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「日本における女性のリーダーシップ2022」レポート発表~経験がリーダーシップを育てる~

アドボカシー

女の子だから

更新)

3月8日は「国際女性デー」。女性の権利向上と、政治的・経済的分野への参加を盛り立てていくために制定されたこの日に合わせ、プラン・インターナショナルは「日本における女性のリーダーシップ2022」レポートを発表しました。

より若い世代への意識調査に基づいた最新レポート

世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数2021」によれば、日本は世界156カ国中120位、特に政治分野と経済分野において、深刻なジェンダー格差があることが指摘されています。
プランは、2021年4月公開の「日本における女性のリーダーシップ2021」に続く第2弾として、「日本における女性のリーダーシップ2022」を発表。前回は18歳以上の男女2000人にアンケート調査を行いましたが、今回は日本の教育現場における女性のリーダーシップ育成に関する現状、および課題を調査するため、中学校・高校に通う女の子2000人にアンケートを行いました。さらに、東京都内の学校(私立の小・中・高)を対象に、生徒のリーダーシップを育てる取り組みについてのアンケートも実施。レポートには専門家の方々へのインタビューも掲載しました。

調査から見えてきたこと

アンケート対象:中学校・高校に通う女の子2000人

  • 所属するグループで、自分の役割を「サポート役」と考える回答者は20%であるのに対し、「場を仕切る役」と考えているのは6.5%にすぎない。
    回答者自身が所属するグループにおける役割について聞いたところ、「サポート役(20%)」、「ムードメーカー(12.6%)」、「調整役(11. 3%)」の回答が、「場を仕切る役(6.5%)」を上回りました。集団において決定を下すよりも、一歩退いて様子を見る傾向が強いことが分かりました(表1)。

    写真:表1. 学校生活におけるリーダーシップの経験について

    表1. 学校生活におけるリーダーシップの経験について

  • 「意見を積極的に述べる」のは4人に1人。ただし、リーダー経験者にはより積極性が見られる
    「学校や部活などで自分から積極的に意見を述べるか」については、「常にする(7.1%)」、「比較的する(19.9%)」という回答結果となり、意見を述べたり、発言したりすることにあまり積極的とは言えない現状が浮き彫りになりました(表2)。一方、クラス委員長や生徒会役員などの役職経験がある場合は、「常にする」「比較的する」が、いずれも50%を上回りました。これまでのリーダー経験が、人前で意見を述べたり、発言したりすることを容易にさせると考えられます。

    写真:表2. 学校や部活などで自分から積極的に意見を述べるか

    表2. 学校や部活などで自分から積極的に意見を述べるか

  • 2人に1人が「リーダーは責任感が強い人がするもの」と考えている
    リーダーのイメージについては、最も多い回答が「責任感が強い人がするもの」(47.6%)、次いで「人の意見を聞ける人」(32.8%)、「グループ内での指導する存在」(29.7%)、「メンバーそれぞれの能力を引き出すことができる人」(28.7%)という結果でした。集団内での責任感があり、メンバーの意見を聞きながらまとめることができる、調整能力を持つ人がリーダーであるといった理解が見られます(表3)。この結果は、専門家からは肯定的に評価されました。佐藤真久・東京都市大学大学院教授は、「社会の変化が激しいなか、関わる多くの人たちのモチベーションを高め、互いの力を持ち寄り、共に協働と学びのプロセスを大切にしながらやっていくことがとても重要です。そのように考えると、場の調整役としてのリーダー像が今後一層重要になってきます」と述べられています。

    写真:表3. リーダーになる人のイメージ(複数回答)

    表3. リーダーになる人のイメージ(複数回答)

  • 女子校ではリーダーになる経験を積む機会が多い
    「部活や委員会活動を通じてリーダーについて学んだ」と回答した人は全体の36.8%でした。内訳を見ると、女子中学校・高校(以下、女子校) の生徒の方が、共学中学校・高校(以下、共学校)よりも、高くなりました(表4)。また「授業で女性のキャリア形成について学んだ」と回答した人にも同様の傾向が見られたことから、女子校では、学校行事や生徒会や委員会などの役割経験を通じて、リーダーの経験を積むことが推測されます。
    このことに関し、坂本清恵・女性のためのリカレント教育推進協議会会長は、「日常的に性別に基づく役割分担がないので、人としてすべきことを女の子たちがすべて行わないといけないこと、またキャリアプログラムで学校の卒業生である女性の経験を聞くことで、将来に対するロールモデルに触れられることが、将来リーダーになりたいという意欲を育むのではないか」と話されました。

    写真:表4. リーダーシップを学んだ経験(複数回答)

    表4. リーダーシップを学んだ経験(複数回答)

アンケート対象:都内の私立小学校・中学校・高校

都内の私立小学校・中学校・高校を対象に生徒のリーダーシップを育てるための取り組みについてアンケート調査を実施、19校から回答を得ました。

学校からは、リーダーシップを育成するために行っている取り組みとして、「生徒の興味や関心を伸ばすためのカリキュラムの設定」、「生徒会・自治会の自主性」、「自主性を重んじ志望する子どもが役職につくことを奨励する」、「異学年同士の交流」、「生徒の活動について教員によるサポートや相談などを定期的に行う」などが挙げられました。学校では、生徒が自主的に課題や活動に取り組む環境が、リーダーシップ育成の鍵と考えていることが分かります。専門家も、クラブ活動や生徒会活動、運動会などでの成功体験の積み重ねがリーダーシップの意識を育むうえで重要と話しています。
日向野幹也・早稲田大学教授は、リーダーシップ教育について、「目標を設定し、実際に取り組み、仲間との振り返りを経て、改善目標を立てるというプロセスが重要」と述べています。学校の取り組みとして「自主性の尊重」を挙げる学校が多かった点については、単に自主性を尊重するだけでは放任になりかねないと指摘し、「集団で達成すべき目標を設定するところまでは教員が示す必要がある」と述べられました。また、本田由紀・東京大学大学院教授は、「統一した標準を定めていくことで、生徒の多様性や自由な個性、自主性を押しつぶす方向にあることが危惧される。学校内で管理的・権威的な雰囲気や生徒を圧殺する雰囲気が強くなると、意見をいうこと自体が難しくなる」と話されました。

写真:アドボカシーグループリーダー 長島美紀

アドボカシーグループリーダー 長島美紀のコメント
アンケート調査や専門家の方々へのインタビューが示したのは、学校で子どもたちのリーダーシップを育むには、文化祭や運動会などの行事や、生徒会・クラブ活動などの機会を活用した繰り返しの経験と、そこから学び改善するプロセスが重要であるということでした。変化の激しい現代社会では、かつてのような「俺についてこい」タイプのワンマン型リーダーよりも、場の調整役としてのリーダー像が求められていることも示されました。

また、特定の個人だけではなく、誰もがリーダーシップを発揮できる機会を与えること、その際は自主性に任せるのではなく、目標を設定し、その達成にむけて取り組めるようサポートすることの大切さも見えてきました。
残念ながら、日本の学校では、リーダーシップ育成のための環境が十分整っているとは言えない状況にあります。生徒の誰もが当事者としての意識を持ち、ともに目標に取り組むプロセスとマネジメント経験を積めるような環境づくりが、これからの教育現場には求められているのです。

レポートはこちらからご覧いただけます。

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