プラン・インターナショナルは、2023年3月から、ネパールで「ジェンダー平等推進のための教育」プロジェクトを実施しています。現在までの活動の進捗をご報告します。
プロジェクト背景
ネパール南部のマデシ州ダヌシャ郡では、教育のアクセスと質に深刻な課題があります。小中学校の多くは女子トイレが備わっていないなど学習環境が劣悪なうえ、行政による就学促進の取り組みにも遅れが見られ、多くの子どもたちが教育を受ける機会を逃しています。
また、ジェンダー平等や子ども中心型の教育方法に関する教師の知識や技能が不足しており、教育の質も十分に確保されていません。特にジェンダーに基づく差別や障害への配慮が欠けた指導が行われ、子どもたちへのサポートも不十分です。そのため、子どもたちは学校で十分な学びを得ることができず、留年や中途退学につながるケースも少なくありません。このような状況が子どもたちの将来の可能性を大きく制限してしまっています。
活動のハイライト
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4つの教室を備えた2階建ての新校舎
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スロープを備えた新しい男女別トイレ
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新しい机・椅子を備えて修繕された教室
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床に点字ブロックを備えた新しい手洗い場
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新しい円卓で学ぶ子どもたち
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ジェンダー平等を行動規範に取り込もうと話し合う保護者たち
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女の子のためのサッカー大会で力強くボールを追いかける女の子たち
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学習継続に困難を抱える子どものための補助授業の様子
活動内容
プロジェクト2年目の今期は、学校運営委員会、保護者、教師、生徒を対象にジェンダー平等と子どもの保護に関するトレーニングを実施し、計656人が参加しました。学校でのジェンダーバイアス(性別による思い込みや偏見)の排除や、子ども中心の学習環境づくりについて議論を深め、各校で行動規範を作成しました。また、昨年に続き、女の子のためのサッカー大会を実施し、120人が参加しました。女の子たちは自主的に練習や運営に取り組み、自信と自律を育みました。昨年は反対の声をあげていた地域住民もいましたが、今年は多くの住民が声援を送り、行政も女の子のスポーツへの参加を推進する取り組みを検討し始めるなど、地域全体に前向きな変化が広がっています。
今後も地域全体でジェンダー平等促進の取り組みを進め、すべての子どもが平等に学び、安心して挑戦し、自由に人生を選択できる社会を共に目指していきます。
現地の声
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プリティさん(15歳、10年生)
プリティさん(後列真ん中・左から4番目)
サッカーは好きだったけど、まったく自信はなかったし、男の子から「女の子がサッカーなんて」とよくからかわれました。でも、諦めずに仲間と練習を続け、2年目の大会では先発出場し、ハットトリックを決めました。州の代表選手にも選ばれました。今では男の子たちも応援してくれるようになり、地域の人々からも励まされています。サッカーを通じて「女の子も男の子と同じことができるんだ」と実感し、大きな自信となりました。将来はネパールの代表選手のように国際大会で活躍したいです。
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スミットさん(女子サッカークラブコーチ)
スミットさん(後列左)・プリティさん(前列右)
プリティは恥ずかしがり屋でほとんど発言しない子でしたが、大きく成長しました。今では試合で堂々とプレーするだけでなく、仲間や私に意見を伝え、チームをまとめる力もつけてきました。練習や試合では子どもたち同士で意見がぶつかることもありますが、自分たちで話し合って前に進めるようになっています。私はその姿を信頼して任せています。彼女の挑戦し続ける姿は、女の子にも男の子にも力強く影響を与えています。これからどんな選手に成長していくのか、とても楽しみです。
主な活動の成果
| 地域 |
マデシ州ダヌシャ郡 |
| 期間 |
3年4カ月(2023年3月~2026年7月) |
2025年度
主な支援内容と対象 |
幼稚園併設の小中学校での学習環境の整備
- 教室の建設・修繕(7校24教室、女の子523人、男の子583人)
- トイレ、手洗い場、給水設備の建設・修繕(10校、女の子4,366人、男の子4,942人)
- 月経衛生管理スペース(2校、女の子144人)とごみ処理スペースの設置(12校、女の子5,244人、男の子5,763人)
- 教室備品の支給および学習コーナーの設置(12校、女の子1,146人、男の子1,164人)
- 学校施設の維持管理トレーニングの実施(女性16人、男性32人)
- 社会監査の実施(女性31人、男性105人)
教師の能力強化
- ジェンダー平等に関する教師トレーニングの実施(女性46人、男性35人)
- 児童中心型の教授法に関する教師トレーニングの実施(女性56人、男性28人)
- 児童の学習評価に関する教師トレーニングの実施(女性31人、男性48人)
地域主体の教育支援体制の構築
- 学習継続に困難を抱える子どものための補助授業の実施(女の子611人、男の子383人)
- 補助授業の指導者に対するトレーニングの実施(女性50人、男性17人)
- 衛生管理の指導者に対するトレーニングの実施(女性5人、男性15人)
- 衛生管理に関するオリエンテーションの実施(女の子787人、男の子593人)
- 月経衛生管理に関するオリエンテーションの実施(女の子443人、男の子348人)
- ジェンダー平等に関するオリエンテーションの実施(女性142人、男性145人)
- ジェンダー平等に関する行動規範作成のためのワークショップの実施(女性358人、男性298人)
若者クラブによる啓発活動
- 国際デーの啓発活動の実施(女の子1,306人、男の子885人)
- 女の子のためのサッカー大会の実施(女の子120人)
地方教育行政におけるジェンダー主流化促進
- 市職員に対するジェンダー平等に関する教育政策策定ワークショップの実施(女性3人、男性29人)
- 学校改善計画(SIP)にジェンダー平等やインクルージョン、子どもの保護に関する活動計画を含めた学校(20校)
- 地方行政と地域住民、保護者による共同モニタリングの実施(女性4人、男性17人)
- 振返りワークショップの実施(女性10人、男性13人)
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- ※このプロジェクトは、外務省(NGO連携無償資金協力)の支援のもと実施しています。日本人職員が現地に赴任し事業統括を行っています。