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子どもの栄養改善へ、女性と男性がともに担う取り組みを重視 ~インド~
インド
プラン一般プロジェクト
食糧
(更新)
プラン・インターナショナルは日本政府のNGO連携無償資金協力を受け、インド北西部のラジャスタン州ウダイプール県の20村とビカネール県の70村を対象に、2015年1月末から3年にわたって子どもの栄養改善プロジェクトを実施中です。2017年2月からは、いよいよ最終年度の活動を開始しました。
最終年度に向けてワークショップで活動計画と予算を再確認
2年間の活動では、村の栄養指導員や保育施設職員のトレーニング、母親たちへの育児指導や村の人々の意識啓発活動、栄養不良の子どもたちのケア、栄養や調理法に関する教材の作成、妊産婦と授乳中の母親、乳幼児のプロフィールや健康に関する世帯情報追跡システムの導入を進めてきました。各種トレーニングの理解度テストでは参加者の7割以上が合格するほか、ウダイプール県ではこの1年余りの間に2歳未満の子どもにおける栄養不良の割合が約20%減るなどの改善が見られています。
集大成となる最終年の実施に当たり、2月中旬の2日間、地元の2つのパートナーNGOとプラン・インターナショナルのプロジェクト関係者約25人が3年目の事業開始ワークショップを実施。過去2年間の成果や学び、課題を改めて振り返り、3年目の活動計画と予算の再確認と見直しを行いました。計画立案時の想定と現状の差を考慮しながら柔軟に活動調整をすることで、より高い成果が望めます。
※インドでは国際NGOは現地NGOと提携してプロジェクトを実施するよう法律で定められています。
事業開始ワークショップの様子
グループワークで活動の見直しをする参加者たち
活動の要となる栄養指導員の能力強化が不可欠
ワークショップでの見直しを受け、2017年は主に以下の活動を行う予定です。
- 妊産婦や授乳中の母親への育児指導の実施(約2300人/月)
- 乳幼児保育施設での給食や乳幼児への微量栄養素の支給(約3000人/月)
- 栄養指導員や乳幼児保育施設職員などへのトレーニングの実施
- 男性を含む地域住民への意識啓発イベントやトレーニングの実施
- 栄養不良治療センターへの栄養指導員の配置
ワークショップでは、目標達成のために必要な活動のひとつとして、栄養指導員の更なる能力強化が挙げられました。村の女性の中から選ばれた指導員たちは、プロジェクトで様々な重要な役割を担っており、定期的な世帯訪問もそのひとつです。子どもの健康状態を計測してタブレットにデータを入力、データを見ながら家族にカウンセリングを行い、食生活や衛生習慣の改善促進や、必要に応じて栄養不良治療センターでの治療を薦めます。タブレットの扱いにはようやく慣れてきたものの、2年目終了時点では、指導員の多くは適切なカウンセリングや助言を行う能力が一定レベルに至らず、子どもの身長、体重、上腕周囲を正しく測定できていないケースも見られました。
そのため、今後は指導員への継続的なトレーニングに加え、プロジェクトスタッフによる指導員への現場での直接指導を強化し、指導員のカウンセリングや助言、収集データの質の向上を図ります。
母親の手を借り子どもの身長を測定する栄養指導員
タブレットを手に、母親にカウンセリングを行う栄養指導員
男性たちの活動への巻き込み
3年目の活動では新たに、男性対象の保健・栄養・ジェンダーに関するトレーニングが加わります。 これまで、予防接種に子どもを連れてきたり、栄養不良治療センターに妻と子どもの見舞いに来たりする男性はわずかにはいましたが、活動地域ではまだ「育児や家事は女性の仕事」という考えが根強く残っています。トレーニングでは、男性たちに家庭や地域におけるジェンダー不平等の状況を認識してもらい、その不平等が及ぼす子どもの健康・栄養状態との関連性について男性の理解を促し、男性も育児や家事に協力的になる環境づくりを目指します。
男性優位の慣習が残るなかで、この種のトレーニング実施は容易ではありません。しかし、男性の育児や家事への理解と協力は、家庭や地域で子どもの栄養不良の予防や対処していく体制を築く上で欠かせません。プロジェクト終了後の持続性も見据えながら、最終年の活動に取り組んでいきます。
意識啓発イベントに参加した子どもと男性たち
栄養不良治療センターで子どもをあやす父親たち
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