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「支援」の意味とは?「援助」との違いや世界で行われている活動の例
世界の情勢が目まぐるしく変化する今、国際協力の重要性がますます増しています。
現在では、国際支援が「援助」から「支援」へと活動の形が変化しています。「支援」の意味や、世界で行われている支援活動についてご紹介します。
支援とは
デジタル大辞泉(小学館)によると「支援」とは、「力を貸して、助けること」という意味
が確認できます。
国際協力の現場では、「人道支援」
を意味することが多いこの言葉。
具体的には、「緊急事態またはその直後における、人命救助、苦痛の軽減、人間の尊厳の維持及び保護のための支援」することです。
世界のいたるところで、紛争や災害が多発している現在、人道支援の必要性が高まりを見せています。
ベトナムでの緊急支援の様子
人道支援の4つの基本原則
外務省の情報によると、人道支援とは、主要な国際機関等により「緊急事態またはその直後における、人命救助、苦痛の軽減、人間の尊厳の維持及び保護のための支援」と定義
※されています。国際的な人道支援は4つの基本原則に基づいて行われています。
- 人道原則
どんな状況にあっても、一人ひとりの人間の生命、尊厳、安全を尊重すること。 - 公平原則
国籍、人種、宗教、社会的地位または政治上の意見によるいかなる差別をも行わず、苦痛の度合いに応じて個人を救うことに努め、最も急を要する困難に直面した人々を優先すること。 - 中立原則
いかなる場合にも政治的、人種的、宗教的、思想的な対立において一方の当事者に加担しないこと。 - 独立原則
政治的、経済的、軍事的などいかなる立場にも左右されず、自主性を保ちながら人道支援を実施すること。現在、世界人口の4分の1が紛争の影響を受けた地域に住んでいます。故郷からの避難を余儀なくされている1億人以上の人々のうち、40%は子どもたちです。
また、年間2億人以上の人々が自然災害による影響を受けています。気候変動の影響により、子どもたちへのリスクは高まっています。
昨今、国際社会では、人々の尊厳を保ち回復力を高めるために、人道支援プログラムの重要性が叫ばれています。
世界中で多発している災害や紛争、伝染病の発生は、子どもたちの命や権利、将来を脅かし、彼らが暮らす社会に大きな打撃を与えています。そのため、多角的な側面から、難民や災害被災民を対象とした人道支援活動が必要です。
「援助」との意味の違い
「支援」の類語としてあげられる言葉に、「援助」があります。国際支援の現場では、支援のほかに援助という言葉が使われることがあります。この2つの言葉の違いについて、少し考えてみることにしましょう。
他人に力を貸して助けることを意味する「支援」とは、支えとして一部を助ける脇役的な存在である一方で、困っている人を助けることを意味する「援助」は、主役が全面的に助けるという意味合いが含まれます。
かつて国際社会における援助の方法は、一方的に「与える」一方向のものでした。けれども、現在は、人々が長期的に必要としている事柄を複合的に理解し、彼らのニーズに応えるため最も有効な方法を決め実行に移す「支援」へと活動の形が変遷しています。その観点からすると、プラン・インターナショナルの活動の主役は、あくまでも地域に暮らす、子どもや女の子、若者や大人たち。
お互いの生活を助けあう貯蓄グループの設立
プランは、彼らが自分たちの力で地域を発展させることができるよう側面からの支援、能力開発(キャパシテイビルディング)に特に力を入れています。
世界で行われる支援活動の例
貧困の解決には、コミュニティ全体の底上げを図る包括的な支援が効果的であると言われています。ここでは、教育、子どもの成長、性と生殖に関する健康と権利、生計向上、子どもの参加、子どもの保護、緊急支援といった地域開発支援についてご説明します。
教育に関する支援
ユニセフによると、2021年時点、学校に通っていない子ども(6歳~17歳)は、2億4400万人もいることが明らかになりました※
。
なかでも、女の子や障害のある子ども、少数民族や遠隔地に暮らす子ども、紛争の影響下にある子どもたちは、学校に通えず、読み書きや計算など基本的な学力を身につけることができません。教育を受けられないということは、適切な仕事に就くことができず、搾取の対象になるリスクにもつながります。教育を受けていない親の子どもは、親と同様に学校に通うことができない場合が多く、貧困の連鎖が次の世代へもつながってしまいがちです。
必要な支援
どのような状況下でも、誰もが等しく質の高い教育を継続的に受けられるようになることが必要です。そのための支援として、プランは、地域を拠点とした非公式学校の運営や、公教育への復学支援として奨学金を支給する活動が行われています。多角的な支援を通じて、質の高い包括的な教育を提供することができるようになります。
少数民族の教育支援
子どもの健やかな成長に関する支援
現在世界は、ウクライナ紛争やその他の紛争によりもたらされている食料危機、気候変動、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、食料安全保障への懸念が高まっています。子どもに十分な食事を与えることができない家庭の急増。また、予防可能な病気による死亡、栄養不良の中でも最も直接的で目に見えやすく命を脅かす形態の「消耗症」に苦しむ子どもの増加と取り組むべき課題が山積しています。世界では、少なくとも1360万人の5歳未満児が重度の消耗症に苦しんでおり、この年齢層の死亡の5件に1件は重度の消耗症に起因しているとの報告もあります。※
必要な支援
すべての子どもたち、とくに女の子が差別されることなく安全な環境のもとで健やかに成長できるよう支援する必要があります。これには、教育や保健など必要なサービスの提供、栄養改善、衛生状態の改善や安全な水の確保、地域を拠点とした乳幼児教育などに注力する活動が効果的です。
学校菜園で給食用の食材を栽培
性と生殖における健康と権利に関する支援
世界では18歳を迎える前に結婚した女の子や女性が6億5000万人
※いるとされています。10代での早すぎる結婚、妊娠や出産で、女の子は教育を受ける機会を失ってしまいます。女性性器切除(FGM)といった女の子の心身を傷つける有害な行為も根強く残っている地域もあります。性と生殖に関する健康と権利が奪われている状況は、深刻な人権侵害であるだけでなく、次世代の命や健康にも負の影響を及ぼします。
必要な支援
女の子と若い女性が正しい知識を得て、自分の身体に決定権をもち、生涯にわたり健康に過ごすことができる支援が必要とされます。プランは、周囲の男の子や男性を巻き込みながら、女の子と女性の性と生殖に関する健康と権利を守るため、包括的性教育の実施や月経衛生管理、早すぎる結婚や女性性器切除の撤廃、適切な保健サービスの提供といった活動を行っています。
性と生殖に関する勉強会を開催
生計向上に関する支援
世界では、約7000万人の若者が職につくことができません※
。また、彼らには、働くために必要なスキルを身につけるためのトレーニングを受ける機会もありません。職を得ている場合でも、厳しい労働環境で搾取されている若者も多くいます。とりわけ、女の子や若い女性たちが置かれている状況は深刻です。
未来の社会の担い手となる若い世代をこうした状況に放置することは、彼らの人権を侵害するだけでなく若者の貧困を加速させてしまいます。長期的には社会全体の貧困につながり、犯罪増加の要因にもなってしまいます。
必要な支援
プランでは、女の子や女性をはじめ若者など機会を得られない対象者に、職業訓練や起業支援を提供。また、彼らが金融に関する知識を得て、経済力を備えることができるよう、貯蓄貸付グループの結成と運営・利用支援や、学校でのキャリア・金融教育に関するセミナーの導入、ライフスキル教育などのプログラムを実施しています。
美容の実習に参加する女の子
若者の社会・政治への参加に関する支援
社会の重要事項の決定を担うのは大人で、子どもや若者は決定プロセスから除外されがちです。そのため、もっとも弱い立場に置かれた子どもや若者たちのニーズがさまざまな政策に十分に反映されていません。そのような状況が続けば、子どもや若者を取り巻く深刻な問題は解決されず、社会全体にマイナスの影響を与えてしまいます。とくに女の子は、「子ども」「女性」という2つの理由で、大切な決定プロセスから排除されるケースが多く見られます。
必要な支援
女の子や男の子、若者たちが声をあげ、その意見が尊重され、政策や人々の意識、行動が変わるように力づけることが大切です。そのために、彼らが課題を理解し、地域・全国・世界レベルで変化を起こすことができるよう背中を押す支援が求められています。プランは、女の子のリーダーシップ育成と政策提言、若者によるメディアを通じた情報発信、子どもや若者組織とのネットワーク強化などの活動を行っています。
自分たちの問題についてオープンに議論
世界の平和と安定、そして一人ひとりが輝ける社会を目指して!
地球規模のさまざまな課題が山積している現在、各々の課題を解決するには世界中の人々が地球市民として国境を越えて結束することが重要です。紛争や難民、気候変動や食料危機は、遠い国の出来事ではなく、私たち一人ひとりに影響する地続きの問題です。
次世代の子どもたちに負の遺産を残さないために、世界中のすべての人々がより良く生きられる未来のために支援の輪が広がることを願います。
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