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【開催報告】オンラインイベント「NHK記者 柳澤あゆみ氏が語る中東・アフリカの女の子」

イベント

更新)

プラン・インターナショナルは、2021年10月8日に、国際ガールズ・デーを記念したオンラインイベント「NHK記者 柳澤あゆみ氏が語る中東・アフリカの女の子」を開催しました。Zoomウェビナーで行ったイベントには、280人以上の方がご参加くださいました。

国際ガールズ・デー

取材の出発点は、理不尽な現状への怒り

はじめに司会より、プランの活動概要と今年で10回目を迎える国際ガールズ・デーの意義について説明した後、NHK記者の柳澤あゆみさんにご登場いただきました。

柳澤さんは、NHKでは女性初の中東アフリカ地域特派員として、エジプト・カイロ支局に駐在された経歴をお持ちです。シリアやリビア、イラクなど多数の紛争地域での取材を通じて、戦乱などの困難な状況下で最も影響を受けるのは女性と子どもたちであると実感されたといいます。現地では、「紛争下の性暴力」や「女性性器切除(Female Genital Mutilation、以下FGM)」など、女の子や女性たちが直面する理不尽な現状への「強い怒り」を出発点に、精力的に取材を続けてこられました。2020年には、スーダンのプランの活動現場で、FGMの問題を取材してくださったご縁もあり、今回のイベントに登壇いただきました。講演では、FGMの問題と背景、根絶を阻む要因、見え始めた変化について、写真や映像を交えてお話しいただきました。

写真:柳澤さん(前列左)。スーダンのプラン現地事務所にて 写真提供:柳澤さん

柳澤さん(前列左)。スーダンのプラン現地事務所にて 写真提供:柳澤さん

心身の後遺症に苦しむ女の子たち

女性の外部生殖器の部分的または全体的な切除をするFGMの慣習は、アフリカ、中東、アジアの一部など世界30カ国以上で根強く残っており、少なくとも2億人の女の子や女性たちが経験していると言われています。柳澤さんは、具体的なFGM施術方法についてイラストで説明し、幼い女の子や若い女性が施術後に心身の後遺症に苦しんでいる現状を、スーダンでの取材映像を交えて紹介しました。現地で出会った女性のひとり、29歳のファティマさんは、幼いときにFGMの施術を受け、現在も排尿障害や感染症に苦しんでいるだけでなく、結婚や出産への恐怖から将来への不安にさいなまれています。映像では、FGMをなくすために地域で取り組んでいる啓発活動の様子や、少しずつ表れている前向きな変化も紹介されました。

写真:不衛生な道具で施術が行われることも

FGMのデメリットを説明する柳澤さん

なぜなくならないのか?背景には「社会からの無言の圧力」

一方で、FGMを根絶することの難しさについて、柳澤さんは、この慣習が母から娘、祖母から孫へと、女性たちによって受け継がれてきた側面にも言及。「女性たちが娘や孫にFGMを受けさせる理由としてあげる『施術していないと結婚できない』『のけ者にされる』という声は、実は男性優位社会からの無言の圧力によって連綿と続いてきたのではないか」と、取材者として感じた思いを明かしました。また、FGM賛成派と反対派の間には大きな溝があり、相互理解の難しさが議論を平行線にしていることも紹介。

写真:なぜなくならないのか?背景には「社会からの無言の圧力」

根絶活動への参加にも、家族や親族による反対など、多くの障壁があることを説明しました。さらに、FGMの施術は強い痛みを伴い、施術後は数週間の安静が必要となるため、これまで学校の長期休暇中に行われることが多かったと述べ、コロナ禍での一斉休校に加え、根絶活動が中止・停滞したことも、FGM増加の要因となっていると指摘しました。

「大切なのは苦しんでいる当事者の思いを聞くこと」

柳澤さんは、現地に取材に入る際に、「地域に長年根づいている慣習・文化を悪しきものと断定することは、先進国の価値観の押しつけなのか?」と自問自答したといいます。FGMは幼い頃に実施されるので、本人に明確な選択権がないことが問題という思いはあったものの、迷いを感じることがあったそうです。そのとき、前述のファティマさんから「私は嫌なものは嫌です。受けなくてよいならこんな痛い思いをしたくなかった」という言葉を聞いて、取材の方向性として大切なのは、苦しんでいる当事者の思いを聞き、それを伝えることだという思いをあらたにしたと話されました。

写真:ファティマさん(右)と。

ファティマさん(右)と。
写真提供:柳澤さん

自分の身体のことを、自分で決める権利を

スーダンでは、2020年7月にFGMを罰則付きで禁止する刑法の改正案が承認されましたが、依然として水面下での施術が行われています。柳澤さんは、長老など地域のリーダーを中心とした働きかけや、学校での啓発活動を地道に続けることが大切だと述べ、人々の意識が変われば地域全体が変わっていくと話しました。また、取材全体を通じて感じた最も大切なこととして、「自分の身体のことを自分で決める権利が守られる」ことをあげ、それはジェンダーの違いや国を問わず、日本においても共通する議論であると述べました。

写真:自分の身体のことを、自分で決める権利を

講演後のQ&Aでは、視聴者から、FGMの施術そのものについて、また男性たちの意識変革についてなど、多くの質問が寄せられました。柳澤さんは、不衛生な道具を使って地元の助産師などが施術するケースがある一方、エジプトなどですすんでいる「FGMの医療化」にも言及。「設備が整ったところで医療従事者が施術をすれば問題ない」という認識が広まっていることも、FGM根絶の大きな壁になっていると話しました。

イベントの最後、柳澤さんは、FGMの問題は日本ではまだあまり知られていないが、ひとりでも多くの人が問題意識を持ち、タブー視せずに話題にすることで、意識の醸成につながっていくと締めくくりました。

参加者の声

  • 女性性器切除について初めて知ったのですが、衝撃を受けたのとともにアフリカに住む女の子たちの未来が前向きになるように、私にも何ができるか考えようと思いました。
  • とても生々しいお話で、心が痛みました。私も今ネパールの女の子をサポートしています。地域で問題は異なれど、女の子が教育により自立をして自分の人生、未来を切り拓いていける、そんな社会を切に願うばかりです。あらためて自分がひとりの女の子の未来に携われていることを幸せに思いました。
  • 柳澤さんと同世代の者として、取材相手の女性や地域の人々にたいする配慮のある丁寧な取材に感銘を受けました。質問にもありましたが、「女性側の問題」として矮小化せずに、むしろ社会ひいては社会をコントロールしている男性の意識改革や行動変容が重要だと感じました。また、男女の別なく子どもたちに「選択できる権利」を伝えていく、教えていくこともそれ以上に重要であると思いました。そうした女性が現実にいる、ということに私が勇気づけられました。これから、女性たちが自分の身体を自分で決めることが当たり前になる世界になるように、私自身も何かできることをしたいと思います。今後も、柳澤さんに取材を続けてほしいです。

ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。

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