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世界が抱える教育問題の現状|原因や途上国の子どもたちへの支援の例

(2024年05月29日更新)

学校教育は、学力を育むだけでなく、社会性・人間性を伸ばす場としても、子どもが成長する過程で重要な役割を果たします。
国連子どもの権利条約においても、すべての子どもは、あらゆる差別なく公平に教育を受ける権利があることが明記されています。しかしながら、国内外には、教育に関連する問題が常に山積しています。
世界の課題が複雑化するなか、深刻化している教育問題について解説します。

写真:子どもたちが教育を受けられるよう支援(インド)

子どもたちが教育を受けられるよう支援(インド)

世界で起こっている教育問題の現状

日本においても、いじめ、不登校、偏差値教育、学力の低下、家庭の貧困による教育格差など、教育に関する多くの問題が指摘されていますが、海外に目を向けると、日本とは異なる課題が、子どもたちを学校から遠ざけていることが見えてきます。

近年、世界全体の就学率は改善傾向にあるものの、アフリカや南アジアでの立ち遅れが目立ち、最近では学校に通えていても、質の高い教育を受けることができない「学びの危機」が問題となっています。

学校に通えていない子どもがいる

就学年齢に達しても小学校に通えていない子どもは、現在世界中に6700万人います。その多くは、途上国に集中しています。サブサハラ・アフリカの就学率を例にとると、男子81%、女子77%と、5人に1人以上が就学していません
日本の初等教育就学率は、男女とも100%であることから見ても、この数値は深刻であることが分かります。また、就学率が低い地域では、例え小学校に入学できたとしても、卒業まで通い続けることができずに中途退学してしまう子どもの数が多くなっています。

写真:給食支援が就学率向上の後押しに(ケニア)

給食支援が就学率向上の後押しに(ケニア)

ユニセフの調査によると、2021年時点で、2億4400万人の子どもたち(6歳~17歳)が学校に通えておらず、学校の終了率には地域によって差があることが分かっています。ヨーロッパ・中央アジアでは初等教育の終了率が99%である一方で、後発開発途上国では58%と、これらの国の子どもたちは、基本的な読み書きや計算すら学べない状況にあります。

    【出典】
  1. 「ユニセフの主な活動分野|教育」(UNICEF)
  2. 「世界子供白書2023」(UNICEF)

ジェンダーによる教育格差が起きている

「男は/女はこうあるべき」というジェンダーに基づいた偏見は、多くの不平等を生み出していますが、最も顕著な例が、男女間に見られる教育格差です。世界には、女の子という理由だけで学校に通えない子どもが大勢います
女の子は、幼いうちから、炊事や洗濯、育児や病人の介護といった無償ケア労働に従事させられる場合が多く、貧しい家庭では食い扶持を減らすために早くに結婚させられるケースも多く見られます。性別によって受けられる教育に違いが生まれ、貧しい家庭ほど女の子に教育を受けさせる優先順位が低くなってしまっているのです。

写真:家事をする13歳の女の子(ラオス)

家事をする13歳の女の子(ラオス)

教育環境が整っていない

世界には、教師不足や教材不足、学校施設の劣化などにより授業を行う環境が整っていない学校が多数あります。とりわけ、コロナ禍においては、インターネット環境が整っていない国々ではオンライン授業を行うことも困難で、学校が休校となり自宅待機を強いられた児童生徒がそのまま教育をあきらめるケースが多数起こりました。
また、整備されないままの危険な通学路、不衛生で男女別に分かれていないトイレなどもあわさり、学校は子どもたちが安心して学習できる場所とは言えない状況です。特に、教師を育成する仕組みが不十分で有資格の教師が不足していること、また、給与が低い、あるいは、給料を支払えないなどの理由で質の高い教育を提供できる人材の確保が難しいことが問題点としてあげられています。
持続可能な開発目標(SDGs)の目標4で謳われている「質の高い教育をみんなに」の達成には程遠い状況です。

写真:校舎建設(ウガンダ)

完成した新校舎(ウガンダ)

すべての子どもたちが教育を受けられるように

あなたにできる支援

教育問題が起きる原因

ひと口に教育問題と言っても、その原因や背景はさまざまです。

ここでは、今なお子どもたちの多くが教育を受けられない理由について、4つの観点から解説します。

貧困

貧困に苦しむ家庭では、生活をしていくためのお金すら十分に手に入れることができないため、子どもに教育を受けさせられない場合があります。家計を助けるために、子どもでも農業や畜産業などの家の仕事を手伝ったり、外に働きに出たりしなければならず、学校に通って勉強をするのは二の次となってしまいます。

写真:空腹で授業に集中できない子どもたちに給食を支給(シエラレオネ)

空腹で授業に集中できない子どもたちに給食を支給(シエラレオネ)

社会・文化・宗教的な背景

世界では、まだ多くの社会で偏った固定観念や男性優位の慣習、「女性に勉強は不要」といった思い込みが残っており、教育格差が起きています。社会で構築されたルールや習慣は、女の子を教育から遠ざけ、未来への可能性を閉ざしてしまうだけでなく、望まない結婚や妊娠などの問題にもつながり、女の子に精神的・身体的なダメージを与えることがあります。

写真:プランが支援する学習センターで学ぶ、15歳で結婚し母親となった女の子(バングラデシュ)

プランが支援する学習センターで学ぶ、15歳で結婚し母親となった女の子(バングラデシュ)

国の教育予算

国によっては、教育への公的支出の分配に格差があり、十分な教育予算を確保できないことで、学校の環境や教師の質などに影響が及ぶ場合があります。資金が限定的であったり不公平に分配されたりすると、1クラスあたりの生徒数が増え、教材や書籍が不足し、学校のインフラ設備が不十分になります。また、教師への研修機会も限られてしまうため、適切な指導を行うことが難しくなります。このことが教育の質の低下を招き、就学率や出席率、修了率など学習全般に悪影響を及ぼします。

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戦争や紛争

長期にわたる紛争、新たに勃発している戦争の影響により、家を破壊され住んでいた土地を追われた多くの難民の子どもたちが、学ぶ機会を奪われています。子どもたちは、生活基盤が安定していないと、安心して勉強することができず、心の安定を失ってしまいます。学齢期の難民の子どもの約半数は学校に通えておらず、児童労働、児童婚、武装集団への徴用といったリスクに直面する可能性が高まっています

写真:紛争のため故郷を追われ学校に通えなくなってしまった子どもたち(スーダン)

紛争のため故郷を追われ学校に通えなくなってしまった子どもたち(スーダン)

教育問題を解決しないとどうなる?

学校に通えないことで、人格形成や成長に欠かせない機会や学ぶ意欲を奪われてしまった子どもたちは、希望する進学先を諦めたり、低収入の職業に就かざるを得なかったりと、人生の選択肢が圧倒的に狭まってしまいます。

とりわけ、途上国においては、文字の読み書きや計算など最低限の教育が受けられないことは、命の危険と隣り合わせの状態と言えます。

危険にさらされたり騙されたりする

読み書きができないということは、本を読むことも、文字を書くこともできません。それだけではなく、薬の説明や「地雷」「危険」といった注意書きが読めずに正しい判断ができず危険な状況に陥ることがあります。
また、子どもに必要な予防接種の情報など、生きていくために必要となる正確な情報や知識を得ることができないため、生涯にわたり不利益を被ることになります。

安定した仕事に就きにくくなる

教育を受けていない場合、読み書きや計算のほか、将来に役立つ知識や、コミュニケーション能力も身につきにくくなります。その結果、仕事を選べず、不安定な雇用を繰り返すなど、搾取される可能性が高まります

貧困の連鎖につながる

お金がなく教育の重要性を理解していない親は、子どもを学校に通わせずに労働力として使うようになります。教育を受けていない子どもは、親と同じように、教育が重要であることを知らずに育ち、知識や技術を得ることができないまま大人になり、不安定で低賃金の仕事に就くことになります。このようにして貧困は世代間で連鎖し、固定化してしまうのです。

すべての子どもたちが教育を受けられるように

あなたにできる支援

プラン・インターナショナルの教育問題への取り組み

プラン・インターナショナルは、すべての子どもや女の子たちが、充実した豊かな人生を歩むための一番のカギは教育であると信じ、世界の国々でさまざまな教育支援を展開しています。少しでも状況を改善するために、私たち一人ひとりにできることはあるのでしょうか?
世界の現状に目をむけたり、子どもたちの教育を支援する団体に寄付したりするなど、あなたのお気持ちに合ったアクションを起こすことが、教育問題の解決にもつながっていきます。

皆さまからのご寄付でプラン・インターナショナルが実施している教育支援活動をご紹介します。

遠隔教育プロジェクト(ガーナ)

首都から遠く離れた北部の農村地域では、多くの子どもたちが、経済的な事情により学校を中途退学しています。プランは5年間で8歳から16歳の約9万人の子どもたちが学び続けるために、地域を拠点とした非公式学校を運営したほか、公教育に戻れるように奨学金を支給しました。

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ジェンダー平等推進のための教育プロジェクト(ネパール)

ネパールのマデシ州は女性の識字率は47.7%に留まり(男性は74.0%)※1、早すぎる結婚(児童婚)や結婚持参金(ダウリー)の問題も顕著です。対象地域の子どもたちは年齢に応じた学年に通うことが全国と比べて少なく、教育を受ける女の子の割合は男の子より低い傾向にあります※2。小中学校の多くは女子トイレがないなど学習環境が劣悪で、中途退学や留年の多さも課題です。

  1. ※1CBS (2020). Nepal Multiple Indicator Cluster Survey 2019, survey findings report.
  2. ※2MoEST (2020). Nepal: Flash I Report 2076 (2019-2020).

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このプロジェクトでは、幼稚園併設の小中学校24校を対象に、女の子や障害のある子どもに配慮した教室や衛生設備の建設・修繕を行い、ジェンダーや障害に関する教師の能力強化に取り組みます。また、若者クラブによる啓発活動を通して、ジェンダー平等や子どもの保護に関する知識を普及します。プロジェクトは2026年3月まで実施予定です。

教育問題の解決にむけ、声をあげ改革への一歩を踏み出そう

昨今、日本においては、生徒が声をあげたことで、理不尽な校則が撤廃されたり、制服着用の義務化が解かれたりするなど、子どもたちが意見を発し自らの手で学校をよりよい場所にしようとする動きが高まっています。

子どもたちには、どの国に生まれようとも安心・安全な環境で教育を受ける権利があります。子どもの好奇心を刺激し学ぶ意欲を高める教育を世界中に広げるためには、各国政府や市民社会が連携して対策を練ることが求められています。平和の礎となる教育の灯を絶やさないために、皆が力を合わせて取り組む必要があるのです。

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写真:プラン・スポンサーシップ

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毎月3000円、4000円、5000円

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運営団体

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

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