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「災害に強い小学校校舎建設プロジェクト」報告~フィリピン~
フィリピン
教育
(更新)
プラン一般プロジェクト2016年度活動報告
災害があっても安心して学べる学校環境を目指して
「新しく安全な校舎で子どもたちが勉強に集中!」
エビータさん(12歳)
エビータさん:上段右から3番目
「私は1年生のときから、古く、荒れ果てた校舎で、勉強していました。特に大雨が降った後は大変でした。教室が激しい雨漏りで泥だらけになってしまい、数日かけて掃除をしなければならず、その間学校は休みになりました」とスーン小学校に通うエビータは語ります。スーン小学校と同様に校舎の老朽化がひどかったピリウ小学校のボコ校長も「児童が学ぶ環境は苛酷で悲惨なものでした。雨が降ると雨漏りで濡れない場所をいつも探していたのです。この状況に私は心を痛めていました」とプロジェクト以前の学校の状況について振返ります。
2013年、台風ハイエンが上陸し、エビータさんの通うスーン小学校の校舎は損壊。教科書、机、椅子、黒板など授業に必要な教材や備品も嵐によって流されてしまいました。教材や備品、そして校舎の修復のためにお金をカンパするように呼びかけられましたが、エビータさんの両親は、1日に300ペソ(6.5ドル)しか稼ぎのない農民で、こうしたカンパに応じるのは難しいことでした。そのため、エビータさんも家計を助けるために、廃品を回収してリサイクル業者に売ることによって、学校復旧のカンパに応じていました。
プロジェクトによる支援のおかげで、エビータさんは勉強に集中できるようになりました。「校舎が完成し、今は学校に行くことが嬉しいです。清潔で安全になった校舎を誇りに思います。私は今、学校で学んでいる全ての時間を、とても安心して安全に過ごすことができます」とエビータさんは笑顔で答えました。加えて、教師たちは、新しく清潔な校舎のおかげで、児童が授業を積極的に受けるようになったと喜んでいます。
校舎建設と給水設備の設置と同時に、手洗いやトイレの利用といった衛生知識に関するオリエンテーションも実施したことによって、児童の衛生習慣が改善してきました。加えて、児童は教室や施設がきれいに保てるよう手伝うようになりました。エビータさんはじめ、児童や教師そして保護者たちは、プロジェクトに感謝しています。学校を持続的に運営していく責任ある役割を果たすことにも喜びを感じています。
実施地域 | 東サマール州リョレンテ市スーン村、ピリウ村 |
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実施期間 | 2015年7月~2016年6月 |
対象 | スーン村、ピリウ村それぞれの小学校に通う児童256人と教師13人 |
背景 | 2013年11月8日、甚大な被害をもたらした台風ハイエン(フィリピンではヨランダ)が上陸。フィリピンの9地域で、500万人の子どもを含む1500万人が被災し、家を失った人は約400万人、亡くなった人は6000人にのぼりました。教育施設の受けた被害も甚大でした。フィリピン教育省によると、公立の小学校・中学校の合計3375校で5898教室が全壊、1万4508教室が一部損壊しました。プロジェクトは、校舎が損壊したスーン小学校、ピリウ小学校を対象に、児童や教師たちが安全で快適に授業を行うことができる学習環境を提供しました。 |
今期の主な活動 |
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活動のハイライト | 教師や、児童、保護者をはじめとする地域の人々は、プロジェクトの計画立案から、実施、進捗管理、評価などすべての段階に関わりました。児童は、障がいのある児童のためのスロープ、男女別トイレ、教室の壁の色など建設デザインを積極的に提案しました。こうした案をもとに、災害に強い構造設計や強度のある資材を利用することによって、新校舎が完成しました。児童は新しくなった校舎に誇りを持っています。開校式では、地域の人々が自ら校舎を維持管理していくことを宣言しました。また、話し合いの結果、今後の校舎修繕にかかる予算を教育省が確保していくことになりました。児童が安全で快適に授業を受けるためには、校舎の耐久性が高くなるだけでは不十分です。プロジェクトでは、リョレンテ市防災管理評議会の協力のもと、防災についてのオリエンテーションと訓練を実施しました。災害の被害を最小限に食い止めるための防災知識を得るとともに、災害が起きたとき的確に避難できるように準備しておくことの大切さを学びました。 |