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ソーシャルグッドとは?企業が取り組むメリットや注意点、事例を紹介

(2026年01月19日更新)

地球温暖化や格差拡大など多くの社会課題が複雑化する今、企業には本業を通じた社会価値の創出が求められています。そのキーワードとなるのが、社会(Social)と善(Good)を合わせたソーシャルグッドという言葉。この概念は、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)やCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)とも親和性が高く、ステークホルダーとの信頼構築や新市場開拓といったビジネスメリットも期待できます。

今回はその言葉の意味から、企業が取り組むメリットや注意点に加え、企業の事例を取り上げて解説します。

ソーシャルグッドとは?基本的な意味やCSRとの違い

「ソーシャルグッド(Social Good)」は、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)を背景に、企業戦略や消費者行動のキーワードとして、近年急速に浸透しています。この記事では、その意味やCSRとの違いについて解説します。

ソーシャルグッドとは「社会全体にとって良い取り組み」

ソーシャルグッド(Social Good)とは、人々の生活の質を向上させ、社会課題の解決に貢献することを目的とした取り組みのことを指します。環境保護や貧困削減、教育の普及、ジェンダー平等、地域活性化などのあらゆる課題の解決を目指して、社会全体にとって良いインパクトをもたらす活動・製品・サービスの総称です。

これは企業活動として行うボランティアや寄付にとどまらず、企業がビジネスモデルや技術革新を通じて課題解決に挑むケースなども広く含まれます。

【企業によるソーシャルグッドな取り組みの例】

  • 再生可能エネルギーを利用した事業運営
  • フェアトレード商品の販売
  • フードロス・廃棄物削減やリサイクル活動
  • 教育支援・寄付・ボランティア活動

CSRやCSVとの違いは?

これに似た概念として、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)が挙げられます。

  • CSR(企業の社会的責任):
    法令遵守や環境保全など、「責任」としての社会貢献
  • CSV(共通価値の創造):
    本業を通じて社会課題を解決し、同時に企業の利益にもつなげる戦略

ソーシャルグッドはこれらを包括し、「社会をより良くする行動全体」を示す、より広い意味での概念と捉えられます。企業担当者は、CSR的な守りの姿勢とCSV的な攻めの戦略をバランスよく掛け合わせることで、より実効性の高いソーシャルグッド・プロジェクトを設計することが必要です。

NGOとの企業連携によるソーシャルグッドな取り組みについて

世界でソーシャルグッドが注目されているのはなぜ?

近年、サステナビリティを経営の中心に据える企業が急増し、社会貢献はオプションではなく競争力の源泉へと転換しました。ソーシャルグッドが世界的に脚光を浴びる要因は、大きく3つ挙げられます。

世界ガールズ・サミットでSDGsを推進するトーゴのユースたち

世界ガールズ・サミットでSDGsを推進するトーゴのユースたち

SDGsの普及による意識の変化

2015年9月に国連総会でSDGsが採択されました。この世界共通のゴールが示されたことで、各国政府やNGOだけでなく、企業も社会的に良いことを具体的な行動に移すことが求められるターニングポイントになりました。

*SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)とは

誰一人取り残さない持続可能な世界を2030年までに実現することを目的として、「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」など17のゴール・169のターゲットで構成された国際目標です。

社会課題の深刻化と多様化

気候変動や環境破壊、貧困・格差の拡大、ジェンダー不平等、教育・医療へのアクセス格差──こうしたすでに存在していた地球規模の課題がさらに深刻化したことで、複雑に絡み合い、もはや国際機関や各国政府だけでは対応しきれないレベルに達しています。

その結果、企業も社会の一員として課題解決の一翼を担うべき、という考え方が世界共通の常識となりました。再生可能エネルギーの導入やフェアトレード製品の扱いなど、ビジネスを通じたソーシャルグッド実践が加速度的に求められる理由は、ここにあります。

消費者・投資家の価値観の変化

消費者と投資家の価値観がシフトしたことが、この流れに拍車をかけています。Z世代を中心に「安さ・便利さ」よりも「社会や地球に良い影響を与える企業」を選ぶ動きが顕著になっています。企業の倫理的姿勢や環境への配慮が購買動機のひとつとして定着しつつあります。投資の分野では、ESG投資が拡大し、社会的インパクトを示せない企業は資金調達コストが上昇するリスクを抱えるようになりました。つまり、企業には「社会的意義を持つ経営」が求められるといえるでしょう。

*Z世代とは

Z世代(ジェネレーションZ)とは、1996〜2012年頃に生まれた世代を指します。幼少期からインターネットやスマートフォンに触れて育ったため、SNSでの情報収集と発信が日常的で、ダイバーシティやサステナビリティといった社会課題への関心が高いことが特徴です。

*ESG投資とは

投資家が企業の株式や債券を選ぶ際に、従来の財務情報だけでなく、「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の取り組み状況を評価軸に加えて行う手法のことで、持続可能な成長を重視する投資家が世界的に採用しているものです。

企業がソーシャルグッドに取り組むメリット

気候危機や社会的不平等などへの関心が高まる今、ソーシャルグッドは企業競争力そのものを底上げする経営テーマになっています。企業がソーシャルグッドに取り組むことは、「社会貢献」と「経営成果」を同時に引き上げる好循環を生み出します。この章では、その具体的なメリットについて見てみましょう。

持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムで意見を発表する女の子(国連)

持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムで意見を発表する女の子(国連)

企業イメージの向上

社会課題の解決に向けて積極的に関わる姿勢は、ブランドの信頼性を高め、企業価値を向上させます。実際、環境配慮や地域貢献が可視化された製品・サービスはメディアや顧客からの注目を集める傾向にあり、ポジティブな露出が長期的なファン獲得につながります。

従業員のモチベーション向上

企業で働く人びとが、“自分の仕事が社会に良い影響を与えている”と実感することは、誇りや働きがいを醸成し、企業や業務に対するエンゲージメントを高めます。そのことが、離職率の低下や生産性向上に繋がり、人的資本の強化にも寄与することになるでしょう。

新たなパートナーシップの形成

行政やNGO・NPO団体、スタートアップ企業など、課題解決を目的として、異分野の組織が連携するケースが増えています。共通の社会的ミッションを軸に協働することで、新規事業の創出や市場の拡大を図ることができ、企業の持続的成長を後押しします。

このようにソーシャルグッドは、外部評価(ブランド)、内部資源(人材)、そして事業機会(パートナーシップ)を総合的に強化するメリットを生む戦略的投資といえます。

企業がソーシャルグッドに取り組む際の注意点

企業がソーシャルグッドに取り組むうえで意識すべき注意点が、3つあります。

透明性を徹底する

実態の伴わない活動や誇張表現は、かえってブランド信頼を損ないます。目標・指標・進捗を開示し、第三者評価やエビデンスを添えて成果を報告することが求められます。

取り組みによるトレードオフを事前に織り込む

ソーシャルグッドな取り組みによって、別の課題(トレードオフ)を発生させてしまう可能性があります。たとえば環境配慮素材の採用によるコスト増や、コミュニティ支援の輸送によるCO₂排出増などです。ライフサイクル全体での影響を評価し、費用対効果と代替策を検証してから実装することが重要です。

社内外のステークホルダーと価値観を共有する

取り組みを成功させるには、社員の共感と行動が欠かせません。ビジョンを共有したり、コミュニティとの対話を重ねたりして、目標設定プロセスにもさまざまな意見を反映させることで、施策が“自分ごと”になり、持続的な推進力が生まれます。

企業によるソーシャルグッドな取り組み事例

私たちプラン・インターナショナルは、あらゆる企業との協働を行っています。国内外で成果を上げている3つの企業事例を紹介します。

【森永製菓株式会社】お菓子で途上国の子どもたちの未来を支援

森永製菓は2008年からプラン・インターナショナルを通じて、チョコレートの原料であるカカオが採れるガーナなどの生産国に暮らす子どもたちを支援するプログラム「1チョコ for 1スマイル」をスタートしました。チョコレートなど商品の売上の一部を寄付し、子どもたちの教育環境の改善やカカオ農家の自立支援に使われます。

写真:プロジェクトの開始を喜ぶ子どもたち(カメルーン)

プロジェクトの開始を喜ぶ子どもたち(カメルーン)

消費者は「好きなお菓子を買う」行為だけで手軽に国際協力へ参加でき、「おいしい」という日常的な満足と「社会貢献」を同時に体験できます。この事例は「買い物=支援」を成立させることで、気軽に国際協力に参加できる仕組みを構築し、企業・消費者・生産地の三者にメリットをもたらす好循環モデルです。

【三井物産株式会社】NGO団体との継続的パートナーシップで子どもたちの未来を支援

総合商社の三井物産では、社員が社会とのつながりをもち、社会課題への関心を高めることが重視されています。その一環としてMitsui Global Volunteer Program(MGVP)が実施されており、ボランティア活動を行った年間の社員数x1000円を社会貢献団体に寄付するマッチング・ギフトプログラムです。

2023年にはプラン・インターナショナルのカンボジアで実施された「地域主導型の小学校教育」プロジェクトが支援の対象となりました。学校給食の導入や調理・給水設備の設置、学校菜園の整備などの活動に使われ、子どもたちの学習効率と初等教育の修了率が向上しました。社員が自ら地域や社会に貢献することを重視するだけでなく、企業がさまざまな機会や制度を提供することで、社員の社会貢献活動を後押しする事例です。

写真:給食を紹介する女の子たち(カンボジア)

給食を紹介する女の子たち(カンボジア)

【株式会社EGBA】チャリティ商品を通じた途上国の教育支援

EGBAのジュエリーブランドARTIDA OUDは、2019年に“I am” Donation®プロジェクトを開始しました。
対象商品の購入金額の一部で、プラン・インターナショナルのオーダーメイド・プロジェクト「子どもたちの教育環境改善」プログラムを支援しています。

インド・ビハール州で幼稚園教室の建設や教師の技能向上などを行い、女の子も男の子も公平に安全で快適な学習環境で質の高い早期教育が受けられることを目指すものです。このブランドのジュエリーの多くはインドで制作されているため、プロジェクトを通じてインドの子どもたちへ還元されることも大きな特徴です。購入者は「ジュエリーを身に着ける喜び」と「社会貢献」を同時に体験できるもので、EGBAのサステナビリティの取り組みのひとつです。

写真:プロジェクトで建設された幼稚園(インド)

プロジェクトで建設された幼稚園(インド)

企業が選ぶべきソーシャルグッドのパートナーとは?

ソーシャルグッドは、今や企業経営における、主要テーマのひとつにもなっています。企業が社会との関わりを深めることは、社会全体の発展に寄与するだけでなく、企業自身の持続的な価値向上にもつながるからです。こうした取り組みを加速させるには、企業・個人・団体が互いの強みを活かしながら、協力して社会課題に取り組む姿勢が欠かせません。

写真:プロジェクトで建設された幼稚園(インド)

私たちプラン・インターナショナルは、今回紹介した事例のほかにも、毎年750以上の企業・団体と連携し、教育支援やジェンダー平等など、多くの社会課題に取り組む共創型プロジェクトを推進しています。御社のリソースや理念を活かし、ともに社会課題の解決に貢献するパートナーシップを検討してみませんか。

NGOとの企業連携によるソーシャルグッドな取り組みについて

運営団体

国際NGOプラン・インターナショナルについて

国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。

写真:プラン・スポンサーシップ

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