- 国際NGOプラン・インターナショナル 寄付・募金で世界の女の子を支援
- 活動をみる
- 活動レポート
- 【経過報告】教育が若者の人生を変える~ロヒンギャの子どもの保護と教育プロジェクト~
【経過報告】教育が若者の人生を変える~ロヒンギャの子どもの保護と教育プロジェクト~
グローバル・プロジェクト
バングラデシュ
ミャンマー
(更新)
ミャンマー南西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族のロヒンギャは、国籍を奪われ、長年さまざまな権利を制限された生活を送ってきました。さらに、2017年8月に起きた暴動と軍の掃討作戦により、多くのロヒンギャの人々が土地を追われ、隣国のバングラデシュに逃れました。この世界最大規模の人道危機が発生してから間もなく4年が過ぎようとしていますが、バングラデシュ南部コックスバザール県内の難民キャンプでは、今も88万人以上のロヒンギャの人々が、バングラデシュ政府や国際社会の支援に頼って生活しています。
難民キャンプ内に広がる光景
2021年2月に発生したミャンマーでのクーデターは、ロヒンギャ難民のミャンマーへの帰還可能性をより不確実なものとしました。キャンプの外に出ることも許されず、キャンプ内でひたすら時が経つことを待つロヒンギャの若者たちは、どのような未来を心に描いているのでしょうか。
プランの活動に参加して読み書きを習得し、未来にむけて一歩を踏み出した、ジャナタラさんのストーリーをご紹介します。
故郷の村を逃れ難民キャンプに
23歳のジャナタラさんは、住んでいた村に火を放たれ、家族とバングラデシュに逃れてきました。現在は、夫と2人の子どもとともに難民キャンプ内で生活しています。避難してきた当初は、文字を読むことも数を数えることもできなかったジャナタラさん。ミャンマー国内では教育機会が限られている多くのロヒンギャの子どもや若者たちと同様に、彼女もこれまで学校に通うことができなかったためです。
プランの若者向け識字教育に参加
そんなジャナタラさんに転機が訪れます。プランの若者向け識字教育プログラムに参加することになったのです※。プランのプログラムの特徴は、キャンプ内のコミュニティで教師たちを育成し、教師の家の空きスペースを、学習センターとして活用するという点です。不慣れな土地で、遠く離れた学校に通う必要がないため、女の子でも安心して、読み書きや計算などの学習を継続することができます。
ジャナタラさん
学習センターに通う若者の男女比は半々で、ジャナタラさんのように結婚している人、子どもの世話をしながらセンターに通う人など、さまざまな事情を抱える若者が集まっています。これまでに、1900人以上の若者たちが学習センターに通い、識字や計算能力を身につけています。
- ※プラン・インターナショナルは2017年9月にロヒンギャ難民キャンプでの支援を開始。2018年には、ジャパン・プラットフォームと協力して、子どもたちが安全に学習を継続できるよう教育支援を始めました。さらに2019年からは、15~24歳の若者への識字教育にも取り組んでいます。
身につけた能力と自信が新たな挑戦を後押し
読み書きを学び始めてしばらくした後、ジャナタラさんは、「プランが他の教育プロジェクトのために有償ボランティアを募っている」というニュースを耳にしました。難民キャンプ内においてこのような機会は限られています。ジャナタラさんはすぐに応募することを決意。無事採用され、コミュニティの子どもたちの教育支援を手伝うことが決まりました。
ジャナタラさんはこれまでの経験を振り返り、次のように話します。
識字クラスで授業を手伝うジャナタラさん(左から2人目)
「プランの活動に参加して読み書きを学んだことで、私の人生は大きく変わりました。家計にも貢献できるようになり、家族の一員としてとても嬉しいです。夫も私が読み書きを学んでいることを喜んでいます。今では自信をもって、自分で決断したり、意見を言ったりすることもできるようになりました」
教育機会から取り残されている若者への支援が必要
難民キャンプ内の教育環境は、キャンプが開設された頃に比べると大幅に改善されてきています。しかしながら、現在行われている教育支援の多くは14歳以下の子どもたちに集中し、15~24歳の若者たちは取り残されている状況が続いています。そのなかで、プランは難民の若者向けに識字教育を行う数少ない団体の一つです。
難民キャンプ内で学ぶ若者たち
キャンプ内には一度も教育を受ける機会のなかった若者がまだ大勢いるため、今後も若者を対象とした教育支援に取り組んでいきます。皆さまの引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。
関連リンク