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ラオス駐在生活で得た気づき~地域に寄り添う支援を目指して~

プログラム部
鈴村 久美子

アジア

ラオス便り

更新)

サバイディー(こんにちは)。プログラム部の鈴村です。「少数民族の子どもの教育」プロジェクトのプロジェクト・マネジャーとして、ラオス北部に駐在しています。プロジェクトでは、少数民族の子どもたちが就学前から公用語のラオス語を習得し、小学校入学後ラオス語で行われる授業への理解を深められるよう、教師トレーニングや学習環境の整備を行っています。

コロナ禍での活動継続

2019年に開始したこのプロジェクトも、最終年度となる3年目を迎えました。この2年間は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、度重なる学校閉鎖や移動制限によって、思うように活動をすすめられないこともありました。活動地域を訪問できる頻度も少なくなってしまいましたが、毎回新たな気づきや学びがあり、限られた機会を大切にしながら活動をすすめています。ラオス駐在生活のなかで知った北部山岳地域の様子や、活動から得た学びをご紹介します。

写真:歌や踊りで公用語のラオス語を学ぶ少数民族の子どもたち

歌や踊りで公用語のラオス語を学ぶ少数民族の子どもたち

母親と父親双方の参加を促す工夫

活動地域では、教育の重要性や家庭での子どもへの接し方など、保護者を対象とした啓発活動を実施していますが、より効果を高めるためには父親と母親双方への働きかけが必要です。
参加を呼びかける際に、「各家庭から少なくとも代表者1人は参加してください」と伝えた村では、父親ばかりが集まりました。「代表者」という言葉を使ったために、「家庭の代表者である父親だけ」が参加するべきものと理解されてしまったのです。一方、「各家庭から誰か参加してください」と呼びかけた村では、母親の参加が多い結果に。この経験を踏まえ、現在は父親と母親双方の参加を促すため、チームの同僚たちと言葉の使い方やメッセージの伝え方を話し合い、両親に一連の啓発活動のいずれかに参加してもらうよう呼びかけています。

写真:啓発活動でジェンダー平等について学ぶ保護者

啓発活動でジェンダー平等について学ぶ保護者

写真:啓発活動は保護者が集まりやすい早朝に開催

啓発活動は保護者が集まりやすい早朝に開催

同じ民族でも、村が違えばジェンダー規範も違う

ラオスは50の民族から構成される多民族国家ですが、同じ民族でも村によって生活習慣やジェンダー規範が異なることがあります。
9つの村で、未就学児むけの教育プログラムを実施したときのことです。参加者の昼食づくりは、各村の保護者たちに協力を依頼。すると多くの村では母親たちが集まりましたが、いくつかの村では父親ばかりが集まったのです。理由を尋ねると、「家庭では主に女性が料理をし、公の場や大人数が集まるイベントでは男性が料理をする」という役割分担があるとのこと。女性たちは家のなかの仕事だけを担っているのかと思えば、そうではありませんでした。ある村では、朝早くから田畑や森に働きに出て、夕暮れ時に大きな丸太の木を担いで帰ってくる大勢の女性たちの姿を目にしました。この民族の女性は全体的に社会的地位が低く、重要な役職に就くのは多くが男性で、ジェンダー平等に課題がありますが、同じ民族でも村によってジェンダー規範はさまざまであり、男女の役割は「内(うち)」や「外(そと)」という区別や、「家事は女性の仕事」「肉体労働は男性の仕事」といったシンプルな構図では説明できないものであることに気づかされました。

写真:昼食づくりに協力してくれた母親

昼食づくりに協力してくれた母親

写真:卵を調理する父親

卵を調理する父親

地域が抱える課題の背景を意識して

山間部の一見同じように見える隣同士の村でも、子どもたちの教育水準や経済状況が異なる場合があります。ある村では保護者が教育に熱心で、子どもたちを積極的に学校へ送りだしていますが、隣の村では子どもの中途退学や留年が深刻です。それぞれの村の様子を観察すると、教育熱心な村には耕作しやすい広い平らな田畑があるため、安定した収穫が期待できる一方で、中途退学が多い村には険しい丘陵地の田畑しかなく、生計を立てていくことで精一杯の状況が見てとれました。生活の安定が、保護者の教育への意識に大きく影響していることを感じました。各地域に適切な支援を届けられるよう、ジェンダー規範に限らず、地域の状況を注意深く見極め、問題の表層だけでなく背景も十分に理解するよう心がけています。

写真:急な山の斜面に作られた稲田

急な山の斜面に作られた稲田

写真:山間に作られた水田親

山間に作られた水田

少数民族の子どもたちの未来のために

これまで度重なる学校閉鎖や移動制限など、厳しい新型コロナウイルス対策を取ってきたラオス政府ですが、2022年は、ワクチン接種をすすめながら経済活動や教育を再開していく方向に転換しつつあります。学校に戻ってきた子どもたちが学習の遅れを取り戻せるよう、より一層のサポートが必要です。プロジェクト最終年度として、これまで行ってきた校舎建設や教師トレーニングなどが実を結ぶよう、地域の人々やスタッフの安全と健康に配慮しながら活動をすすめていきます。

写真:建設した幼稚園の教室と衛生設備

建設した幼稚園の教室と衛生設備

写真:ラオス語を学ぶ少数民族の子どもたち

ラオス語を学ぶ少数民族の子どもたち

  • ※このプロジェクトは、外務省(NGO連携無償資金協力)の支援のもと実施しています

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