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「子どもの栄養状態改善プロジェクト」を開始しました~インド~
世界の各地から
(更新)
インドでは5歳未満児の死亡が年間140万人以上*と世界で最も多く、その3分の1以上が栄養不良によるものです。
*ユニセフ世界子供白書2015
プラン一般プロジェクト(寄付受付期間2017年6月末まで)の一つとして立ち上げられた「子どもの栄養状態改善プロジェクト」では、多くの子どもたちが中度や重度の栄養不良状態に陥っているインド北西部のラジャスタン州において、栄養不良の乳幼児への手当て、授乳中の母親や住民、保育施設の関係者など約1万1000人への栄養教育を実施し、子どもたちの栄養改善を目指します。
栄養不良の子どもたちが多い背景
多くの子どもたちが栄養不良状態にある背景には複数の要因が存在しています。一つは、母子保健や栄養、水と衛生に関する、乳幼児保育施設の職員、母親を含む住民の知識不足です。例えば、予防接種や産前産後検診を受けていないことは、低体重での出産、乳幼児の重い感染症罹患や栄養不良を誘発しています。母乳の効果や栄養全般に関して母親の知識が乏しいことは、母親と乳幼児の栄養の偏りをまねいています。保育施設職員や母親が乳幼児の栄養不良の兆候や日々の体調の変化に気づかない、あるいは知識がないため栄養不良の症状に適切な対応がとれないことも課題です。
また、重度の栄養不良を治療する栄養不良治療センターが自宅から遠いことや、設備や人員配置が不十分で、子どもを連れて行っても治療してもらえないなど、適切に機能していないことも乳幼児の栄養不良の改善を妨げています。
家庭や地域から栄養不良問題の改善を目指します
プロジェクトでは、ラジャスタン州ビカネール県ルンカランサル地区の50村と、ウダイプール県ケルワラ地区の14村、ギルワ地区の6村(計2県、3地区の70村)において、以下の活動を行います。
山間部に位置する活動対象地域(ウダイプール県)
乾燥した砂漠地帯に建つ乳幼児保育施設(ビカネール県)
1)各種トレーニングや意識啓発イベントの実施
乳幼児保育施設職員、村の栄養指導員、妊産婦や授乳中の母親、村の男性や地域リーダーなど(約1万1000人)に対し、母子保健、栄養、水と衛生に関する各種トレーニングを行います。参加者たちは、乳幼児の成長過程、予防接種や産前産後検診の重要性、母乳育児、月齢に見合った食事内容や頻度、栄養不良の兆候や対応、衛生的な環境づくりなどについて理解を深めます。子どもが健やかに成長していくには、男性や地域リーダーも巻き込み、男性の育児への協力・参加促進を図るほか、リーダーたちが子どもの栄養不良予防や改善に向けた活動を支持・促進する環境を作ることも重要です。そうすることで、より多くの住民に適切な知識が広がっていくことも期待できます。
上腕測定帯を用いて乳幼児の栄養状態を確認する栄養指導員
上記トレーニングに加え、施設職員、妊産婦や母親たちに身近な素材を用いた栄養価の高い食事の調理法を複数紹介し、実践トレーニングも行います。さらに、各村で毎月の育児指導も開催し、妊産婦や母親たちが定期的に必要な知識を得たり育児相談ができる環境を整えます。
栄養価の高い食事の調理法トレーニングの様子
毎月の育児指導に参加する妊産婦や母親たち
他にも、定期的なイベントや国際母乳育児週間に連動したイベントを通じて、予防接種や健康診断などの保健サービスを提供し、保健栄養に関する知識普及や意識啓発を図ります。
2)サービス施設の環境整備
乳幼児保育施設に給食や微量栄養素(ビタミンA、鉄分、駆虫剤等)を支給し、子どもたちの栄養不良の予防、栄養改善を支えます。また、近隣に開設した栄養不良治療センターに必要な人員を配置し、センター職員に必須とされるトレーニングを政府の協力で実施し、治療センターに搬送された子どもが適切な治療が受けられる体制を整えます。
このように、施設職員と住民の能力強化を図り、乳幼児の保健栄養に関わるサービス施設の環境を整備することにより、家庭や地域内で栄養不良への適切な対応や予防策がとれる体制を築き、地域の子どもの栄養状態が改善されることを目指します。
インドの「子どもの栄養状態改善プロジェクト」へのご支援を何卒よろしくお願いします。
プロジェクト名:子どもの栄養状態改善プロジェクト
実施地域 :
ラジャスタン州ビカネール県、ウダイプール県
活動内容 :
栄養不良の子どもたちのケア、母親たちへの育児指導、意識啓発活動など
対象者 :
ラジャスタン州の70村に住む子どもや妊産婦、授乳中の母親、栄養指導員など 地域住民2万975人と乳幼児保育施設の職員など166人
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現地担当者からの声
渋谷 朋子/プラン・インターナショナル プロジェクト・マネジャー
プロジェクトが2期目に入り、少しずつではありますが、成果が見え始めました。「予防接種を自主的に受ける人が増えた」、「6カ月間の完全母乳について、トレーニングで初めて知り、産まれたばかりの子どもには水は与えず母乳のみです」、「母親学級を楽しみにしている」といった声が聞こえてくるようになりました。「初乳は捨てるべきだ」、「予防接種しなくても、最初の子どもは育っているからしなくてよい」といった考えが地域にはあり、そのような村の人々の意識を変えるのは大変です。
また、夏には気温が50度近くまで上昇、冬は5度ぐらいまで下がる砂漠の対象地域を日々移動することは、村の栄養指導員などのフィールドワーカーにとって、大変厳しいものです。そのような中ではありますが、少しずつ、地道に、フィールドワーカーといっしょに、子どもの栄養状態の改善に貢献していきたいと思います