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子どもを育てるのは、村全体の仕事:シリア難民キャンプを訪ねて~ヨルダン~(前編)

理事
大崎 麻子

Asiaアジア

事務局より

(2019/10/17更新)

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンの理事大崎麻子が、2019年8月にヨルダンのプランの活動を視察しました。町から遠く離れた砂漠の中に設置された広大なアズラック難民キャンプに暮らす人々とプランの支援について報告します。

写真:砂漠の中を走り続けようやく案内板が一つだけ現れる

砂漠の中を走り続けようやく案内板が一つだけ現れる

武力紛争で脅かされた生活

難民として暮らす保護者たちと話したとき、「13歳の娘がスマホばかり見ていて、それで喧嘩になるのよ」。子どもたちはというと、「K-popが好きなの。ダンスがすごいから。スマホで動画を観ているの」「サッカーを始めたのは、『キャプテン翼』が大好きだから」

私にも10代の娘と、すでに独り立ちしている漫画とサッカーが大好きだった息子がいます。親のイライラの源は、どこでも一緒だと共感し合いました。子どもたちがエンタメやスポーツに夢中になるのも、インターネットやゲームやスマホを手にすると、時間を忘れてしまうのも一緒です。日本人とシリア人、共通点が数多くあるけれど、決定的に違うのは、自分たちの生活の場が武力紛争に脅かされたか、否か、です。

日本に暮らす私たちには、どこに住むか、どんな仕事をするか、どんな環境で子どもを育てるか、という選択肢があります。子どもたちにも、外で遊び、勉強をし、その延長線上に、自分の将来図を描く自由があります。ところが、生活の場が脅かされ、隣国に逃れ、難民キャンプや、親戚・知人を頼りにたどり着いたコミュニティで生きる親子は、選択肢の幅も、自由も、制限されています。移動の自由、労働の自由、教育の自由、遊ぶ自由。こうした一つひとつの、何気ない自由が、自分の意思や都合とは関係なく制限され、それもいつまで続くのかわからず、自分の力ではどうすることもできないのです。

アズラック難民キャンプ

緑が茂る首都アンマンから東へ車で1時間半。砂漠が果てしなく広がる先に、現在、約4万人が暮らすアズラック難民キャンプがあります。有刺鉄線の付いた金網に囲まれたキャンプへの出入りは警察官により厳しく管理されています。パスポートを見せて中に入ると、国際機関、各国の援助機関、NGOなど、たくさんの団体の看板や旗が見えてきました。風にはためくプランの青い旗は、乾いた大地にとてもよく映えます。

写真:キャンプを支援する各国の国旗

キャンプを支援する各国の国旗

広大なアズラック難民キャンプには、数字で振り分けられたいくつの区画(Village/村)があります。その中に、鉄線が張り巡らされ、中に入るには警察のエスコートが必要な「Village 5」と呼ばれる区画があります。過激派組織ISが支配していた地域から来た人たちが収容され、ISとは無関係だと認定されるまで、この村に隔離された状態で生活するのですが、認定までに数年を要することがほとんどです。移動の自由や職業選択の自由、進路の自由もありません。ここに住む大人や若者たち、子どもたちにとっては、ここが世界のすべてです。

写真:プランの青い旗

プランの青い旗

プランはこの区画で、精力的に活動しています。過酷な状況ではありますが、ここは子どもたちや住民にとっては暮らしの場、つまり、「コミュニティ」です。コミュニティと協力しながら、子どもたちを育むことがプランの得意とする支援です。

写真:プランの「子どもひろば」

プランの「子どもひろば」

写真:クラブが開かれるコンテナが並ぶ

クラブが開かれるコンテナが並ぶ

子どもたちの心身の健康を守るために

ヨルダンのプランでプロジェクト・マネジャーをしているモハメッド職員の案内で、コンテナの中で行われている「アートクラブ」「手芸クラブ」「音楽クラブ」を視察しました。

プランの支援は、一貫して「子どもたちのエンパワーメント」を目的としています。心と身体が健康に育つこと、知識やスキルを身につけ、将来にむけ生活力の土台を作ること、コミュニティの一員として、よりよい地域づくりに貢献するためのリーダーシップ・スキルを育むこと。

写真:民族楽器を楽しむ音楽クラブ

民族楽器を楽しむ音楽クラブ

難民の子どもたちへの支援においても、その方針は同じ。紛争や国外避難の過程で、とても辛い経験をした子どもたちや10代の若者たちが自尊心を保ち、自分を大切に思い、自信を持てるようにすることが第一歩です。

「手芸クラブ」「アートクラブ」「音楽クラブ」では、楽しいアクティビティをしながら、心を落ち着かせ、自分を表現し、ほかの人たちと共有するというプロセスを繰り返しています。不安や怒り、焦りといった「自分の気持ち」や、本当はこんなことがしたい、いつかあんなことをしてみたいという「希望」・・・。それを自分自身が認識し、受け止め、ほかの人たちとも共有していくことが、過酷な経験の癒しにつながり、将来自分を大切にしながら生きていくための礎になるのです。

写真:緑のなかで友だちと遊びたい、と絵を描いた女の子

緑のなかで友だちと遊びたい、と絵を描いた女の子

アートクラブでは、「わたしの生活、わたしの夢」をテーマにした絵本を作っていました。でき上がった絵本は、みんなの前で発表します。「一番恋しいのは、自然」と言いながら、緑の葉をたくさん茂らせた木々や、色とりどりのお花の絵を描いていた子が何人もいました。手芸クラブでは、子どもたちが器用に手を動かし、ビーズでブレスレットを作ったり、編み物をしたりしていました。部屋のなかには色があふれ、コンテナの外一面に広がる色彩のまったく無い砂漠の中で、オアシスのようでした。子どもたちに、ヘアバンドとミサンガをプレゼントされ、早速身につけると、子どもたちはとても喜んでくれました。

写真:手芸クラブの子どもたちと

手芸クラブの子どもたちと

カメラをむけると恥ずかしがって、友だちの後ろに隠れてしまう子もいますが、それでも後ろのほうから顔を覗かせ、興味津々に目を輝かせながら私たちに見入っています。私たちの訪問が、少しでも子どもたちにとっての楽しい時間になってくれていたら、と願わずに入られません。

後編は、10代の若者たちとコミュニティ・ボランティアの活動をご紹介します。

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