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ベトナム便り ~出張編、みんなで学びあう授業に向けた取り組み

プログラム部
道山 恵美

アジア

ベトナム便り

更新)

写真:同僚の教師が観察するなかでの公開授業

同僚の教師が観察するなかでの公開授業

ベトナムで現在実施中の少数民族地域における教育改善プロジェクトのモニタリングのため2014年12月に現地出張してきました。このプロジェクトでは、先生たちがより分かりやすい授業をすることを目指しています。

ベトナムでは、日本の学校で取り入れられている、授業研究を通じた先生たちの指導能力の向上という手法が導入されていますが、まだまだ新しいやり方です。そのため、この分野での専門的知見を持ち、海外での指導経験も豊富な日本人教育専門家を招へいして「教師間の学びあい」研修を行っています。この写真は、その研修の一環として訪問した少数民族の人たちが多く暮らすベトナムのクアンガイ省にある学校での公開授業の風景です。担任の先生は、同僚の教師が観察するなか、教科書や手作り教材を使って一生懸命に授業を行っています。

子どもたちの学習のために熱心に話し合う先生たち

この授業後は、授業をした先生、その授業を観察していた先生たちが集まって、授業の様子を振り返ります。そこで、私は次のような会話に出くわしました。

「算数の授業が最も難しいと感じています。私のクラスには、すぐに計算問題の答を出せる子どももいますが、なかなか理解できない子どもがいます。中には、どうしても分かってもらえない子どももいます。授業時間は限られているし、どうやって授業をしたらよいのか悩んでいます。」

写真:議論する先生たちの表情は真剣そのもの

議論する先生たちの表情は真剣そのもの

こんな先生の悩みに対して、ほかの多くの先生たちから意見が飛び出します。

「計算が得意な子どもには難しい問題を出してあげて、苦手な子どもには簡単な問題を出してあげるのはどうかしら」
「でも、それでは簡単な問題を与えられた子どもの能力が伸びないわ」
「それに、低いレベルの問題を与えられた子どもはどう感じるだろうか」
「たとえ簡単な問題であっても正解できたらほめてあげるのよ。できない子だって、ほめられたら嬉しいでしょう。」
「たとえほめられても、同じ教室で自分だけ簡単な問題を与えられたら、劣等感を持たないかしら」
(・・・続く)

簡単には答えがでない、熱い、熱い議論が繰り広げられています。こんなに議論が熱くなるのは、ベトナムの先生たちは「もっと子どもたちに学んでほしい」と願って、日々教壇に立っているからでしょう。この問題に対する唯一絶対の回答はないかもしれません。

そんなとき、日本から招聘した教育専門家はこの議論に対してこのように投げかけました。

「ところで、教科書に書かれている回答や事柄を『知ること』が子どもたちにとって『学び』なのでしょうか」

「もう一回、授業を振り返ってみましょう。子どもたちが教科書や先生から何かを『知る』だけではなく、子どもたちが他の子どもたちと助け合って難しい問題を一緒に考えようという雰囲気はありましたか」

写真:教師間の学びあいを日本やインドネシアで実践してきた日本人専門家(佐藤氏)

教師間の学びあいを日本やインドネシアで実践してきた
日本人専門家(佐藤氏)

写真:教室内での学びの重要さを学術的視点から説明する(齊藤氏)

教室内での学びの重要さを学術的視点から説明する(齊藤氏)

子どもたちが学ぶ喜びを体験できる学習を

この専門家の言葉はどういうことでしょう。私は次のようなことかと思いました。

子どもたちが、ただ教科書に書かれている知識を『覚えること』、『知ること』を繰りかえす授業ではなく、子どもたちが、自ら考え、時にはクラスメートと一緒に考えて、自分たちで答えを見つけ出すこと、すなわち『学ぶ』ことを促していく授業こそが必要ではないか、ということ。

いま、多くの場面で「教育の質」の向上が議論されています。そして全国一斉テストなどの点数を測り、時系列や地域間で比べていくことで、教育の質の向上を測ろうという向きも強くあります。そのため、子どもたちがテストでいい点を取れるよう『教える』ことに一生懸命になりすぎて、『学ぶ』ことを促す大切な瞬間に気づく余裕が持てない先生も多くいます。

教育専門家はこうも続けました。

「たしかに先生の役割を『教えること』から『学びを促すこと』へと変えていくことは、きっと新しい試みで、そして新しいがために難しく、大変なことでしょう。でも、子どもたちの『学び』のため、ぜひこれからもやっていきましょう。みなさんなら、きっとできると信じています」

写真:プロジェクトの進捗とともに、ペア学習も頻繁にみられるようになってきました

プロジェクトの進捗とともに、
ペア学習も頻繁にみられるようになってきました

これは本当に大変な取り組みですし、そして時間がかかる取り組みだと私も感じました。とても難しいことですが、学期末のテストだけではなく、先生たちが日々の授業の中で子どもたちがどれだけ『学ぶ』ことができているかを測っていくこと。そして、必要な手助けを日々の授業で行う。そのような授業こそが、教育の質の向上につながるのだとも私は思います。

プランのプロジェクトでは、算数や国語といった教科指導のテクニック向上に加えて、より子どもたちが学びあい、そして、より学びあいを促すにはどうしたらよいのか先生たちが学びあう、そんな教育活動が根付いていくことを支援しています。

プラン一般プロジェクトでは、このプロジェクトの3年目の活動へのご寄付を募集しています。子どもたちの学びと未来を支える活動を、ぜひ応援してください。

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