せざるを得ない旧寄宿舎
  • 写真:1つのベッドを2人で使える新寄宿舎
  • 写真:完成した小学校寄宿舎外観
  • 写真:生徒クラブのイベントで発表する男の子
  • 写真:包括的性教育の啓発活動に参加する母親
  • 写真: 小学校寄宿舎落成式に参加する保護者たち
  • 写真:対象校の寄宿舎で生活する女の子たちと駐在の水上職員(左)

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