本文へ移動

教育CSRの参考になる企業連携事例5選、女の子の学びを支える支援の始め方

(2026年06月30日更新)

企業にとってCSR(企業の社会的責任)は、社会課題への対応とブランド価値の向上を両立する重要な経営テーマです。なかでも「教育 CSR」は、学びの機会を広げることで将来の社会基盤づくりに貢献できる分野として注目されています。

この記事では、教育分野における企業連携事例をもとに、特に女の子支援の重要性や具体的な取り組み内容、実施までの進め方を解説します。これから教育CSRを検討する企業の担当者にとって、実践のヒントとなる情報を紹介します。

楽しみながら学ぶ子どもたち(ウガンダ)

  • 教育CSRが、社会課題の解決と企業価値向上を両立できる取り組みであること
  • 女の子の教育支援が、将来の社会や人材育成につながる重要テーマである点
  • 教育CSRを「目的整理→テーマ設定→外部連携」で進める基本ステップ

教育CSRとは

CSRとは「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」の略であり、企業が事業活動を通じて社会に与える影響に責任を持ち、課題解決にも向き合う考え方です。
教育CSRは、そのなかでも教育分野に特化した取り組みを指します。子どもや生徒、学生の学びや成長を支える活動が中心であり、教育現場との接点を通じた社会貢献活動として広がっています。

インタラクティブなデジタル技術で学ぶ(ネパール)

インタラクティブなデジタル技術で学ぶ(ネパール)

【企業による教育CSRの具体例】

  • 学校への出前授業・講師派遣
  • 教材や副読本、オンラインコンテンツなどの開発・提供
  • 会社見学や工場見学、職場体験・インターンシップの受け入れ
  • 奨学金や寄付による学生や研究への金銭的支援
  • 防災イベントやワークショップ、体験プログラムの開催

企業が教育CSRに取り組む理由

教育CSRは、社会課題への対応と企業価値の向上を両立しやすい取り組みです。学びの機会を支えることは、将来の選択肢や地域社会の基盤づくりにもつながります。そのため、企業の姿勢を社内外に伝えやすく、共感形成にもつながりやすい点が特徴です。

【企業が教育CSRに取り組む主な意義】

  • 中長期的な企業イメージ・ブランド価値の向上
  • 社員参加を通じた社内の理解促進やエンゲージメント向上
  • 自社の強みを活かした形で社会との接点を持ちやすい
  • 寄付や連携を通じて、教育分野の課題解決に継続的に関わりやすい

女の子の教育支援は教育CSRの主要テーマ

女の子の教育支援は、教育CSRのなかでも重要性が高いテーマです。世界では今も多くの女の子が学校に通えなかったり、通えても学び続けにくかったりする状況があります。一方で、女の子が学び続けられる環境を整えることは、本人の将来だけでなく、地域社会や企業の未来にもつながります。教育の機会を支えることは、個人への支援にとどまらず、社会全体の持続可能性を高める取り組みでもあります。

難民キャンプで学び続ける女の子(チャド)

難民キャンプで学び続ける女の子(チャド)

世界には学校に通えない女の子が今も多い

UNESCO(国連教育科学文化機関、ユネスコ)によると、世界では今も1億2,200万人の女の子が学校に通えていません。初等・中等教育の不就学児童の半数以上がアフリカに集中しており、地域によっては女の子の就学格差が依然として大きい状況です。
教育CSRを検討する際には、学校があるかどうかだけでなく、経済状況、地域慣習、インフラ不足、紛争など、学びを阻む複数の要因を理解することが重要です。表面的な支援ではなく、学び続けられる環境を整える視点が求められます。

写真

学校に通えても、学び続けるうえで複数の壁がある

女の子の教育課題は、入学できるかどうかだけではありません。UNICEF(国連児童基金、ユニセフ)とWHO(世界保健機関)が公表した学校の衛生環境データでは、女子トイレに月経用ごみ箱がある学校は31%にとどまり、サハラ以南のアフリカでは11%まで下がります。月経に関する教育を行っている学校も世界で39%にとどまっています。

清潔なトイレや正しい知識がないことは、出席や学びの継続に影響します。さらに、紛争や暴力の影響を受ける地域では、女の子は男の子より2.5倍不就学になりやすいとされます。早すぎる結婚(児童婚)の割合が高い地域では、児童婚や若年妊娠が学びを止める要因になることもあります。

新設した女子トイレ(バングラデシュ)

新設した女子トイレ(バングラデシュ)

このように、学校へ通う入口だけでなく、安心して通い続けられる条件まで含めて考える必要があります。教育CSRでも、校舎や教材の提供だけでなく、衛生環境や安全性、ジェンダー理解まで視野に入れた支援が重要です。

女の子の教育支援は、将来の担い手を育てることにつながる

女の子が学び続けられる環境を整えることは、本人の将来の選択肢を広げるだけでなく、地域社会や経済を支える人を育てることにもつながります。多様な学びの機会が確保されることで、将来的にさまざまな分野で活躍できる人材の裾野も広がります。
企業にとっても、教育支援は社会課題への対応にとどまりません。将来の担い手を育てる視点を持つことで、長期的には社会全体の基盤強化や持続的な成長にもつながる取り組みとして位置づけられます。

教育CSRや女の子支援の参考になる企業事例5選

教育CSRや女の子支援は、寄付、商品連動、社員参加型プログラムなど、さまざまな形で実践されています。ここでは、継続性やテーマ設定の観点から参考になる企業事例を5つ紹介します。

事例①森永製菓株式会社

森永製菓は、2008年から「1チョコ for 1スマイル」を継続しています。対象商品の売上の一部を、カカオ生産国の子どもたちの支援に活用しており、寄付金は教育環境の改善などに使われています。これまでにカメルーン、ガーナ、インドネシア、フィリピン、グアテマラ、エクアドルなどにおいて、小学校の教室や井戸、男女別トイレの整備、教育や衛生に関する意識啓発活動を実施しています。こうした教育環境や衛生環境の整備は、女の子が安心して学び続けるための基盤づくりにもつながります。

事例②株式会社大林組

大林組は、社員有志の寄付に会社が同額を上乗せするマッチングギフトプログラムを通じて、ネパールやバングラデシュにおける教育プロジェクトなどを支援しています。教室やトイレの整備に加え、ジェンダー平等の理解促進、女の子たちの月経衛生管理の知識向上など、学びの継続に必要な環境づくりを支えている点が特徴です。社員参加型の仕組みであるため、社内の理解促進にもつながりやすい事例です。

事例③シチズン時計株式会社

シチズン時計は、女性向け腕時計ブランド「シチズンクロスシー」の売上の一部を活用し、2013年から女の子支援プロジェクトを継続しています。支援の出発点は「パキスタンにおける女の子の教育プロジェクト」で、その後も「女の子の理数科学力向上支援」や「月経衛生管理」など、学びの継続につながるテーマへ支援を広げています。ブランドと社会課題を自然に結びつけている点が参考になります。

事例④株式会社ファーストリテイリング

ファーストリテイリングは、ユニクロのチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」を通じて寄付を実施しています。寄付金は、ベトナムでの児童婚防止、インドとフィリピンでの職業訓練、スーダン人道危機への取り組み、アジア災害緊急支援 などに活用されています。商品を通じて参加の間口を広げながら、特に女の子の学びと安全に関わる課題へつなげている事例です。

事例⑤株式会社日能研

日能研は、アジアにおける教育支援プロジェクトを継続して支援しています。教室建設などに加え、子ども権利の理解促進など、支援先の現状や課題を子どもたちに伝えることで、学びそのものと支援活動がつながっている点が特徴です。一方的な支援ではなく、課題を知り、自分ごととして考える機会をつくっている点は、探究学習や探究の視点とも親和性があります。

自社に合う教育CSRの始め方

教育CSRは、良い事例を知るだけでは実行につながりません。自社の目的や強みを整理し、無理のない形で設計することが重要です。

何のために取り組むのかを明確にする

最初に、教育CSRに取り組む目的を整理しましょう。社会貢献活動としての位置づけを明確にするのか、ブランド価値向上を重視するのか、社員参加を促したいのかによって、施策の選び方は変わります。目的が曖昧なままだと、取り組み内容の詳細や効果測定もぶれやすくなります。

自社の強みと教育テーマを結びつける

教育CSRは、自社の事業や資源とつながるテーマを選ぶことで続けやすくなります。自社だからこそ提供できる学びは何か、という視点で考えることが大切です。

【教育テーマの例】

  • メーカーなら工場見学やものづくり体験
  • IT企業ならデジタル教育や情報モラル教育
  • 食品企業なら食育や地域学習
  • グローバル企業なら海外の教育支援

自社だけで難しい場合は、外部との連携も視野に入れる

ジェンダー課題を含む海外支援は、自社だけで実施設計しにくいことがあります。現地ニーズの把握、支援先選定、効果測定まで含めて考える必要があるためです。

そのため、専門性を持つ国際NGOやNPO団体、教育機関との協働も有力な選択肢になります。外部の知見を取り入れることで、施策の実効性や継続性を高めやすくなります。無理にすべてを内製化するのではなく、自社に必要なパートナーを見極めることが重要です。

教育CSRでは国際NGOプラン・インターナショナルとの連携も有力な選択肢

教育CSRは、企業が社会課題の解決に関わりながら、ブランド価値の向上や社内外との共感形成にもつなげられる取り組みです。なかでも女の子の教育支援は、学ぶ機会の確保にとどまらず、将来の選択肢や安全にも関わる重要なテーマといえます。

一方で、ジェンダー課題や海外の教育支援は、現地ニーズの把握や支援先の選定、効果測定まで含めると、自社だけで進めるのが難しい場合もあります。そうした際には、専門性を持つ外部団体と連携することで、より実効性の高い教育CSRにつなげやすくなります。

国際NGOプラン・インターナショナルは、ジェンダー平等の推進を中核に、子どもや若者の教育支援に長年取り組んできた団体です。各地域の実情を踏まえた支援の知見があり、女の子が学び続けられる環境づくりを多角的に支えてきた実績があります。教育CSRで女の子支援や途上国支援を検討する企業にとっては、有力な連携先のひとつといえるでしょう。自社の目的に合った形を見極めながら、継続的で意義のある教育CSRにつなげていくことが大切です。

CSR活動や社会貢献のための取り組み・支援はこちらから

企業・団体の方へ

教育CSRについてのQ&A

運営団体

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

写真:プラン・スポンサーシップ

社会課題ブログTOP

トップへ