(2024年07月10日更新)
「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」は、途上国だけでなく先進国も含めたすべての国が、2030年までの達成を目指して取り組むべき17の目標と169のターゲットを定めた国際目標です。
SDGsの目標達成には各国政府や国際機関だけでなく、NGOやNPO、市民社会、民間企業等を含むあらゆる人々が参加することが大切です。ここでは、SDGsと人権との関係性について詳しく解説するとともに、特に企業のCSR活動に役立つ事例をご紹介します。

もくじ
SDGsと人権のつながりとは
SDGsが掲げるすべての目標の根底には、「誰一人取り残さないこと」、「すべての人々の人権を尊重すること」など、人権尊重の考え方があります。人権とは、人種や性別、国籍、民族、言語、宗教その他いかなる地位とも関係なく、すべての人間に固有の権利を指します
※。
さかのぼると、SDGsは2015年の第70回国連総会において全会一致で採択された、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の中核をなすものです。この文書のなかで、SDGsが目指すのは、「すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児のエンパワーメントを達成すること」と明記されています。こうした考え方のもと策定されたSDGsの17目標・169ターゲットの達成には、人権の尊重が欠かせないのです。

特に人権との関係が深いSDGsの目標7つ
SDGsで設定されている17の目標には、世界が直面する喫緊の課題である貧困や飢餓、気候変動や環境問題のほか、経済成長や、持続可能な開発にむけたパートナーシップの促進なども掲げられています。このうち、特に人権との関係が深い7つの目標について、国際NGOプラン・インターナショナル(以下プラン)の取り組みも交えてご紹介します。
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
プランの取り組み:あらゆる課題の原因となる貧困に対して、ジェンダーを考慮した総合的な地域開発をすすめすることにより、脆弱な状況にある人々が基本的サービスにアクセスできるよう支援し、地域全体の貧困の改善を目指します。
| 関連する人権 | 十分な生活水準への権利、社会保障を受ける権利(世界人権宣言ほか) |
|---|---|
| 必要な支援 | 地域全体の貧困の改善、基本的サービスにアクセスできる仕組み作り |
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
プランの取り組み:予防接種、保健ボランティア育成、産前産後ケア、診療所の建設など、保健知識の向上と保健医療体制の整備に取り組み、子どもの健康的な成長を支えます。
| 関連する人権 | 生命への権利、健康を享受する権利、など(世界人権宣言、子どもの権利条約ほか) |
|---|---|
| 必要な支援 | 予防接種、保健ボランティア育成や産前産後ケア、衛生設備や診療所の建設 |
すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
プランの取り組み:生きていくための知識と技術を身につけ、能力を発揮できるよう、学校建設、男女別トイレの設置、教師の育成のほか、就学前教育やジェンダーに配慮した学校運営などをすすめています。
| 関連する人権 | 教育を受ける権利、教育における女性と少女の平等な権利(世界人権宣言、女性差別撤廃条約ほか) |
|---|---|
| 必要な支援 | 学校建設、技術的・職業的スキルの育成、教員研修の拡充 |
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
プランの取り組み:プランの活動の柱のひとつであるジェンダー平等の実現のため、実施するプロジェクトすべてにジェンダーの視点を入れています。活動地域に住む人々の意識に、ジェンダー平等を浸透させることは、プロジェクトの成果にも大きく影響します。目標のなかで唯一達成時期が明記されていないのは、可及的速やかに解決すべき課題であるためです。
| 関連する人権 | 女性および女児に対する差別の排除、母親と子どもへの特別な保護、など(女性差別撤廃条約、子どもの権利条約) |
|---|---|
| 必要な支援 | 差別や暴力撤廃への取り組み、意思決定における女性参画の実現、性と生殖に関するヘルスケア |
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
プランの取り組み:職業訓練、小規模金融(マイクロ・ファイナンス)、農業技術指導など、子どもが安定した生活を送れるよう、各家庭の収入の増加を支援します。最悪の形態の児童労働をなくす地域づくりや、若者・女性の職業訓練や起業支援など、経済的自立支援もすすめています。
| 関連する人権 | 公正で良好な労働条件を享受する権利、雇用に関する女性の平等な権利、児童労働の禁止、など(世界人権宣言、ILO中核的労働条約ほか) |
|---|---|
| 必要な支援 | 若者・女性の職業訓練や起業支援、小規模金融(マイクロ・ファイナンス)、農業技術指導など |
各国内及び各国間の不平等を是正する
プランの取り組み:早すぎる結婚や女性性器切除など、女の子や女性に差別的な法律、政策、慣行の撤廃にむけて、意識啓発や国際社会、政府、地元行政への働きかけを行います。これまでのたゆまぬ活動により、結婚最低年齢を18歳に引き上げる法改正がなされた国も出始めています。
| 関連する人権 | 平等と非差別の権利、社会保障を受ける権利など(世界人権宣言、障害者権条約ほか) |
|---|---|
| 必要な支援 | 女性に差別的な政策や慣行の撤廃に向けた取り組み、意識啓発や国際社会への働きかけなど |
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
プランの取り組み:子どもに対するあらゆる形態の暴力、虐待、人身取引をなくすための活動や、基本的な社会サービスへのアクセスを保障する出生登録の推進を行っています。また、コミュニティや国、国際社会など、あらゆる意思決定の場で、子どもたちや若者が参加し、意見を発信できる取り組みも行っています。
| 関連する人権 | 生命や自由および安全の権利、公的分野に参加する権利、情報へアクセスする権利、など(世界人権宣言、強制失踪条約ほか) |
|---|---|
| 必要な支援 | 女性や子どもへの暴力や人身取引をなくすための活動、出生登録の推進など |
ビジネスと人権の関係
1970年代以降、人権保護に関する企業の役割の重要性が認識されるようになり、国際的な議論が高まっていきました。経済協力開発機構(OECD)による「OECD多国籍企業行動指針」、国際労働機関(ILO)による「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」の策定を経て、2011年、国連総会で、「ビジネスと人権に関する指導原則」が全会一致で採択されました。これは、人権侵害の防止やディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の確保など、企業が果たすべき責任を定めたもの
です。日本でも、2022年に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が、日本政府のガイドラインとして決定されました
。人権を尊重した企業活動を行うためには、上述したようなSDGsの目標に企業としてどのように取り組んでいくかが重要となります。

CSR活動や社会貢献のための取り組み・支援はこちらから
人権に深く関係するSDGsの目標達成に向けた企業の支援事例
企業が人権に関係するSDGsの目標達成に貢献するためには、単独での支援よりも、支援活動のプロフェッショナルであるNGOと連携することで、より効果的な取り組みを行うことができます。
プラン・インターナショナルは毎年800以上の企業や団体と連携して支援活動を実施しています。長年の活動で培った専門性やネットワークを生かした、さまざまな方法での連携が可能です。
企業による具体的な取り組み事例を3つご紹介します。
寄付付き商品やポイントからの寄付でインドの子どもたちの教育を支援(売り上げに連動した寄付)
企業名 株式会社サザビーリーグ ARTIDA OUD
ご支援内容
対象商品の購入数が支援につながる、ジュエリー購入者参加型の"I am" Donation プロジェクトを通じ、インドやグアテマラなど途上国の子どもたち、女の子たちの教育を支援。対象地域では、幼稚園の教室建設や、幼稚園教師の技能向上、保護者むけの意識啓発、月経衛生管理などの活動を実施。子どもたちが未来を切り拓いていけるよう、長期的な視点で教育環境改善に取り組んでいる。

医療アクセスの改善を目指し、巡回医療サービスプロジェクト、母子保健プロジェクトを支援(収益の一部からの寄付)
企業名 第一三共株式会社
ご支援内容
「第一三共グループ医療アクセスポリシー」に基づき、SDGsの達成に貢献。2011年からカメルーン、タンザニア、中国、ミャンマー、ジンバブエなどさまざまな国で支援活動に取り組む。移動診療車を使った巡回診療プロジェクトや、母子保健に関わる医療従事者の育成と保護者への意識啓発プロジェクトなどを実施。

プラン・スポンサーシップと教育プロジェクトへの継続支援(募金による寄付)
企業名 株式会社日能研
ご支援内容
日能研の目指す「子どもたちや地域と一緒になって未来を作り出す」ことが、プラン・インターナョナルの活動と親和性が高い点にご賛同いただき、1991年からプラン・スポンサーシップ※を通じた支援を実施。現在も30人近くのチャイルドと交流中。また、1996年からはオーダーメイドでのご寄付を通じてアジアにおける教育支援プロジェクトも継続的に支援。
※プラン・スポンサーシップとは
途上国の活動地域において、地域の子どもや大人、政府や自治体とのネットワークを築きながら、地域で必要とされている「教育」や「生計向上」「子どもの保護」など、必要なプロジェクトを長期的視野で実施していく取り組み。支援者(スポンサー)は、地域を代表する子ども(チャイルド)と手紙で交流しながら、地域の変化とチャイルドの成長を見守っていただく支援の仕組み。

人権に深く関係するSDGsの目標達成に向けた企業の支援事例
SDGsへの関心が高まるなか、昨今、企業に対する「人権デュー・ディリジェンス」の導入が期待されています。これは、企業活動における人権への悪影響を特定、予防、軽減、対処するとともに、対応への追跡調査や外部への情報発信を実施することを指すもので、その一連の流れが「人権デュー・ディリジェンス」と呼ばれています。日本ではまだ始まったばかりの取り組みですが、人権侵害のリスクを抑え持続可能なビジネスを実現するプロセスとして国際的に重視されるようになってきています。
長年にわたって子どもたちの権利推進に取り組んでいるプラン・インターナショナルと連携することで、人権と環境が守られた持続可能な社会の実現にともに取り組みませんか。企業の皆さまからのお問い合わせをお待ちしています。
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運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。










