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ウクライナ紛争激化から2年、「ウクライナから日本に避難している子どもの教育とメンタルヘルスに関する現状調査」~国際NGOプラン・インターナショナルが発表~

プレスリリース

(2024/02/21更新)

ウクライナ紛争激化から2年、「ウクライナから日本に避難している子どもの教育とメンタルヘルスに関する現状調査」~国際NGOプラン・インターナショナルが発表~
ウクライナ出身のアンナ・シャルホロドウスカー職員が実施~言葉の壁、ダブルスクールなどが子どもたちにもたらす過度の負担

国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、「ウクライナから日本に避難している子どもの教育とメンタルヘルスに関する現状調査」を発表しました。
2022年2月24日のウクライナ紛争激化から2年が経過しようとするなか、ウクライナの状況は悪化の一途を辿っています。紛争により軍国主義的な男らしさの認識が強まり、有害なジェンダー・ステレオタイプが男女間の不平等を助長させるばかりではなく、女の子や若年女性は、親密なパートナーからの暴力、性暴力、性的搾取や虐待といったジェンダーに基づく暴力にさらされる危険が増加しています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2024年2月現在、世界全体のウクライナからの避難民の数は647万9700人に達し、そのうちの47%が女性、33%が子どもであると報告しています。

日本には、現在2000人ほどのウクライナ避難民が暮らしています。自身も2022年5月に避難民として来日し、同年12月よりプランに勤務しているアンナ・シャルホロドウスカー職員が、日本に逃れてきて2年を経たウクライナ人の生活の変化について、子どもの教育とメンタルヘルスの側面からアンケート調査とインタビューを実施し報告書にまとめました。

写真:「ウクライナから日本に避難している子どもの教育とメンタルヘルスに関する現状調査」

「ウクライナから日本に避難している子どもの教育とメンタルヘルスに関する現状調査」

調査目的:ウクライナから日本に避難している子どもの日本とウクライナの学校での学習状況、避難して来てから現在までの子どもの行動、情緒、精神状態の変化を把握することで、子どもたちが直面している課題、可能な支援方法などを摸索する
調査実施時期:2023年11月~12月
調査対象:日本に避難しているウクライナ人グループ・東京で開催されたウクライナ人向けイベントへの参加者22名(アンケート)、5名(インタビュー)
調査方法:アンケートは、匿名にて実施。回答者は答えたくない質問は飛ばすことができ、特定の質問に対しては一度に複数の回答を選択することができたため、回答数がインタビュー人数を上回っている場合がある。

  • *避難したウクライナの子どもの保護者へのインタビューの中で、保護者たちは、子どもの日常の観察から見えてきたことを語りました。また、約60人のウクライナ人の子どもののうち約半数が紛争のため避難してきた子どもたちが通う東京にあるウクライナ日曜学校「Dzherelce」の教師にも意見とコメントを求めました。

【調査結果から見えてきたこと】

2023年に続き2回目となる本調査においても、ウクライナ人避難民の子どもたちは、コミュニケーション不足、深刻なホームシック、言葉や環境に順応することの難しさ、2つの学校で学ぶことによるストレスや過負荷など、いまだに様々な困難に直面していることが分かりました。保護者の中には、子どものメンタルヘルスを心配する人もおり、紛争による心理的影響に対応できる専門家を見つけるのが難しいという声も聞かれました。また、多くの子どもが勉強の手助けを必要としているものの対応しきれずにいる現状があることも明らかになりました。
一方で、多くの子どもは徐々に日本語でのコミュニケーションが容易になり、日本人の友人を作り、日本での生活を楽しむようになってきていることも分かりました。
就学前の年齢で日本に避難してきた子どもは、容易に日本語を理解し、コミュニケーションを取れることが分かりました。けれども、学齢期に来日した子どもは、新しい言語を習得し、日本社会に適応することが難しい状況で、日本人の子どもと良好な関係を築いている一方で、言葉の問題からコミュニケーションに限界を感じ、孤独を感じている子どもがいるのも事実です。子どもたちは、年齢に関係なくウクライナ人同士の対面でのコミュニケーションを必要としており、ウクライナ日曜学校はその大きな助けとなっているようです。
避難している子どもが直面している困難や彼らのニーズを明確にし、彼らの学習の負担を軽減し、精神状態を改善できるような支援が必要です。

【調査結果抜粋】

子どもが現在勉強しているのは

●現在約70%の子どもが日本の公立学校で学んでいる。前回の調査と比較すると、この数字は17%増加している。これは、ウクライナ紛争が長期化し、子どもが日本社会に順応することが必要になってきたことが影響しているのか、あるいは将来設計が変わったことが推測される。また、ウクライナの学校だけで勉強している子どもは2割弱(たまにしかウクライナの学校で勉強していないという回答もあった)で、4割近くの子どもは両方の学校で勉強を続けており、精神的、肉体的な負担が大きいことが分かる。日本の学校に通っていない子どももいる。ウクライナの紛争が長引く中、子どもの健全な成長のためには社会性が必要であるため、日本の学校に通えない子どもがいる理由を探ることは非常に重要である。

来日時と現在の子どもたちの行動の変化

●日本に避難して以来、子どもたちの情緒や行動に多くの変化が生じた。当初、子どもたちは新しい国での生活に慣れることが難しかったが、次第にウェルビーイングが向上し始めた。大半の子ども(約75%)は、日本での生活がより快適で、明るく、自信に満ちていると感じ始めた。仲間とのコミュニケーションも増え、身の回りのあらゆることに興味を持ち始めた。しかし、約25%の子どもたちは内向的になり社交的でなくなったり、強いストレスを感じたりしている。

日本の学校で学ぶことの難しさ

●日本の学校で学ぶウクライナの子どもは様々な困難を経験しているが、その多くは言語から生じていると思われる。半数の子どもが言葉の問題でさまざまな課題をこなすのに苦労しており、約23%の子どもは学校で孤独を感じている。それ以外でも、避難したウクライナの子どもたちは、周囲の環境に合わせることの複雑さ、新しいルールに従わなければならないこと、異なる教育プログラムで勉強しなければならないことなど、多くの課題に直面している。

調査を担当したアンナ・シャルホロドウスカー職員

写真:アンナ・シャルホロドウスカー職員

2022年12月より国際NGOプラン・インターナショナル アドボカシーグループに所属。
マリウポリ国立大学にて歴史学の学士号を取得した後、同大学院にて中等教育、歴史学、ジャーナリズムの修士号を取得。マリウポリ中等学校での歴史指導、乳幼児への英語教育・発達教育カリキュラムの作成など教育分野でのキャリアを重ねるとともに、マリウポリ市ニュースサイトのジャーナリストとして記事作成にも従事。

【関連資料】

プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。

このリリースに関するお問い合わせ

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
広報担当 平田
TEL:080-1017-4200
E-mail:izumi.hirata@plan-international.jp

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